STAR DRIVER 輝きのタクト 15話『封印の巫女』前半

タクトとミズノが対面した思い出の場所。そこにいたカースケのヒナたちは、いつの間にか姿を消していた。
それは大人になったための巣立ち。時の経過は寂しさを感じさせるものの、二人の思い出が色褪せないことも証明してくれる。

タクトのカッコイイ姿を思い出し、ミズノは頬を染めうっとりした表情を浮かべる。

実に魅力的な表情だ。

「タクト君のおかげだね」
「違う。君だよ」

ヒナが巣立っていけたのは、二人がいたからこそ。

「ボク、初舞台の相手がタクト君で良かった」

そして練習と称して、ミズノはタクトへと迫る……

「あのー……」

そこで声をかけてくる者が。
まったく空気を読めないなぁと思い、現実に目を向けてみると……

「トイレ、使いたいんだけど……」

そうそう、ここは男子トイレでしたねｗ


タクトとミズノが禁断の惑星でバードウォッチングをしたという噂は、すぐさまルリのもとへと入ってくる。
言い換えると、男子トイレでウォッチング。実に卑猥な響きだ。

思いのままに生きてるミズノは、副部長とはすっかり仲良し。どちらも可愛らしくて素敵なものだ。


南十字島にフェリーの定期便がやってくる。そこにはとある女性が乗っていて……


放課後。
タクトがチューする相手はワコなのか。おばさんがタクトとワコのもとに冷やかしに来るが、事実は違う。

「すごーく可愛い女の子。タクト君モテモテなんだから」

ワコが不機嫌モードというのがよく伝わってくる。

「ミズノちゃんは、カラスとか副部長みたいに、僕のこと面白がってるだけだよ」

タクトは何も分かっていない。
真剣に向き合おうとしないのは、結果としてワコをより不機嫌にさせる。先ほどまでは不機嫌な雰囲気を出すだけで済んだものの、もうそういうわけにはいかない。ワコはタクトの食べかけのアイスを大きな一口で横取り。不機嫌オーラを存分に発揮して去っていく。
ホント、タクトはモテモテだ。



スガタはいつもの場所でヘッドと会っていた。

「君に二つ提案ある」

ヘッドはそう言う。
一つは先日言ったこと。ヘッドの描く絵のモデルになるとこと。
そしてもう一つは本日初暴露。

「綺羅星十字団第１隊・エンペラー代表の座は君のために空席にしてある」

決定的な一言。
それを聞いたスガタは、右手を頭上に掲げ王の柱を使う構えを見せる。

「戦士の印を持つということはすなわち、大きなリビドーを持つということだ。あるいは野心と言ってもいい。そしてそうであるが故に、戦士のドライバーは誰も俺には勝てない」

ヘッドは銀河美少年が敗れることを予言する。

「命まで奪うつもりはないよ。むしろ、彼も仲間だと思っているからね」

スガタは右手を下ろし、ヘッドはその場を去る。
残された絵の右下には、見覚えのある“Ｒ”の印が……



自転車に乗るおばちゃんが、驚きの相手を発見する。
フジノというその相手は島を離れていた女。

「ねえ、おばちゃん。お金…貸してほしいんだけど」

最低最悪。
決して相容れることのないダメ人間。それがこの女、ヨウ・フジノ。



マリノはおばちゃんから聞いたことをミズノに話す。
“あいつ”が帰ってきたという話を。

「あいつが帰ってきたって、ボクたちには関係ないじゃん」

フジノはミズノの親である。しかし、それが事実であっても、ミズノは最低の女・フジノを嫌悪している。それがせめてもの救いか。

そんな最悪の話は忘れて、ミズノは楽しい話へ移ろうとする。
カースケでもない、カースケよりも好きな副部長でもない、副部長よりも好きな“あの人”の話へ……

「確かに、タクト君はカッコイイよね」

マリノもタクトのことが好き。
その想いに偽りはない。でも……

「私はいつだって、ミズノの味方だよ」

その言葉にも偽りはない。
二人はとっても仲の良い双子なのだから……

「綺羅星！」
「綺羅星！」
「綺羅星！」
「綺羅星！」
以下略。

バニシングエージのスタードライバーが一堂に会したところ。
ヘッドはマンティコールに感謝するようにと皆に言う。

「彼女はアインゴットの眼を使って、日死の巫女を探し出してくれた」
ヘッドはすべてお見通し。

「嘘の下手な女の子は、可愛くていいよね」

嘘を見抜く男の子はあまり魅力的ではないかもしれない。



いつものようにバスの上に乗るミズノ。
非常に便利なものであるのだが、赤信号で停車している際に雨が降り出してきてしまう。

「二人とも傘は？」
「ない」
「ない」

それは地上での話し声。
ミズノがそちらに目を向けてみると、そこにはタクトとワコとスガタといういつもの３人がいた。

『タクト君だぁ！』

心の内で喜ぶミズノには気付かず、３人はいつものやり取りをする。

「３人入れるかな？」

ワコは自分の持ってきた傘を広げ、どうすべきか悩む。

「ワコが好きな方を選べよ」

スガタは軽く言ったのだろうが、その言葉にミズノははっとしてしまう。
いつものようなからかいの意味を込めて、スガタは次の稽古に賭け試合の話を持ち込もうとする。

「お前が勝ったら、ワコとの婚約は白紙に戻そう。これからは、お前がその傘に入ればいい」

ツッコミどころはどこか。
そもそも、ワコの想いがバレバレであるというところからだろうか。
しかし、銀河美少年はツッコミどころを探したりはしない。

「面白い。その冗談、本気にするぜ」

タクトのその言葉自身が、どういう意図のものだったか。冗談か本気か、今のミズノには判断することはできないだろう。
自分の知らないタクトとワコを目撃したミズノの心の中では、自分とタクトがキスする絵がビリビリに破れ散ってしまったのだから。

信号が青になり、バスは再び走り出す。
その頃には雨は土砂降り。それ以上に、ミズノの心の中が土砂降りだっただろう。

『そっか……。タクト君はワコちゃんのことが……』

ミズノの乗っているバスはタクト直通のものではない。
それはタクトを通り過ぎ、ただただ走り続ける……

後半へ続く……

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