東南アジアの市場で変動が起き、それは世界的な規模の金融危機に繋がるのではないかと懸念されていた。
それは金融街のせいではないか。
各国のお偉方は直接にそこに行けているわけではないが、情報としての知識は持っていた。カリブ共和国があったはずだということも、一応は知っている。それが消失したのは南米金融街の破綻によるもので、リーマンショックもそれに連鎖するものであった。金融街を出入りする者はそれをこう呼んでいる。
「C」
それがまた起きようとしている。
そして――
シンガポールは消失した。
11時間6分前。
真坂木の前に壮一郎が現れる。
「これを使いたい」
ダークネス。
壮一郎の未来を20年分消費することになるが、彼はそれを受け入れる。
“C”が日本に到達するまで残り1時間半。
香港証券取引所では変化の兆しが見えていた。シンガポールのSTIが……
シンガポール?
何それ、おいしいの?(´・ω・`)
その影響により、各地で変化が起きる。
香港はかすった程度で済んだものの、それでも充分に大きな変化。日本も直撃は免れない。
“C”が日本に到達するまで残り30分。
さすがの壮一郎も今回ばかりは大変そうな表情を見せる。
それでも、主要な銀行と国内上位の企業80%を持ちこたえるだけの資金を集めてはいた。
それも最後の追い込みのマネーがあったからこそ。それをどうやって調達したか……
11時間6分前。
壮一郎は真坂木案内のもと、ミダス銀行の最奥部にまでやってきていた。
彼はそこでミダスマネーを発行。それと引き換えに消えていく未来を見る。
守りきる。
そのために動いているのだから、何とかしなければなるまい。
“C”の余波はついに日本に到達した。
「買え。買って買って買いまくれ! 資金はいくらでもある。日本を…一つでも多くの企業を、買い支えるんだ!」
下落に歯止めがかかり、救いの兆しが見えてくる。
持ちこたえるか……そう観察していたサトウだが、壮一郎が越えてはならない一線を越えてしまったことに気付く。
壮一郎は“今”を守り抜いた。
しかし、彼に降りかかる見返りは逃れられぬ。
“C”の影響は最小限の形でおさまった。
しかし、壮一郎が莫大なミダスマネーを投入したとわかっているサトウは、壮一郎がおこなったことの影響で何かが起こることを予感していた。
というより、あらゆる可能性を危惧していた。
何をしようともリスクは付き物。それでもそちらばかりに目が向いてしまうのは仕方のないことか。
竹田崎が真朱のことを知っているようだった。サトウはそのことを公麿に話す。
とことで、それを聞いた彼は竹田崎のもとに向かう。
竹田崎が写真で見せてくれたのは、真朱にそっくりなアセット。公麿の父が似たようなアセットをパートナーにしていたのは、何らかの意味があるはず。
二人の未来に共通していることは何か……?
公麿はサービス付きで写真を買い取ることに。
夢には叶うものと叶わぬものがある。
その二通りはどちらも結果として言えること。どちらにせよ、未来があるからこそ抱くことができるものである。
未来が消えて行き場を失った命が、行き場の無い夢に姿を変えてアントレの前に現れる。それがアセット……なのかもしれない。
公麿の父は公麿のことを愛していたことは証明できるとサトウは言う。
アントレとして破綻すれば家族に影響が出る。それを何としても避けようと、最後のディールを前に避けようとしたのだろう。
それは、公麿がここにいることが示している。
「ここにいるじゃないか」
それが父の足掻いた証し。そしてそれがどんなに大変なことか、今の公麿ならわかるはず。
公麿は何を守れるか。それはきっと近いうちにわかるはずだ。
公麿は電話をする。
そして向かうは羽奈日のもと。彼女はかつての生気を失っていた……
変わった現実。
しかし、人々は変わらない日々に元気を失いつつある。
世界は確実に変わり、ついには同じバイト先の仲間までもが消えてしまう。
羽奈日は……?
彼女のことを心配した公麿はすぐさま駆け付け、彼女が病み病みの状態であることを知る。
未来の無い現実。
これが壮一郎の守った“今”の姿。それはなんと悲しきものか……
今ある“今”はとても酷いもの。公麿はそれに抗おうとすることを決意し、未来を取り戻すためにサトウの動きに協力することに。
公麿はその考えを真朱にも話す。
未来を取り戻せれば、真朱はもしかしたら自分の娘としてハッピーになれるのかもしれない。そう言う公麿であったが、真朱にとって何が幸せであるかは公麿にはわからない。彼女自身にしかわからないものなのだ。
それで、公麿の娘という立場は真朱にとって幸せなものではない。彼女にとっては“今”の一緒がいい。
だから彼女は強請る。
「キス」
してあげるよー(*´ω`*)
……ごほん(´・ω・`)
公麿は真朱の額にキスをする。
それは真朱を大事に想っている証し。でもそれは好きという感情とはまた違う。
日本の少子化の勢いは桁違い。
土地自体がなくならずとも、この国の“今”は近いうちに断たれてしまうだろう……
この記事へのコメント
あるるかん
サトウさんがヒロインとは僕としては嬉しい限りです。ただ花火の存在意義がイマイチわからないんですよね。“C”の影響ならバイト先の仲間で充分にわかるのですから。
ヒロイン格には真朱やサトウがいますし、一部視聴者には特に嫌われてもいます。
公麿の親父さんは破産前に自殺して家族を守ったのかも知れませんね。
真朱は娘ではなく近い将来に出逢う恋人だったりして!
本隆侍照久
壮一郎の考えはわかるんですけどね。“未来”が変化するのに“今”も大きく変化してしまうこの金融街の仕組みにおいては、彼の考えは活きない結果となってしまっていますね。
公麿たちで現状にどう救いを見出すか気になると事です。
最初の時点では羽奈日はもっと関わってくると思ったんですが……完全に残念幼馴染状態に陥ってしまっていますね(´・ω・`)
このまま終わるのであれば、確かに彼女はいらぬ存在ですけど、今後何か関わってくるかもしれませんね。よりヒロインに相応しいであろう真朱が公麿にとって一番という結果に収まるのであれば、羽奈日は当て馬や噛ませ犬といった存在になりますね。もうその気がかなり感じられますが……(´・ω・`)
で、アセットが真朱であることの意味がやはり気になりますね。恋人であるならば真朱としては喜ばしいことでしょうね。金融街のシステム上、いきなり世界に入り込むことも可能ではあるでしょうが、その場合彼女の人格等はどうなるんでしょうね。いろいろと気になることは多いです。とは言え、私は考えるタイプでないので、ただひたすら次回を待ちますがw