伝説の勇者の伝説 #006『暗がりに潜む者』前半

シオン幼少時。
シオンの母は、シオンに大切なことを教える。

「たとえ誰かがあなたのことをどんなに悪く言っても、そんなの関係ない。きっとあなたのことを愛してくれる人がたくさん現れるから」

全ての人に愛される人はいない。だから、たとえシオンを嫌う人がいるのは当たり前。だけど、そんな人がいても、支えてくれる人が必ずいるはず。シオンは一人ぼっちじゃない。
母のそんな言葉を思い出し、シオンは現実に意識を戻す。


王宮 執務室
「それで、ライナたちはどうしている?」
シオンはイリスからライナたちのこと、ネルファ皇国のことを訊く。

「バカな皇子といい皇子がいてね、バカな皇子はみんなに嫌われてるの!」
皆が好きなのはいい皇子のトアレで、ライナたちは今そのトアレの家にいるという。

「ネルファか……」
イリスの描いた素敵な絵を見つめ、シオンは何を思うか。



ローランド城 広間
「今回のネルファ皇国訪問は、実施すべきでないという意見が多数です」
そうカルネは報告する。

「しかし、既にネルファ訪問の噂は、国内に流れている」
「ステアリード公爵一派の仕業に決まってます。明らかに罠ですよ」
「行くことはねぇよな。やめとけやめとけ」
クラウもネルファ訪問には反対する。
しかし……

「ネルファには行くべきです、陛下」

そう進言するのはミランだった。
画像

「どういうことです? フロワード大佐殿」
「頭の悪い貴族どもが薄汚い罠を張った。それならば、陛下はそれをやすやすと越えてみせねばならない。うまくすれば、この機会に反国王派たちを一網打尽にできるやもしれません」

ミランのその意見も一理あるものだろう。
しかし、彼が新参者で信頼しきれぬこともあるため、クラウも黙ってはいられない。

「シオンが殺されたらおしまいなんだよ! 反国王派はネルファの貴族と手を組んで、そいつらにシオンを殺させようとしてる!」
「陛下はネルファへ向かわれても、死んだりしない」
ミランはそう断言する。

「どうしてそんなことが言えるんです?」
「私が陛下に同行して、ネルファへと入ります」
つまり、ミランは自身の実力に自信があるとこと。

「お前が殺し屋だったらどうすんだ?」
「その時は、あなたが私を殺して陛下をお守りすればいいことでしょう。それとも、その自信があなたにはありませんか、クロム少将」
「もしネルファで、お前にシオンを殺されるかもしれないってわかってんなら、俺は今すぐお前をここで殺す」

シオンと親しいクラウとしては、シオンを殺されること以前に危険な目に遭わせることも許したくないのだろう。だからこそ、第一の判断としてネルファに行くこと自体に反対だった。
しかし、最終的な判断はシオンに委ねられる。

「ネルファへは行く。ついてくるのは、フロワード一人でいい」
その決定には従うしかない。



ネルファ皇国 王宮
ローランド帝国王が訪れたとあって、兵士たちは緊張を隠せないでいた。もし攻め込まれるようなことでもあれば、今のネルファにとってそれはひとたまりもないことなのだから。

「お初にお目にかかります。ネルファ皇国王。突然の訪問をお受け頂き、感謝の言葉もありません」
「こ、これは失礼した。ネルファ皇国王、グリード・ネルフィじゃ」

ネルファ皇国王グリード・ネルフィも、兵士たちと考えることは同じ。相手の気分を害さぬよう、細心の注意を払って言葉を選ぶ。

「この度は、長年賢王としてネルファに君臨し続ける、ネルフィ殿のご助言を伺いたく、恥も知らずに、こちらへと参った次第でございます」
「お言葉がお上手ですな」

先輩からの賛辞とでも言うべきものか。
シオンの言葉は相手の気を緩めるのに充分なもの。そして、ネルファ皇国と末長い付き合いをしたいという友好的な意思をも伝わった。そんなところで、バカ皇子が現れる。

「そんなんで務まるなんて、ローランドも大した国じゃないなぁ」

実にバカらしい物言い。
本来なら許されるべき言葉ではないが、賢明なシオンとしてはこの男がバカであることは承知済み。これごときでどうするということもない。
画像

「私はローランド帝国王、シオン・アスタールと申します。以後、お見知りおきを」
バカ相手でも実に冷静。

バカはとりあえず忘れるとして、明日の晩にシオンを歓迎した酒宴が催されるとことで、シオンはそれに出席することを約束する。



部屋。

「担ぎ上げられている神輿は見えたな」

スターネル・ネルフィという名のバカを操っている黒幕は誰か、シオンは思案する。

「近いうちに判明するでしょう。私が使っている者たちは優秀です」
「そしてお前も優秀……と言いたいのか?」
「私は陛下に尽くすのみでございます。どんなことがあっても、陛下をお守りいたします」

頼もしい言葉を言ってくれるミラン。
そんな彼に後のことは頼み、シオンは部屋を抜け出そうとする。

「ご冗談を」
冗談ではないのがシオン。

「俺は、こんなところで死ぬような王ではないのだろ?」
「わかりました。後は私にお任せ下さい」
とことで、シオンは窓から抜け出す。



ネルファ皇国 トアレ邸
目覚めたライナは、そこでとんでもないものを目にする。
それは、朝食の席に座るシオンだった。

「ようライナ。久しぶりだな。ちゃんと仕事はやってたか?」

これが現実だとは認めたくないライナは、もう一度寝に行こうとするが……
画像
フェリスに蹴られ、それどころではなくなる。

「腹が減っても、机は食べ物ではないぞ」
「食ってねぇよ! つか何で蹴りいれんだよ!」
食べてるように見えても別に食べてるわけじゃない。蹴ったのは、前がつかえていたから。それだけのこと。

「良かった。仲良くやってるみたいだね」
「「仲良く!? ふざけるな!」」

フェリスはともかく、ライナはかわいそうなところ。痛めつけられるだけ痛めつけられているのに、それを仲が良いと見られているのだから。
でもフェリスが幸せそうにパンを食べてるから、ま、いっか。
画像

「殺す。いつか絶対殺す。でもフェリスは無理だからシオンを」
何だそのヘタレな考えw

そんなところで、トアレがやってくる。
「そういえば、シオンさんはライナさんの従兄弟なんですって?」
「何言ってんだよトアレ。こいつはローランドのぉ!

正体をばらそうとしたライナに蹴りがはいる。
空気が読めなかったから仕方のないとこだが、ホント朝から災難なところだろう。

「もうやってられるか。俺昼寝するわ」
「お前はいつも寝てるだろうが」
「俺はホントは一日中昼寝してたいんだよ」
「あれだけ毎晩夜道で女を襲っていれば、それは眠くもなるだろう」
「本当か?」
「違うわ!」
「ホントにお三方は仲が良いみたいですね」
「「「どこが」」」
見たまんまに。

シオンは、トアレが王族の血を引いているという話に言及する。
「あなたの父上は、皇子のスターネル・ネルフィ様ですね」
「ええ。でも、父にとって僕はただの厄介者です」

学業が優秀で周りから慕われていても、トアレが望むのはささやかな幸せ。
「僕は、弟や妹たちが元気に育ってくれれば、それでいいんです」
画像
とっても素敵^^

「ホントトアレだったら、お前なんかよりよっぽどいい王様になれるのにな」
空気を読みましょう。

シオンがここに来たのはたまたま近くを通りかかったため。そんな冗談はともかく、シオンは二人にお願いをすることに……


後半へ続く……


Truth Of My Destiny
ランティス
2010-08-11
Ceui

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Truth Of My Destiny の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント


この記事へのトラックバック

伝説の勇者の伝説 第06話 『暗がりに潜む者』
Excerpt: 女剣士が鎧を脱いだら・・・ なるほど、あの鎧をキャストオフしたらこうなるわけか…。 腰パンスパッツで、下腹部のラインがセクシー�...
Weblog: リリカル☆スアラ
Tracked: 2010-08-06 23:37

伝説の勇者の伝説6話
Excerpt: フェリスは無理だからシオンを殺す(キリッというわけで、「伝説の勇者の伝説」6話指輪光りすぎの巻。シオンを闇の方向へ導こうとするミラン。シオンの友人にして部下であるクラウは�...
Weblog: アニメ徒然草
Tracked: 2010-08-06 23:40

伝説の勇者の伝説 第6話「暗がりに潜む者」
Excerpt: アクションがカッコよすぎ。今回はそれに尽きる!
Weblog: 妄想詩人の手記
Tracked: 2010-08-06 23:44

伝説の勇者の伝説 第6話の感想
Excerpt: フロワードには強大な力がある。 そして、目的のためには平気で人を殺す冷酷な性格をしてました。 こいつは一体、何をしたいのでしょうか? ...
Weblog: 赤嶋情報
Tracked: 2010-08-06 23:51

伝説の勇者の伝説 第6話「暗がりに潜む者」
Excerpt: 「真実の王というのは 貴方が望むのではなく 世界が望むのです」 ネルファ皇国でライナ達と再会したシオン! その裏で暗躍するミランの指で輝...
Weblog: WONDER TIME
Tracked: 2010-08-06 23:53

伝説の勇者の伝説 #006 「暗がりに潜む者」
Excerpt:  ミランの今回の行動が後々火種にならないか心配です。
Weblog: つれづれ
Tracked: 2010-08-06 23:55

伝説の勇者の伝説 第06話
Excerpt: [関連リンク]http://www.denyuden.jp/#006 暗がりに潜む者アバンはなにやらシオンの過去そしてネルファにライナとフェリスがいるとイリスから伝えられるシオンそれにしてもこの絵で伝..
Weblog: まぐ風呂
Tracked: 2010-08-06 23:57

伝説の勇者の伝説 第6話「暗がりに潜む者」
Excerpt: ミランは、罠だというネルファ訪問をシオンに進める。 シオンはミランの意見を入れるが、これが吉と出るか…? ネルファ王子ツターデルは�...
Weblog: SERA@らくblog
Tracked: 2010-08-06 23:59

伝説の勇者の伝説 第6話
Excerpt: 伝説の勇者の伝説 第6話 『暗がりに潜む者』 ≪あらすじ≫ ミラン・フロワードの意見を取り入れ、ネルファへの訪問を決めたシオン。一方�...
Weblog: 刹那的虹色世界
Tracked: 2010-08-07 00:09

伝説の勇者の伝説#6「暗がりに潜む者」感想
Excerpt: 試すがいい。闇に生きる私の力を。「暗がりに潜む者」あらすじは公式からです。反国王派が仕組んだ「ネルファ皇国」訪問に議論を交わすローランド王宮内。フェリスの妹、イリス・エ...
Weblog: おぼろ二次元日記
Tracked: 2010-08-07 00:13

伝説の勇者の伝説【6話】 「暗がりに潜む者」
Excerpt: いつの間にかシオンが兄という親しい関係になってるな・・・。 伝説の勇者の伝説、6話でした。 そういえば、この前アニメイトでこのOP曲が流れてたけど、思い出せずに死んだ。 ・ネルフ..
Weblog: 生徒会の放課後 こーひーたいむ
Tracked: 2010-08-07 03:02

[アニメ感想] 伝説の勇者の伝説 #006 暗がりに潜む者
Excerpt: 伝勇伝 第6話。 シオンの副官の一人となったミランは、早速暗躍を始めます―――。 以下感想
Weblog: 窓から見える水平線
Tracked: 2010-08-07 03:10

伝説の勇者の伝説 第1話 ~  第6話 暗がりに潜む者
Excerpt: 伝説の勇者の伝説 第1話  ~ 第6話 暗がりに潜む者 ローランド帝国王立特殊学院の学生、ライナ・リュートは、いつも寝てばかりで無気力�...
Weblog: 動画共有アニメニュース
Tracked: 2010-08-07 04:51

「伝説の勇者の伝説」第6話
Excerpt:    #006「暗がりに潜む者」反国王派が仕組んだ「ネルファ皇国」訪問に議論を交わすローランド王宮内。フェリスの妹、イリス・エリスからの報告を受け、ライナとフェリスがネ...
Weblog: 日々“是”精進!
Tracked: 2010-08-07 05:25

伝説の勇者の伝説 第6話「暗がりに潜む者」
Excerpt: 死の間際、シオンに諭して亡くなった母。これからきっとあなたの事を愛してくれる人がたくさん現れる。「だからあなたはひとりぼっちじゃないのよ」母の言葉通り、今のシオンには理...
Weblog: ◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆
Tracked: 2010-08-07 07:34

伝説の勇者の伝説 第6話 「暗がりに潜む者」 感想
Excerpt: 「私は陛下に尽くすのみでございます。  どんなことがあっても、陛下をお守りいたします。  たとえこの命にかえようとも…  やはり�...
Weblog: ひえんきゃく
Tracked: 2010-08-07 09:49

伝説の勇者の伝説 第6話「暗がりに潜む者」
Excerpt: フェリスの鎧脱いだバージョン、エロい(汗 ってか、VSミランの時なんで鎧着てなかったんだろう? 「フェリスが弱いってお前・・・ふざけんなよ。 あの女はなぁ、無様に地面を転..
Weblog: nationwiseのZALEGOTOぶろぐっ!
Tracked: 2010-08-07 14:10

???????? ?006??????????
Excerpt: ????????????? ???????????????????????? ????????????????????? ????????? LAMENT~??????..
Weblog: ??????????????
Tracked: 2010-08-07 14:36

伝説の勇者の伝説 第六話
Excerpt:  クラウの制止を振り切り、シオンはミランとともにミルファ皇国へ。
Weblog: ぶろーくん・こんぱす
Tracked: 2010-08-07 20:57

【伝説の勇者の伝説 第6話-暗がりに潜む者】
Excerpt: 国対国の、陰謀合戦・・・。
Weblog: AQUA COMPANY
Tracked: 2010-08-07 22:23

伝説の勇者の伝説 第06話 暗がりに潜む者
Excerpt: バカ王子の失脚とトアレ暗殺。トアレが王になって善政を敷き、ネルファが強くなっては困るし、バカ王子が王になって国が荒れ、血迷ってローランドに攻め込まれてもそれはそれで困るか。世継ぎのいない状..
Weblog: 猫が唸る感想日記
Tracked: 2010-08-08 09:35

伝説の勇者の伝説 #006「暗がりに潜む者」
Excerpt: きっと快く思わない人がいても、愛してくれる人が沢山いる筈だと幼いシオン・アスタールに語って聞かせた母。イリス・エリスからライナ・リュートとフェリス・エリスについての報告を受けているシオンですが、よくあ..
Weblog: 無限回廊幻想記譚
Tracked: 2010-08-08 14:51

伝説の勇者の伝説 第6話 (レビュー/感想)
Excerpt: 第6話 『暗がりに潜む者』 ストーリーは…。 「私は陛下に尽くすのみでございます。どんなことがあっても、陛下をお守りいたします。たと�...
Weblog: どっかの天魔BLOG
Tracked: 2010-08-08 16:38

伝説の勇者の伝説 #006『暗がりに潜む者』
Excerpt: イリスの絵は結構凝ってますなァ~。カラフルだしw もっとシンプルっつーか雑な絵だとばかり思っておりました。 と言っても、理解できるかどーかは別問題なんだけどネ! 伝説の勇者の伝説 第6巻 [Blu-..
Weblog: 風庫~カゼクラ~
Tracked: 2010-08-09 22:14

愛の遺言 闇の指輪
Excerpt: {/hiyo_please/}京都議定書! {/m_0032/} 明日から出掛けますので、 帰って来るまでTBコメントは認証制にさせて頂きますね~ {/dogeza/} 『伝説の勇者の伝説』 第6..
Weblog: マイ・シークレット・ガーデン
Tracked: 2010-08-11 14:47

伝説の勇者の伝説 第6話
Excerpt: 第6話はシオンがネルファを訪問しミランがライナ達と遭遇するお話なのでした。 ライナ達をトアレと間違ったらしいミランは優秀なのかどうか若干疑問に思えてきてしまいます(笑)。 ミランは全て分かった上で..
Weblog: パズライズ日記
Tracked: 2010-08-28 00:08