それは現実への影響を最小に抑えるために必要なことで、そのことに一番大切なのは量る力。相手はもちろんのこと、自分の力を誤差なく完璧に把握しておくことである。
「資産、知識、IQ、運動能力、あらゆることだ。多岐にわたり正確に把握しているほど、多角的に相手を量ることができる」
アセットももちろんね。
ディールをコントロールするテストとして、公麿は持久戦を試すことにする。
使うのはあくまでミクロの攻撃。初めての試みにしてはそれがうまくいっていたものの、最後の最後で勝ちすぎると判断した公麿と真朱の考えが合わず、逆に僅差で負けという結果に。
僅差だとしても、負けの影響は表れる。
とことで、公麿は身近な変化に関して確認する。
おばさんが盲腸であることや、誰でも単位を取得できるような“社会産業論”を落としたくらい……一応は一安心というところか。
心配していた羽奈日には変化なし。が、それはつまりあまり関わりがないと判断されたためなのかもしれない。ちょっぴりショック(´・ω・`)
真朱は最後の攻撃を止めた公麿に不満を持っていた。
確かに、彼女だってダメージを喰らうのだから不満を持って当たり前のところだろう。自分よりも相手の方を大事にされたわけでもあるのだから。
食べ物の概念すらわからないアセット真朱に、公麿はそれを教えてやる。
栄養補給。元気になる。……つまりは、気分が良くなるとも言えることか。
それを実感してみたいと感じる真朱はあ~んとする。
が、公麿はそれを見て手を止めてしまう。あげればいいのに(´・ω・`)
相当な資産家同士のディールがおこなわれ、その結果大きな変化が発生してしまう。
芭蕉製薬の倒産は、1000億円規模の経済的損失が生じる。
それ以上にわかりやすいのは、1万人規模の人間が路頭に迷うということ。その全ての未来が破壊されるというわけではないのかもしれないが、間違いなく多数の人間の未来が閉ざされることだろう。
そんな話をしてくれる江原はと言うと、奥さんが出ていってしまったのだという。もはや彼をこの世に留めておくべき存在は公麿しかいない……か。
カップ麺を食べながら公麿のディール脚本を読む真朱はそれにダメ出しする。
理由は公麿が脚本通りに動けないであろうから。まずは自分の力を推し量ることが先決か。
そんなところで情報屋の竹田がやってきて、芭蕉製薬の情報を100万で売ってくる。
多少は悩みながらも、公麿はそれを買う。少し前であれば悩む間もなく断るような、そんな金額であったはずなのに……
竹田の情報によると、別の製薬会社が芭蕉製薬を負債ごと買い取るのだという。その実質的経営者は壮一郎。
彼の手により、現実世界への影響は最小限に抑えられるか。
壮一郎がここまでするのは何故か……それは、彼が公麿と同じ感覚を味わったからでもある。
ミダスマネーの気味悪さを実感しながらも、この現実を覆せないことを知った。共存するしかないと悟り、現実世界と金融街のバランスをコントロールする方法を選んだというわけである。
実際、世界はミダスマネーを前提として動いてしまっており、流入を阻止すれば崩壊し多くの人が不幸になってしまう。
「清潔な世界で人々が飢えていくよりも、俺は汚れた平和を選ぶ。この手が汚れても、今あるこの世界が維持されれば本望だ」
公麿はまだそこまで受け入れる段階にはない。ピュアもピュアな段階なのだろう。
しかし、きっと公麿にもそれがわかる時がくるだろう。
壮一郎が公麿に興味を抱く理由がなんとなくわかった気がする……
公麿の次なる相手はちょっと癖のある人物であるよう。
そこで彼の真価が試されるか……
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