サカナちゃんの口から衝撃的事実が告げられる。
「眩い銀河の世界に旅立つために、少女の赤い血を船のエンジンに注いだ。結局サムが恋したのは、少女ではなく、銀河の世界への憧れだった。恋する少女は最初から、憧れの旅路を飾る花でしかなかったのだ」
サムは銀河の世界へ旅立つ。未知の世界を知った彼は、間もなく気付く。
「あれほど憧れた銀河の世界。だが、それらの星々は生まれ育ったあの魚の惑星と、どれほどの違いがあるのだろう」
憧れの存在でこそ眩い世界であった銀河。しかし、それを見て知ることで、自分がいた魚の惑星も銀河の惑星の一つであることに気付く。
「銀河は遠い世界ではなく、サムは最初から、その眩い世界に住んでいたのだ」
サムが少女を殺した意味は、いい方向には働かなかった。
物語はそこでおしまい。それを知ったヘッドは不機嫌になり、サカナちゃんに出てくように言う。
「さよなら……」
学園。
復帰したワコとスガタであったが、二人の様子はぎこちないものであった。
ワコはスガタに挨拶をして一昨日の夜のことのお礼を言う。そしてプレゼントを渡そうとするも、スガタは気分がすぐれないとのことで教室を出ていってしまう。
そんな様子を、ルリはギクシャクしてると言うも、タクトはそう感じていないように振る舞う。
「三人ともどうしちゃったの?」
ギクシャクした関係という対象の中には、タクトも含まれている。だから、彼がどう自然に繕おうともその行為に意味などない。むしろ、より不自然な関係に感じられるだけだろう。
人妻女子高生ことカナコもルリと同意見。三人がギクシャクしているのは、タクトがワコとデートをしていたからだと予想する。怪しい三角関係というやつですね。
「三人がって……僕もしてる?」
「「してる」」
明らかにね。
綺羅星十字団総会。
深い眠りからスガタが目覚めた。ザメクのスタードライバーが誕生したとあって、それが議題に上がる。
スガタはタクトの同志と考えるのを前提として話し合われ、スガタの第1フェーズをサイバディの戦いに利用してくることをヘッドは警戒する。それを聞いたスカーレットキスは、そのアイディアをご機嫌に聞いていた。
現状、綺羅星十字団の最優先課題は第3フェーズへの移行。
「でなければ、あのタウバーンには勝てない」
弱気に話すヘッドの傍にはもうサカナちゃんはいない。
大切な存在であったはずなのに……
バス停で待つワコに、ケイトが話しかける。
スガタのために用意したプレゼントをどうするのか……そんな話をしていたところでバスがやってきて、慌てて走ってきた元気な少女ともども、ワコたちはバスに乗り込む。
ちなみに副部長は屋根の上で無賃乗車w
走り出したバスの中。
そこには運転手のほかに、サカナちゃんが乗っていた。フェリー乗り場に行こうとする彼女は、この島に来たのは旅行のようなものだと言う。
「実は私、今朝まで大きな鳥籠に閉じ込められていたんです」
喩えではなく、そのままの意味で。
「嬉しかったんだね?」
ガスターク出身っぽそうな桃色の髪を持つ元気な少女まで絡んでくる。
サカナちゃんはその問いに頷く。自分を閉じ込めた彼のことが好きで、彼も自分のことが好きなのだからと。
お互い好きなのに、うまくいかなかった。サカナちゃんは島を出て一人でやり直すことにしたと言う。
フェリー乗り場に到着し、サカナちゃんは去っていく。
「お元気で」
「お元気で」
「元気でねっ」
素敵な三人に見送られ、サカナちゃんはフェリーへと乗り込む……
頭取はプロフェッサー・グリーンの艶っぷりを見て何かいいことがあったのだと悟る。男のことだろう、うん。
そんな彼女と同様に、スカーレットキスからもそういう余裕を感じるというが、彼女の第1フェーズも考えるとおおよその察しがつくところか。お手並み拝見、どうなるか……
ベニオは、自分の部屋に新たにスガタの写真を貼りうっとり。写真に向けてキスをして恍惚を感じる。
「スガタ君。もう私のものよ……」
島から離れるフェリー。
その甲板で、サカナちゃんは歌う……
夕日でオレンジ色に染まる崖の上。
そこに一人佇むスガタを、ジャガーとタイガーが少し離れた位置で見守る。
そこへタクトがやってくる。
「少し、スガタと話したいんだけどいいかな?」
男同士の話。
それを認めたジャガーは、タイガーを引き連れその場を後にする……
崖の上の美少年。
まずはスガタから話し始める。
その話によると、ジャガーとタイガーはスガタが島から出ないように見張っているのだという。子供の頃からずっと監視されていたスガタ。彼に対し、タクトはいつもナイフを持っているという話に言及する。ワコが触れることのできなかったその話題を……
「お前ってさ、本気で誰かと向き合ったりしてないよな。いつも一人壁を作って遠い世界にいる……」
スガタは、自分たちの諦めの気持ちをよそ者にはわからないだろうと思っていた。しかし、ワコは諦めてなんかいない。それに綺羅星のサイバディはタクトが全て破壊すると決意していた。ワコは必ずこの島から出られると……
「一つ訊く。今日、ワコが持ってた包みが、お前の誕生日プレゼントだって…お前知ってたのか?」
無言は肯定の意。
そう捉えたタクトは、スガタに殴りかかろうとする。
スガタはそれを簡単に受け止め、第1フェーズの発生を脅しに使う。しかし、タクトはスガタがそんなことをしないと確信していた。自分には殺意を抱いていない……それほどの関心がないのだと。
「自分自身のことだって、ホントはどうとでもなれくらいにしか思ってないんだ!」
スガタとタクトは対峙する。
スガタはタクトも自分と同じだと指摘する。それは、タクトがこの島にやってきた行動に表れている。死ぬかもしれないのに泳いできたのは、自分の生き死にを試したため。先ほどのタクトのパンチだって本気ではない。どちらも本当の自分を隠している。
その二人が今、互いの本気を示そうとしていた。
そんなところで、時が止まる。
ゼロ時間の到来。
二人の戦いは持ち越しになる……かに思えた。
しかし、スガタの前に現れたサイバディが、彼を取り込んでしまう。
タクトはアプリボワゼしてタウバーンを起動させる。そんな彼と対峙するのは、スカーレットキス操るページェント。自らの第1フェーズでスガタを支配する彼女は、スガタの力を借りてページェントをパワーアップさせる。
『スガタ君の溢れるようなリビドーが、私のページェントを満たしていく……』
うげ~w
ザメクの力。そしてスガタとタクトが友達同士ということを考えれば勝ったも同然。スカーレットキスは勝利を確信する。
彼女は、今の二人の関係を何も知らなかった……
いや、それも無理はないだろう。わかるのは、渦中の二人だけ。今この場でどうすべきかをわかっているのは、タクトとスガタの二人だけなのだから。
「行くぞ! スガタァァァァ!!」
「来い! タクトォォ!!」
スガタはスカーレットキスの支配を免れ、逆にページェントの動きを支配する。
そして、サイバディを通してのタクトとスガタのバトルが開始される。
その激しいバトルは、傍から見ればスカーレットキスとタクトとの戦い。しかし、そうではない。戦っているのはタクトとスガタ。彼ら二人以外ではスカーレットキスのみが今の状況を理解しており、彼女は焦りに焦っていた。
そんな中でも、二人の男の戦いは続く。
「なんでワコを悲しませる……。見損なったぜスガタ!」
「お前に何がわかる。あのナイフはなァ……ワコを守るために持ってたんだ!!」
一人の女をめぐって争う、二人の美少年。
その本気のぶつかり合いは、真実を導き出す。
島育ちの田舎者と、うるさいよそ者。二人とも笑いながら、渾身の力でぶつかり合う。スカーレットキスなんざ知るかんなもんw
ザメクのパワーに耐えきれなくなったページェントは消滅し、再び時が動き出す。
しかし、これで二人の勝負の決着がついたというわけではない。
崖の上の美少年。
二人は(;*´Д`)ハァハァしながら対峙する。
どれだけ長いこと(;*´Д`)ハァハァしたか。その激しくも甘い吐息が「ふぅ……」と変わった時――――
「人生という冒険は続く」
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