弟、妹がお腹すいたと菜子ちに訴える。久々に早く仕事を上がれた菜子ちだが、兄弟達の世話等で大忙し。それでも大変なことばかりではなく、妹をからかいつつそれなりにエンジョイしていた。
両親は机に教育の書物等を広げ、教育に関して議論。
そんな彼らに、菜子ちは食事の前に着替えるように、また机を片付けるようにと言う。
菜子がいれば安泰だと言う二人は、教育の前にもっとちゃんと子育てについて考えるべきであろう。
夜。
菜子ちは妹のためにご本を読んであげる。
そこで考える。自分がもし人魚姫だったらと。目の前に溺れている王子様がいたならば、
『王子様に、憧れたりなんてしない』
海の中を好きなだけ泳ぎ、疲れたらちょっとだけ休憩。
そう考えるのは、菜子ちが海の世界の真実を知らず、地上の怖さを知ってしまっているからだろう。
『きっと、私にとって家は、海の中と一緒なんだと思う』
早朝。
菜子ちは家を出る。
しかし、朝から弟たちの世話も行わなければならず、仕方なしにそれを……というところで、近所のおばさんが話しかけてくる。
弟たちにはちゃんと喋れてる彼女だが、それにはまともに返事ができず。
『そう。地上は息がしづらくて……』
夕夜。
喜翆荘にて、菜子ちはお客様にこのあたりで今ちょうど見ごろな花は何かと訊かれる。
しかし、それに答えられず……(´・ω・`)
翌朝。
菜子ちは彼女なりに前日の答えを用意していた。
いや、むしろそれくらいの知識は彼女も持ち合わせていたのだろう。しかし、それを返事としてすぐに答えることができなかった。
『やっぱり、思うようには泳ぐことができなくて……』
「どうしたの?」
一年中見ごろな緒花登場(´・ω・`)
そんなところで二人とも巴から事務室へ招集がかかり、お待ちかねのお給料の儀に。
緒花はたったの5000円。
「あんた鶴の間の花瓶割ったろ?」
弁償すれば2万や3万では済まないという上物。であるならば、ありがたく頂戴いたします(´・ω・`)
緒花とは違い、菜子ちのにはいつもより多く入っていた。
これは期待の表れだろうか。菜子ちは母親と議論していた父親の言葉を思い出す。不相応に褒められたならそれに見合う自分に変わっていこうと逆に努力するんじゃないかと言っていたそれを。
菜子ちは真面目だからきっとそういうタイプと判断されたのであろう。
そんな菜子ちに、次郎丸が近付く。
「どうでしょう菜子さん。そのお金、私に任せてはいただけないでしょうか? 今FX小説を書こうとしてましてね」
「女子高生に投資させるな!」
ナイス巴さん(´・ω・`)
15000円あったら1個20円の黄粉餅のチロルチョコが750個も買える。
そんなことを考えている緒花に、菜子ちは言う。
「多分、女将さんは私に変わって欲しいんだと思う」
変化を促す形は人それぞれ。
緒花は自分もと気合を入れ直すも、
「緒花ちゃんは多分、褒めると図に乗るタイプだから」
「……図に乗る……」
言い直せば、叱られて伸びるタイプ。
さすがに菜子ちの言い方は心にズキッと突き刺さるものがあるだろう。自分も下剋上で奮起するタイプだけにそう感じる。
菜子ちはいい意味でとフォローするものの、何でもそれをつければいいわけではありませんからね(´・ω・`)
菜子ちは自分を変えたくてこのバイトを始めたと話し始める。
家だと菜子ち的に納得できるような自分でいられるのだが、外ではそうはいかない。緒花や民ちといる時はそうでもないようだが……
「本当の菜子ち出てこい!」
と、緒花は菜子ちのおでこご開帳。
嫌がってるからやめたげて(´・ω・`)
学校。
お昼ご飯に、結名ちゃんも含めてお給料とその使い道の話をする。
自由になるお金がほとんどないからと話していたところで、結名ちゃんが飲んでいたお茶のペットボトルが空になり、緒花はそれを貰う。
僕も欲し……何でもありません(´・ω・`)
緒花はそれに水道水を汲みに行く。
涙ぐましいだなー(´・ω・`)
ま、それくらいでなければ。
民ちはアマダイ。
菜子ちは貯金。
それなりに貯金は必要かもしれないが、少しは使うべき。でも使うことを前提にしてもいけない。それなりに考えてそれらをコントロールすることが必要。
お金については常に考えること。大変だが細かい計算が重要だ。
結名ちゃんは放課後買い物に行くことを提案する。
このお年頃なのだから、それはいい提案と言えよう。緒花もそれに賛成する。
「あんた、買い物行く余裕あるならジュース買えば?」
生活との兼ね合いを考えるのもまた難しいところ(´・ω・`)
街中。
結名ちゃんは露出が多すぎる服を、民ちは3枚1000円のセールTシャツばかりを見ていた。
一方、緒花はなかなかセンスがあり、やはり東京の人だというオーラを出していた。(菜子ち視点)
菜子ちは緒花が選んだ服を同じく試着してみる。しかし、この二人では着た時の印象がまるで違う。自分に合うかどうかというのがまた大事。
菜子ちは結名ちゃんが指定した者を身につけることになり、改めて試着室へとハウス。
それらを身に付けた菜子ちはまたいつもとまったく違う印象。素材の良さを存分に活かした仕上がりと言えよう。
しかし、それならば衣装がどうであれその良さを見極めることができるのが男としての……まあいいや(´・ω・`)
結名ちゃんの言うとおり、これで自分が変われると判断した菜子ちはすぐさまレジに行き、これ全部くださいと言う。
豪族もまあいいですけど、まず脱いで下さいな(´・ω・`)
喜翆荘。
縁は女将に、この状況で菜子ちの給料アップの余裕があるのかと問いかける。
「お前が言える立場かい?」
ごもっともで(´・ω・`)
お買い物の後はカラオケ。
菜子ちはルックスは変わったものの、選曲センスはイマイチだし、歌うポーズも……(´・ω・`)
次に歌おうと緒花が選ぶのは『精霊流し』。民ちが選ぼうとしている曲も含めて、このメンツでの常識を考えるに、外れているのは結名ちゃん。彼女が皆に合わせなければ(´・ω・`)
次はカフェ。
あまり食べすぎたら太るわよ(´・ω・`)
特に外食は味が濃くてカロリーも適当になりがちで良くないわよ(´・ω・`)
緒花は一番安いブレンドでミルクいっぱいを注文。コーヒー苦くて苦手だけど、お金がないのだから仕方あるまい。
それをほっとかずに涙ぐましいだとか言うくらいなら……
同情するなら金をくれ(´・ω・`)
帰り。
いつもとは違う経験をしてちょっぴりお疲れの菜子ち。
でも楽しい疲れと言えるだろう。
「いつも一緒に働いてるけど、こうしてどこか遊びに行くとかは初めてじゃない?」
「そういえば、緒花ちゃんも友達いなさそうだもんね」
えっ?(´・ω・`)
「悪い意味じゃなくて、いい意味で」
やはりそうフォローしたものの、いい意味で友達いなさそうとは何ぞ(´・ω・`)
「緒花ちゃんは何て言うか、裏表なくていつもそのまんまだし、敵も多いかもなって」
それも、いい意味で(´・ω・`)
そんなところでのどが渇いて死ぬとか訴えるよくわからん男どもが現れる。
のどが渇いて死ぬとか、ここまでどうやって生きてきたのだろうか。まあそんな話に触れるのもそれだけ無駄ってところか。
ここは結名ちゃんの対応がベスト。
「だったら死んじゃえ」
同意(´・ω・`)
死ぬのが嫌だったら勝手に何か飲め。以上。
それでも引かぬ男どもは勝手に菜子ちの手に触れる。そしてスリスリ。乾ききった汚い手で触りおってからに(´・ω・`)
菜子ちはそれから逃げ、皆もその後を追う。
帰宅した菜子ちはお土産のケーキを見せる。
それに子供たちは歓喜。良かったね(´・ω・`)
ケーキもそうだが、菜子ちの格好はらしくない。
そう指摘され、こういう変わり方じゃダメなんだよねと気付く。
無駄なお金を使ったものの良い経験と言えよう。ほとんど自己完結な考えだが、結局はそういう問題。菜子ちが満足できる結果が得られればそれでいいのだから。
菜子ちは泳ぐ。
優雅に泳ぐ菜子ち姫のもとに、緒花アマダイと民ちアマダイがやってくる。
王妃様が呼んでるとのことで、そちらに向かうも……
シャレオツの時代だからと身に付けられたものは重く、菜子ち姫には不相応。
その宝石の重さに見合う自分になれるよう頑張りなと言われるが、難しいところ。
菜子ちは重くて沈んでしまう。飾りも期待も重すぎて……
というところで現実へ戻ってくる。
変わろうと意識するのではなく、せめていつもの自分でいられたらと考えることにする。
翌朝。
徹と蓮二がほぼ同時に喜翆荘へとやってくる。
「ああ、蓮さん。ぉっ……!」
わっしょい(´・ω・`)
もうすぐ秋だから奮発したと言う蓮さんのスカジャン姿。これで15万もしたそうな。
そこへ菜子ちも自転車通勤。
連さんはさりげにスカジャンを見せつける。
「もうダメですよ蓮さん。そんなに面白い格好して仕事に来たら」
蓮さんはショックで倒れてしまうが、菜子ちはそれに構わずその場を後にする。
菜子ちは自分のこともそうだけどもっと他人の気持ちを考えるべきだと思うの(´・ω・`)
菜子ちは元気よく挨拶。いつもの自分を心がけたテンションをキープしていた。
家での自分と変わりなく、それを心がけるがゆえにお客様の気持ちも考えず勝手な行動をしようとしたところでミスをおかしてしまう。
お客様が心優しかったため致命的なことにはならなかったが、気をつけねば。
菜子ちは給料のことについて、それが分不相応であるのだということをスイに話そうとする。しかし……
「言っておくけどね。ここは学校じゃないんだ」
菜子ちの意識を高めるための給料アップだとか、そんな悠長なことを考えてはいなかった。それを証明するためにも、スイは一通の手紙を差し出す。
それは昨日お帰りになられたお客様からのものだった。
菜子ちが紹介した山上の花畑が筆舌に尽くし難い素晴らしさだといったことを始めに、そこには菜子ちへの感謝の言葉が綴られてあった。
「お前らしい働きを認めてくれるお客様がいる。だからこそ給料を上げる。そこのどこがおかしい?」
本当の菜子ちだとか、そんなのを深く考えているのは彼女自身のみ。
彼女が本当はどんな者なのか、それは周りの者たちに逐一説明されるものではないのだから、周りが感じるのが彼女らしい姿である。
「喜翆荘でのお前は、おどおどして声が小さいかもしれない。でも、誰も気づかないところに気付いて、温かい心配りができる。お前はそういう仲居だ」
それぞれの良さがある。
サッカーでだってたとえられる。たとえ凄いスター選手がいても、それと同じタイプの選手11人で構成するなどまずありえないのだ。各ポジションで適正の能力を発揮してこそ、初めて一つのチームとして機能する。
喜翆荘もそれと同じ。
菜子ちも喜翆荘を構成する大切な存在で、菜子ちにしかできない彼女らしさを存分に発揮していれば、それでいいのだ。
そのことに気付き、菜子ちは元気を取り戻す。
空中クロールでゴキゲン遊泳。
「なんか菜子、キモイ」
「あっ。黄粉餅とキモ菜子ちってちょっと似てるよね?」
そうだね(´・ω・`)
ここは海なんかじゃない。
それを認めたうえで、今の菜子ちならばここの良さがわかる。
海には海の、地上には地上の良さがあるのだ。
だから菜子ちは地上を目指す。
『今ならどこでだって、泳げそうな気がするから……!』
何にだって良さはある。
それは自分のことももちろんそうで、それに気付けるかが問題なのだ。
どんなに些細なものでもその魅力に気付けるようになれれば、それはとっても素敵だなって。
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