伝説の勇者の伝説 #017『殲滅眼(イーノ・ドウーエ)』後半

「あいつだ……!」

クラウが経験した忌まわしき過去。そこに立っていた魔眼保持者。
目の前にいる黒き男こそ、まさにその人物。ティーア・ルミブル。
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「やっと会えた……。やっと……!」

ティーアはクラウたちが見ている前で、その手につかんだ女を喰らう。
能力故に一瞬のことではあったが、ティーアは確かに人を喰った。兵士たちの間にも驚きの声が上がる。

「うろたえるな!」

いつにも増して気合が入っているクラウは、兵士たちに大規模魔法を用意させる。
それを見ても、ティーアは薄い笑みを浮かべるだけ。その場から動こうとしない。

「やっと殺せる。あいつを…ぶっ殺せぇぇぇぇー!」

ティーアに向けて大規模魔法が放たれる。
圧倒的な火力と思われたが大規模魔法。しかしそれは、一瞬にして消え去ってしまう。

何が起きたのか。
まったく理解が追いつかないうちに、ティーアは物凄い跳躍でクラウ達がいる崖上まで跳んでくる。
そして、その辺の雑草をむしり取るようにして、兵士の首を引きちぎる。

「やっぱり人間は脆いな」

何が起きたのか?

何が起こったのか?

必死に頭を巡らせてようやく思考が再開したところで、皆はこの場から去ろうとするティーアに向けて、各々攻撃を繰り出す。

「人を捜しにいかなきゃいけないんだ。邪魔しないでほしいな」

ティーアは圧倒的な身体能力で兵士の背後をとり、簡単に人を壊していく。
桁違いの強さを持っている彼に向け、クラウは右腕を振るう。
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「人間にしては速いな」

クラウのことを評価するティーアは、改めて対峙する相手を見て気付く。

「ああ……! 随分と美味しそうに育った…!」

心の底から嬉しそうに言葉を発するティーア。彼はクラウのことを覚えていた。
それならば話は早いだろう。

「あの時俺を殺さなかったことを、後悔させてやる!」

クラウは怒りのままに、その右腕から立て続けに攻撃を繰り出す。
クラウが押しているその状況は、魔眼保持者相手でも勝てるという希望を兵士たちに与える。

「やはり人間にしては、やる。だが……」
「我・契約文を捧げ・天空を踊る光の魔獣を――」
バユーズたちの魔法とクラウの右腕の力。それでティーアを挟み込む。

「仲間の仇だ! 死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「放つ!!」

これで、今度こそティーアを仕留めることができた。そう思ったが――

「終わりは……お前だよ!」

魔法は一瞬にして打ち消され、クラウの攻撃前に手を打たれる。

「力を喰らい……それを放つ!!」

クラウの攻撃は不発に終わる。

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一瞬にして木の上へと跳んだティーア。不気味な笑みを浮かべる彼の右手には、刺青の入った腕が握られていた。
それはクラウの右腕。彼の敗北を意味していた。
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兵士たちに動揺が走るが、バユーズはすぐに落ち着かせる。

シュスに止血の応急手当を受けるクラウ。彼が見ている前で、ティーアはクラウの腕を喰らう。(なんちって)

「あぁ……本当に…本当に、あの時手をつけなくて良かった。…凄い。力が溢れる。これじゃあ……これじゃあ僕はここにいる全員、残さず一度に殺しかねない!!」

ティーアはローランドとエスタブールの兵士たちを次々に殺していく。

右腕を失うという重傷を負ってもなお立ち向かおうとするクラウ。
「命令だ! 俺があの化物を食い止める…。その間に、お前は兵を退却させろ…」
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シュスにそう命令したクラウは、最期の覚悟をする。

「シオンと…、ノアによろしく伝えてくれ……!」

かっこいい最期を迎えるはずだったクラウは、間もなくその体の自由を失う。
それはティーアによってではなく、バユーズによってであった。

バユーズはクラウの言うことなど聞かず、その体を担いでこの場から退却しようとする。

「誰が貴様のことなど、姫様にお伝えするものか!」
異訳:べ、別にあんたのために助けたわけじゃないんだからねっ!

「あれを見ろ!」
バユーズが示すその先……

「閣下をお守りしろーー!!」

シュス指揮のもと、ローランドの兵士たちがクラウを逃がす時間を作ろうと必死に魔法を繰り出して時間稼ぎをしていた。

「あいつら……バカ野郎どもが……」
「お前もな。お前たちローランドの奴らはバカだ! 本当に愚かでどうしようもないっ。仕方がないから、助けてやる!」
異訳:べ、別にあんたry

エスタブール出身の者たちも、ローランドの兵士たちをフォローすべく大規模魔法を展開する。
同士討ちの危険性もあったが、相手が魔法を吸収することも見越しての大規模魔法。その間になんとか逃げる時間を稼げればというところか。

ティーアに向けて大規模魔法が放たれる。
その中で、ティーアは確かにクラウに向けて不気味な笑みをみせる。
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「クソォ…………」

屈辱的なその笑みを見たところで、クラウは意識を失う――――




夜。

忌破り追撃部隊はミルクを捜していた。
ルークはライナが姿を消したことを知り、命令書を見せたのは間違いだったかもしれないと考える。そんなところで……

「隠れているのはわかっています。出てきたらどうですか」

すると、ガラの悪そうな男たち三人が姿を現す。
彼らはミルクの身柄を預かってるとのことで、ルークについてくるように言う。

「嫌だと言ったら?」
ミルクの命は保障されない。

「なるほど。ライナ・リュートが隊長をつれていくなんておかしいと思っていました」

犯人はライナではない。そして、狙いはルークであったことが判明する。

三人の男どもは、いつの間にか仕掛けられたマジックトラップによって身動きができなくなる。ルークはあっという間に二人を気絶させ、残る一人に迫る。
足を離せば消し飛ぶというマジックトラップが発動するのは、ルークも本意ではない。

「私と同じローランドに仕える方たちを、死なせたくありませんからね」

ルークは相手のちょっとした動きで、ローランドで武術の訓練を受けた者だと見抜いていた。

「そして、あなたのような部下を持ち、ミルク・カラードを誘拐し、私に用がある人物と言えば、恐らく……」

開眼。

「ミラン・フロワード」

闇からその男が姿を現す。
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「さすがですね。私のことも調査済みですか」

ミランとルークは対峙する。
二人は初対面ではあるものの、ルークがミランのことを知っているように、ミランもルークのことを知っている。

「十二の戦場で無敗。それも、全てがありえないほどの劣勢な状況で」

隠してはいるものの、その閉じられた瞳からはオーラを感じる。ルークもやはりかなりの優秀な人物であったか。

ミランがルークに接触を試みたのは、頼みがあるため。
「陛下がご命令された通り、ライナ・リュートを殺して下さい」

ミランのそのお願いを、ルークは断る。
こうなるであろうことはミランも想定したであろう。二人の戦いは避けられぬか。

「闇よ……有れ!」

現れた影狼に多少驚いたか、ルークはうっかり開眼。しかしその目はすぐに閉じられる。

ルークに迫る影狼は、何かの力がはたらきその直前にて姿を消す。

「闇よ……」

ミランが改めて黒叡の指輪の力を使おうとしたところで、彼の動きは細い糸によって止められる。

「それ以上体を動かすと、指も腕も飛ぶ」

この糸により、影狼も消去させられたか。
開眼したルークを甘く見てはいけない……
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朝。

ライナは三色花見だんごを食べながら思い出す。

「そういやぁ……だんご持ってやるって約束したっけ……。 フェリスのやつ…、怒ってるんだろうなぁ……」

どうだろうか……


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