「実はお前は本当は……男だったのだ」
そんな言葉、簡単に受け入れられるわけがない。
ルカ子は涙を浮かべるが、まゆしぃのためにはなんとかしてそれを受け入れてもらうしかない……
AD 2010.08.13 15:31
ラボにて。
紅莉栖は咳払いをし、焼きそばの湯切りに失敗して麺を全部流し台にぶちまけたような顔をした凶真のことを心配する。
「むしろ、必死で貯めたスタンプカードをいざ使おうとしたら、有効期限が切れていた時のような顔……と言ってくれ」
なんとかそう切り返すことのできる余裕はあるようだ。
そこへ怒ったまゆしぃがやってくる。
彼女が怒っている理由はもちろん、ルカ子を泣かせたためである。
ルカ子を男だと言ったことは罪深ろう。それを知ったらば、紅莉栖もさすがに怒りたくなるだろうが、凶真にしてみれば彼女は唯一の理解者となるべき存在。彼女を連れだし、事情を説明する。
「というわけで、次に取り消すべきDメールは、ルカ子が生まれる前…自分の母親のポケベルに送ったものだ」
「漆原さんが実は男……? 信じられない」
それもしょうがないだろう。
その事実が目の前にあっても、ルカ子が男であることは信じられないと感じられたのだから。
「もしかして、橋田みたいな?」
いや、それはないが……ふむ(´・ω・`)
「「これは酷い」」
ですよねー(´・ω・`)
「ではなくて、見た目はあのままだ」
「なら許す」
まゆしぃを救うためにはルカ子を男に戻さなければならない。そのためにはやはりルカ子を説得することが必要。ルカ子が送ったメールの内容を知ってはいても、送った先のポケベル番号を知らないのだから。
それに、誠意を示すためにも変な小細工を労するより真実を告げた方がよかろう。でもその結果、泣かせてしまったというのが現状であるが。
「ていうかそれ、フラグが立ったんじゃない?」
もちろん、死亡フラグでなく恋愛フラグ。
凶真のことが好きだったが故に、その者から男だと言われ乙女心がズタズタになった。そう考えれば、彼女のショックの程も窺えよう。
そんなところで、凶真の携帯にルカ子からメールが届く。
大事なお話があるとのことで、これから柳林神社まで来てくれないかとのことだった。
とことで、凶真は早速そこへと向かう。
ルカ子の大事な話というのは、何かお願いがあるとのことだった。
凶真の話を信じるという前提のもと、それと交換条件という形でのお願い。
「男に、戻る代わりに……こ、恋…恋人になってください!」
あらやだ(*´・ω・`*)
彼女がそんなことを言いだす理由は単純。凶真のことが好きだから。
それ以外に理由は必要なかろう。
明日一日だけでいいから、ルカ子と恋人になる。それは彼女が女の子であることの存在証明にもなる大切なこと。今のルカ子は確かに、女の子であるのだから……
「いいだろう。明日一日でいいなら、恋人になってやる」
それだけでも、ルカ子にとってはとても嬉しいこと。
そんな純な彼女の姿に、凶真はキュン(*´・ω・`*)としてしまう。
メイクイーン+ニャン2。
「それで明日漆原さんとデートすることになったのか」
狂気のマッドサイエンティストが女子高生とデート。
そのことに、紅莉栖は若干不機嫌そうな視線を向ける(´・ω・`)
デートになったからこそ、凶真はこうして恥を忍んで相談しているわけだが、その相手はいろんな意味で間違えていると言えるかもしれない。
「奥義習得の任務ためとはいえ、手当たりしだいにいろんな子に手を出しすぎだニャ」
フェイリスは誤解を生むことだけ言い残して去っていく。
あくまで冗談の一部なのだが、紅莉栖はその言葉に反応する。
「岡部ってその……奥義習得のためなら、何でもできちゃうの?」
(´・ω・`)
何故紅莉栖までもが設定の話に触れてくるか。
「特に意味はないんだからな!」
ふむぅ……(´・ω・`)
そんな口論を繰り広げていると、店内にいたダルに聞かれてしまい、デートのことを彼にも詳しく話すことに。
しかしながら、ダルはこれまで何十人の女の子とチュッチュしてきた猛者。デートのことなら任せられるだろう。とは言え、全部ゲームの中での話だが(´・ω・`)
凶真は自分で調べてみるも、別世界のそれについていけず。
そもそも、IQ170に生まれた凶真にしてみれば、興味があるのは女よりも研究であり、
「どう見ても童貞です。本当にありがとうございました」
そう言う紅莉栖はどうなのかと言うと、やはり彼女もそういった経験があるわけではない。
勉強や研究に明け暮れてきたわけで……
「うっさい! ヴァージンで悪いか!」
(´・ω・`)
ともにデートについて学ぶことに。
初デートで重要なのは相手に与える印象をいかに良くするか。
服装はブランド物できめる必要はなく、清潔感のある……
「そこはOKだな。白衣ほど清潔なものはない」
いやいや(´・ω・`)
店選びに関しても同じ。
無理をして高級店に入る必要はなく、普段の自分の行きつけの店で充分。
といっても、やはりそれも程度があろう。今凶真達がいる店はないだろうからな。
「当たり前でしょ。この殺伐とした店内でどんなデートするつもりよ」
店員のおばちゃんが聞いてますって(´・ω・`)
他の行きつけと言えば、メイクイーンや武器屋本舗……適当な場所が見当たらぬ。
それにいちいち文句を言う紅莉栖はどうなのだろうか。デートマニュアルを音読しているだけで上から目線は酷かろう。
「このメリケン処女めが!」
仲良くしよ(´・ω・`)
ダルはエロゲの攻略本を勧めるが、それでいろんなシチュを妄想した結果……
「リア充のバカァ!」
その言葉には同意(´・ω・`)
翌日。
結局何のプランも立たないままデート当日の朝になってしまったわけだが、紅莉栖がUNIQLOの服を差し出してきてとりあえずはそれを着ることに。
紅莉栖とダルはこっそり後についてきて、いざという時はメールでアドバイスしてくれるという。
「オペレーションヴァルキリア、開始よ!」
待ち合わせ。
凶真が待つそこへ、ルカ子がやってくる。
今来たところ。大丈夫、うん(*´・ω・`*)
早速デート開始。二人はぎこちなく歩いて行く。
一応は凶真なりに頑張っているものの、うまくはいっておらず紅莉栖はイライラ。イライラの理由はいろいろと含みがありそうだが、まあ気にしないでおこう。
とあるカフェに入り落ち着くも、だからこそ逆に会話が続かず苦しいところ。
今までは普通に話せていたのにと意識すると、より一層ぎこちなくなってしまうデート会話。
大事なのは会話のキャッチボールだと心がけた凶真は、ルカ子の振った話に関連した話を投げ返す。この店にはよく来るのかという問いに初めてだと答え、初めてと言えば今日8月14日は日本で初めて専売特許が公布された特許記念日だと言って返す。
何この牽制球(´・ω・`)
でもまあそれが彼らしくもあるわけだが。
今のところ役に立っていない紅莉栖たちだが、最後まで見届けようと考えていた。
店を出て、ルカ子は自分なんかとデートをしてもつまらないのではないかと卑屈になるが、そんなことはない。次は街をぶらぶらしようと、再び歩き始める。
しかし、それは文字通り街をぶらぶら。
「ひたすら歩いて上野まで往復って……!」
そんな中、ルカ子は初めて会った時のことを話し始める。
「カメラを持った男の人達に絡まれて、困ってたところを、助けてくれたんですよね」
それは凶真の記憶にもあること。
そこで、ルカ子は自分が男であることを打ち明けた。そして凶真はそれを関係ないと言って受け入れた。
その言葉がルカ子には嬉しく、それがあったからこそ彼女は凶真のことを好きになった。
しかし、よくよく考えなくてもそれはおかしいことに気付ける。
それはルカ子が男であった時の記憶のはずで、そうでなければ今のルカ子が女性であるということと矛盾が生じるはずであるから。
そう指摘され、初めてルカ子は自分が言ったことのおかしさを実感する。
フェイリスの時と同じ。ルカ子も前の世界線の記憶との混同が起こっている。
でもそうであったにしろ、ルカ子が凶真のことを好きになった理由はそれで間違いないだろう。そしてそれが正しいタイミングであるのならば、ルカ子が凶真に恋した時の性別は……
夕方。
デートを終え、ルカ子はお礼の言葉を述べる。
「恋人になってくださってすごく……すごく、幸せでした」
涙ながらに、ルカ子は凶真に母親のポケベル番号を渡し、去っていく。
これで良かった……んだよな……
*2*22929831831
29298318312929
これを見れば、ルカ子の母もきっと前のメッセージはいたずらだったと思うはず。
それを送る準備ができたものの、凶真は元気なく項垂れていた。
そこへまゆしぃがやってくる。
先ほどルカ子が誰かとデートしてるのを見たと報告する彼女に、ダルはそれが今日まであると教える。しかし、まゆしぃはそれを信じない。
「あんなの絶対オカリンじゃないよ。だってなんか普通の服着てたしぃ、けっこう紳士っぽかったしぃ」
「その通りだ。あんなのは俺じゃない。あれじゃルカ子は、俺とデートしたとは言えない!」
だから凶真は、改めてルカ子のもとへと向かう。
いつもの白衣に身を包んだ彼は、鳳凰院凶真なのだ。
男だとか女だとか、そんなことはどうでもいい。
「俺は俺であり、ルカ子はルカ子。俺の弟子だ」
二人には二人のデートの形がある。
妖刀「五月雨」を使い、凶真とルカ子らしい二人だけの時間を満喫する。
夜。
「まゆりちゃんのこと、助けてあげて下さい」
ルカ子は凶真が探しているIBN5100について話す。
それは去年の正月までうちの倉庫にあったというが、それをルカ子が壊してしまったとのことで、彼女はそれに責任を感じていた。だからこそ彼女も凶真にお願いをする。
「まゆりちゃんを助けてあげて下さい!」
久しぶりに凶真と修行ができたことに喜びを感じ、でももうこれ以上一緒にいたら泣いてしまいそうだからと、別れの時を迎える。
「こういう時は、例の合言葉ですよね。 エル・プサイ・コンガリィ……」
「……コングルゥだ」
ルカ子はもちろん戻りたくないと思っている。
男に戻ったら、今抱いているその気持ちを封印しなければならないから。今日のことも全て忘れてしまうから。
「こうして、岡部さんの体に触れていることも……」
ルカ子……
「こんなに辛い気持ちを味わうんなら、女の子になりたいなんて……願うんじゃなかった!」
でも、封印する必要のない、大切な想いを打ち明けられたはず。
そのことを大事にしてほしい。
「お前が男に戻っても……俺にとってルカ子はルカ子だ。何も変わらない!」
それが凶真であり、そんな彼にルカ子はせめてもの願いを告げる。
「少しでいいから……覚えていて下さい…。 女の子だった、ボクのことを……」
「…ああ。忘れない。…絶対に」
0.523307
凶真の前にはルカ子が立っていた。
女よりも女らしい美少女が。
「お前は、俺のこと好きか?」
真っ直ぐな質問。それに彼女……いや、彼は尊敬していると答える。
「だが…………男だ」
残るメールはあと一つ。
徐々にスタート地点へと近付いてきている……
この記事へのコメント
あるるかん
ルカもフェイリスと同じくつらい決断でしたね、本来の現実(彼女等にとって)ではそうでなかったことが叶ったことは夢幻でしかなく、それを取り消せなければまゆりが死んでしまう。
友人と秤にかけなければならないんですから。
次回は萌郁のメールについてですが、それも難題ですがクリスとまゆりどちらかを選ばないといけなくなる可能性はあるんですよね。
本隆侍照久
紅莉栖は喋れば喋るほど墓穴を掘ってますね。そんな彼女が魅力的ですw
ルカ子も複雑なところですね。オカリンへの想いが残っていることがまた残酷と言えば残酷で、それが叶わないであろう性別に変わらざるを得ないのは辛いでしょう。それでもまゆしぃの命と比べるのであれば……そうしなければいけない、もはや選択肢があってないような状況がまた辛いものですね……。
萌郁のメールは一番ハードルが高そうですね。それをどう乗り越えていくか、またその先にあるであろう究極の選択をまたどう乗り越えるか、怖くも楽しみですね(`・ω・´)