伝説の勇者の伝説 #016『微笑まない女神』後半

『忌破り』追撃隊官舎
ラッヘルは頼まれていた書物をルークに手渡す。

「かなり貴重な文献らしいな。大陸中でも、現存するのはわずか数冊とか」
「ええ。任務の実態を知るために、どうしても読んでおきたくて」

そう言うルークの手はあるページを開いて止まり、常に閉じられていたその美しい瞳を露わにする。
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ルークが開眼するほどの事実が書かれた重要な書物。それを読んでいたのは、彼だけではなかった。


旧ストオル皇国領内
「アルファ・スティグマ保持者は、いずれ必ず暴走し、暴走すれば必ず……死ぬ?」
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その例外は今までいないという。

ついにアルファ・スティグマの手がかりへと辿りついたキファ。しかし、そこに記された事実は、自分が目にした光景とは異なるものだった、
ライナは確かに暴走した。しかし、彼は死なずに戻ってきたのだから。

新しい情報で逆に混乱することになったキファ。ここで得られる情報はこれが限界とことで、この場を後にする。

「ガスタークには、魔眼にまつわる伝承が数多く残ってるらしいわね」

前に見たレファルの力が、それが確かな情報であると告げていた。

「行くしかないか」
キファは決意を固める。




エリス家
その立派なお屋敷へと赴いたライナを、執事さんが歓迎する。
執事・クロセリの案内の元、ライナはアルア&ククのもとに向かう。

広い敷地故、気になるものはたくさんある。ライナはそのうちのとある建物について訊く。
「あれは?」
「道場でございます。奥の間は、エリス家の御党首である、ルシル様のお部屋となっておりますが」
「それって、フェリスの親父?」
「いえ、フェリス様のお兄様でございます」
「親は?」
「残念ながら……」

「じゃあその時に、フェリスは解放されたってわけか」

ライナは気付いていた。いや、気付かないはずはなかったと言えるか。

「あの常識離れした実力を見りゃあ、すぐにわかるさ。あいつのこと、ずいぶん痛めつけたんだろ」

クロセリはそれまでのことを思い出してか、答えづらそうにする。

「答えろよ。何歳まで続けたんだ」
「……フェリス様が、14歳になられた年に、前党首様は亡くなられました」

ライナ自身がアルファ・スティグマ保持者として、直接的に自由を奪われた年月。それと比較してみても、14年はあまりに長いもの。
だからこそ、シオンやライナが傍にいる今は、とても貴重なものだろう。

「危ない!!」

フェリスのことを思いしみじみとしていたところで、ライナは背後から痛打を浴びる。
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「クロセリ。この野獣君に近付いちゃダメ! 野獣君にちょっとでも触れると妊娠させられちゃうんだよ!」
いやいや男は大丈夫だって。女性は……どうなるかわからないけどw

イリスに続いて、アルアとククもやってくる。
早速、アルアはイリスとともにライナを挟み込む位置取りへ。

「すっかり飼い馴らされてんじゃねぇかアルア!はぁは!!
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“じゃねぇか”のあたりで、またも後頭部に重い一撃を食らったライナ。それでも何とか言いきる彼に感心だ。

「人の家で、何を騒いでいる」

ライナに攻撃をくわえたのはフェリス。
彼女とともに、アルア、クク、イリスの3人は三色お花見だんごをおいしくいただく。

「どれも悪くないのだが、味に奥行きが……。だんごは一日にして成らず、といったところか」
フェリスはそう評す。

その間に、ライナは気になった道場を見つめる。奥にルシルの部屋があるというそれを、アルファ・スティグマで見てみようとするが――

その瞬間、ライナは幻を見る。
自分の身体が消滅していくそれにライナは苦しむが、アルアの声で現実に戻ってくる。

「どうしたんですか、ライナ先生?」
先生はアルアたちがかわいすぎて興奮していたんですよ^^

そんな冗談はさておき、ライナはアルアにアルファ・スティグマで道場を見るよう頼む。
これも修行の一環とことで、アルアは言われた通りアルファ・スティグマで道場を見る。

「それで、これからどうしましょう?」

アルアにはライナが見たものは見えてなかった。
当然だが、アルファ・スティグマ保持者が全て同じというわけではない。にしても、不思議なところであろう……



イリスやクク、アルアがぐっすりと眠る夕方。
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「っつーわけで、エスタブールまでの護衛を頼むだってよ」
「それはつまり、あの極悪非道労働基準無視王シオン・アスタールに、こき使われるということだな」
その通り。

「よし、勇者の遺物探しを再開するぞ」

こういう時は意見が合うライナとフェリス。
出発は明日の朝、ウィニットだんご店の前にてとことに。

「ああ……買い貯めるのね」
その通り。

「リュック7個分、二人で分担だ」
なんてこった。

それでも、ライナはフェリスが今まで受けたであろう苦しみを考え、フェリスの要求を承諾する。

「七つまとめて俺が持ってやるよ」
ライナもだんご道がわかってきたため、フェリスは嬉しそう。

「ならば早速、リュック14個を用意しなければ!」
やっぱキャパシティいっぱいまで持つわけねw




夜。
フェリスもアルアたちもぐっすりおやすみであるだろう時間に、ライナは道場へとやってきていた。
慎重に中へと侵入し、その奥にある部屋に向かって何らかの魔法を使おうとする。

刹那。

いつからそこにいたのか、目の前にはルシルが立っていた。
それに気付いたライナはすぐさま距離をとって警戒する。

ライナとルシルは対峙する。
とは言ったものの、ルシルはいたって余裕のようだが。

「フェリスが仲良くしてもらっているようで、ずっとこうして二人で会いたかったんだ」
そう言いつつ、ルシルはライナに向けて凄まじいオーラを発して威圧しようとする。

「へえ。これが平気とはね」
そんなライナを、ルシルはフェリスと同じくらいの強さだと評価する。

「いや。あいつが本気を出したら、軽く百回は死んでるよ」
ライナが本気を出さないことが前提でもあるが。

「今度、シオンの護衛でエスタブールに行くんだろう? 二人のことを君に任せてもいいかな?」
「それはまあいいけどさ。王を護るのは、あんたの仕事だろ?」
その通り。

「なのにシオンは、俺とフェリスに護衛を頼んできた」
明らかにおかしな話である。


「まるであんたが、ローランドの中でしか王を護らないみたいな」


ライナは既に感づいているのだろう。
ルシルに、ローランドを出られない理由があるということに。

「たとえば、そういう枷か、呪いがある」

ライナはアルファ・スティグマを発動する。

「枷に呪い? 面白いことを言うなぁ君は。何故そう思うんだい?」
「思うんじゃない。見えるんだよ」
正しくは、“見えるはずのものが見えない”という事実がライナには見えていた。

「俺のアルファ・スティグマには、お前の姿が映らない」
ルシルはいったい何者なのか。ライナはそれに言及する。

「フェリスは人間だ。お前とは違う! お前はいったい……」

そこで、ルシルはライナに見せているその姿を消す。そして見えない手でライナの首を締め付ける。

「フェリスは人間だ。私や、君とは違う。だから君も、勘違いしない方がいい。彼女は君の手には入らない。私の血も、お前の血も、彼女に入ることはない。そんなことは、私が許さない」
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それが、フェリスに対するルシルの“愛”か。

「醜い化け物が、どんな叶わぬ夢を見ていた」

ライナ自身も知っていたはず。その血塗られた手では何も掴むことができず、どこにも届かないのだと。
だからこそ、ルシルはフェリスをライナに任せている。

『妹に触れることができない、誰も触れることができない、生きている価値さえない君に』

そしてルシルは再び姿を消す。

『私は君が嫌いじゃない。さあ、顔を上げなさい。そしてどうか、エリスをよろしく』




エリス家を出たライナは、プリチーなミルクと遭遇する。

ライナに用があったミルクは勇気を出して招待状を贈る。
「明日、隊のみんなで私の誕生パーティーをするの。それでね、ライナにも来てほしくて」

明日……。
無常なことに、明日の朝にライナは旅立たねばならない。(非公式だが)

「あのね。ルークが腕によりをかけた料理を作ってくれるって! あ。その招待状も、ルークが作ってくれたんだよ。それでね」
嬉しそうに喋るミルクの笑顔が痛い……

ミルクは、自分の本当の誕生日を覚えていない。そんな彼女に何故誕生日があるのかは、ルークたちが言ってくれた言葉による。
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「私たちが部隊を結成した日を、私の誕生日にしようって」
ミルクもいい娘だが、その周りの者たちもやはり素敵だ。泣ける。

「ライナ。明日は絶対来てね!」
そう言い、ミルクは去っていく。

ミルクの笑顔を裏切るわけにはいかないだろう。
そのためであれば、シオンを懲らしめるというのが口実であろうとなかろうと、この際構わない。ともかく、一日遅れることにフェリスが納得さえすれば……

そんなこんなでライナが招待状を開いてみると、そこには驚きのものが封書されていた。


「申し訳ありません。ミルク隊長。もしあの忌破りが暴走したら、隊長自らの手で、大切な存在である彼の命を……」

ルークは書物に記されていたアルファ・スティグマの情報を知り、行動を起こした。
胸が苦しくとも、それがミルクのために一番のことだと信じて……



ミルクはるんるん気分で帰る。
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そんな彼女の前に、闇の存在が立ちはだかる。
ミラン・フロワード。影狼まで出して、彼はミランをどうしようというのか……



「アルファ・スティグマ保持者ライナ・リュートが、国外において暴走、もしくはローランドを裏切るような素振りがあった場合は、直ちに抹殺せよ。シオン・アスタール陛下の署名捺印付きか」

ライナは、自分が置かれている現状を否応なしに知らされた。
この事実は想定の範囲内のことだったのかもしれない。しかし、自分は化け物ではなく人間だと思えるようになったであろう彼にとって、現実に戻されるのはひどく痛いことだったろう。

「そうなんだよな……」
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ライナは夢を見ることも許されないか……


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