平常心(´・ω・`)
学生の皆さんもご存知なことだが、昨日の六本木の事件に関してGHQから第二級の非常事態宣言が出されていた。
葬儀社と名乗るテロリストについて何か情報のある者は速やかに当局に申し出る事。その注意をしたうえで、教師は転入生の紹介をする。
やってきたのは女子。それもとんでもなくプリチーだということで教室内は盛り上がり、集もそちらに目を向ける。
楪いのり。
そこにいた彼女を見て、集は思わず立ち上がる。
「嘘……でしょ……?」
集のその反応に続き、皆も次々に気付き始める。転入生の彼女が、EGOISTのいのりであることに。
「ホントだよ?」
いのりは首を傾げる。
彼女の言葉に、教室は歓喜に包まれる。
いのりが何者であっても、彼女が現れた時点で歓喜モノだろうに(´・ω・`)
転入生がやってきたとなれば、直後の休み時間は多くの生徒がその者の机の周りを囲む。
いのりも例外ではなく、クラスメイトに囲まれ優しい言葉をかけられていた。集はその光景を見て、葬儀社に入らないと決めたのになんで彼女が学校に来るのかと不安な疑問を抱いていた。
そんなところで、颯太の声が聞こえてくる。
「あの、……葬儀社とかってどう思います?」
そんなことをいきなりいのりに訊く颯太。
他の生徒はいきなり何かと颯太に文句を言う。
そりゃあそうだ。入ってきたばかりでそんな話に触れ、もし好きであるならいいかもしれないがそうでなかったら失礼に値するもの。
颯太が何故そんなことをいきなり訊いたのかと言えば、EGOISTの歌が葬儀社っぽいと彼なりに感じたためだという。
もしかしたら、彼は歌と真剣に向き合ってるのかもしれない。そうであるかどうかはこの先に出る答え次第になるわけだが。
いのりの周りを囲む女性陣は、んなわけないでしょと颯太を一蹴。いのりの口から答えを聞くことはできませんでした(´・ω・`)
まあ颯太は置いておくとして。
EGOISTの他のメンバーはどんな人たち?
サインしてくんない?
俺も俺も。
ボクもボクも(´・ω・`)
など、いのりはだんだんと転校生としての質問攻めから、有名人としての扱いへと変わっていく。
ちょっぴり嫉妬。かどうかはわからないが、集もついつい立ち上がり、その身が半分いのりの方へと向く。が……
「いい加減にしろよ」
そう言いクラスメイトの横暴をやんわりと止めたのは谷尋だった。
「ごめんな。こいつ、魂館颯太ってんだけど、スゲー君のファンでさ。無礼は許してやってよ」
行動がまさにイケメン。だけど僕のタイプではない(´・ω・`)
「ああちなみに、俺は寒川谷尋」
「あ、俺と谷尋とあそこの集って奴で、現代映像文化研究会って同好会を作ってて、それで…あの!」
「だーから焦るなって」
谷尋は冷静に颯太を止める。
颯太だけではない、皆にも言う。
「俺たちこれからずっと、一緒のクラスなんだからさ。慌てないでいこうぜ。なっ」
落ち着いた対応で場をおさめる谷尋の冷静さはまさにイケメンなもの。でもボクのタイプでは(ry
あの子が学校に来たのはどう考えても自分とは無関係ではないだろう。
そんなことを考えつつ、集は体育の授業を受けていた。
体育館の内部周りを走る男子に対し、女子は中央部でストレッチ体操。無表情でそれに取り組むいのりのボディに目が釘付けになってまう……(*´・ω・`*)
とある男子生徒は言う。いのりはなんか人形っぽいと。
それに迎合するというわけではないだろうが、集はリアルの方がCGっぽいという返事をする。
するとそれに颯太が反論。
「いのりはCGなんかじゃねぇよ! 目を覚ませよバカ!」
しゅん……(´・ω・`)
「お前そういうこと絶対本人に言うなよ! 傷つきやすいんだからな、いのりは!」
お前が何を知っているというのか。まあこっちもたいして知っているわけではないし、颯太の言うそれがあながち間違いであるとも言い切れないだろうが。しかし……
『バカって言われた。俺の傷つきやすさの方は見過ごされてもいいのか……』
集が傷ついちゃった(´・ω・`)
『ってまた自分のことばっかりか、俺は……』
それが当たり前であってもいいのに。
特に今回ばかりは集の気持ちをないがしろにされたのだから。
それでも彼は……
夕方。
『とにかく。もう彼女とは関わらないようにしよう』
あんなにプリチーな彼女のことをそう簡単には諦めきれない……というかほっとけないはずなのだが、この決断をする集のなんと意思が強いことか。
まあそんな戯言はともかくとして、集は帰宅する。
手をタッチして部屋のロックも解除。オッケー、部屋に入ろう。
でもあるぇー?(´・ω・`)
ボク手触れてないんだけどなー(´・ω・`)
「はっ!?」
いつの間にか、集の隣には当たり前のようにいのりがいて、当たり前のように部屋に入っていく。
部屋の中にはいつの間にか見知らぬ荷物が。理解できぬまま彼女を追う集は何かに転ばされどてり。ドジっ子属性を兼ね備えていたかという見事なこけっぷり。それを演出したのはふゅーねるであった。
ふゅーねるもまた、集の言葉をまったく聞かず、スーっと部屋の中に入っていく。
そちらに目を向けると、今まさにいのりがお着換え中。制服を脱いでいた。
キャッ!(つω∩)
なん(*´・ω∩)
ちゃって(つω・`*)
ぐへへへ(*´ω`*)
なんて考えていると、いつの間にか目の前にはふゅーねるが。集に攻撃を仕掛けてこようとし、集はそれを必死で止める。
「どうしてうちに来るの!? てか、なんで鍵開けられるの!?」
「ふゅーねるがやってくれた」
ふゅーねるが一晩でやってくれました(´・ω・`)
まあそんなこんなで着替え終えたいのりは、いつの間にか集の傍へ。しゃがみこみ、両手を両頬に当てじーっとこちらを見ていた。
仲間にします(`・ω・´)
「えっと……いのりさん?」
「いのり」
「いや、いきなり呼び捨てとか無理だから……」
だからいのりちゃんと呼ぼう(*^ω^*)
いのりちゃんはしゃがんでいるため、集の目線はどうしてもそっちの方へちらちら(*´・ω・`*)
だって仕方ないじゃない。男の子だもんっ(*´・ω・`*)
そんな集にいのりちゃんは言う。
「お腹減った」
今日のおかずは豪華だよー(*´ω`*)
あ、ごめん、自重します(´・ω・`)
「じゃあ、何がいい?」
「おにぎり」
この手の温もりを与えてあげようぞ(´・ω・`)
六本木の件、どう責任をとってくれるのかとGHQ関連のお偉方たちは話す。
だがご安心を。以後葬儀社に関する件は嘘界少佐の担当にするということで、話は進む。
その嘘界というのはどういった者か。彼は、アポカリプスウイルスのワクチン開発時に偶然発見されたドラッグの密売ルートを追い、一週間で全容を解明したというキレ者。過ぎるほどだと言われるほどの力を持っていた。
相応しい獲物を与えれば全力で狩り、そして吊るすという。
その通り、嘘界はある者を吊るしていた。話を聞きだそうとしている立場とはいえ、それが会話相手として当然の姿であるかのように彼は接する……
いのりちゃんはおにぎりをはむはむ(´・ω・`)
「それにしても困ったなぁ。母さん帰ってきたらなんて説明すれば…」
「桜満ハルカ。セフィラ・ゲノミクス主任研究員。帰宅は週に一度程度。あと数日は戻る見込みがない」
その言葉に一度は驚きの表情を見せた集であったが、すぐにいつものどこかやる気のないような表情に戻る。
これくらいで驚いていてはもう身がもたないであろうから。というよりも、慣れたと言っていいか。
「全部調査済みってわけか」
「迷惑?」
えっ?(´・ω・`)
「桜満集は、いのりが迷惑?」
そんなことはない。むしろずっと傍にいてっ!(*´Д`)
そんな欲望が集にもあるかどうかはわからないが、彼はつとめて冷静に返事をする。
「迷惑……じゃないけど、なんで君が来たのか、わかんなくて……」
確かに。こんな可愛い子がうちに来るわけがない。
そう考えれば集の不安な気持ちも理解できよう。目の前にやってきた
でもそれでもいい。欲望には正直でいたいから……(*´Д`)
……ダメだ、今日はいつも以上にどこかおかしい(´・ω・`)
そんなことはともかくとして、いのりちゃんは答える。
「あなたを守るため」
ここでの意味はプレスのような攻撃に繋げる守りと言うよりはむしろ、凌ぐリトリートの方が相応しいか。
それは攻められている者にこそ必要なものであり、それをいのりちゃんがしにきたということはつまり、今の集は……
そんなところで呼び鈴が鳴り、集はそれに出てみる。
「よっ。遅くに悪いな」
そこにはイケメンだけどボクのタイプじゃ(ryな、谷尋が立っていた。
「どうしたの?」
「ちょっと思い出してさ。これ、この前話してた映画。観るか?」
そう言い、彼は『THE Jigsaw and Chainsaw』なるホラー映画を集に渡す。
ありがたいようなそうでないような。まあそれはボクの好みに依存した感想なのだけど、このためにわざわざ来たと考えるのであればそれはやはり実にありがたいことなのだろう。
でも彼は何もこのためだけに来たというわけではない。
「今日のお前、様子おかしかった……ような気がした。昨日何かあった?」
さすがイケメン。だけどボクの(ry
「何かあったかな。わかんない」
集はそう言いはぐらかす。
そっか…。と、谷尋が何かを含んだ薄い笑みを浮かべた直後驚き。集の部屋からふゅーねるを抱いたいのりちゃんが現れる。
ボクも抱いて~(*´ω`*)
……はい、すいません(´・ω・`)
「連絡がきた。一緒に来て、集」
そう言い、いのりちゃんは外に出る。
谷尋のことは完全スルー(´・ω・`)
「いろいろ、事情があるんだよ!」
スルーするのには。ではなく、いのりちゃんが集のところにいるのには説明し難い事情がある。が、それはどんな事情なのか、何も知らぬ者では二人の仲が気になるところだろう。
しかし谷尋は深く言及することはなく、逆に何かあったら言えよと気を遣ってくれる。
なんてイケメンか。だけど(ry
「寒川谷尋は、集の友達?」
彼のことが完全に視野に入ってなかったわけではないようだ。いのりちゃんはそんなことを訊いてくる。
「なんじゃないかな、多分。 あいつは偉いんだ。自分以外の人のことをちゃんと見て、思いやれて。僕とは大違いだ」
でもそのことを理解し、悲観しながらも反省する心を持っているだけで集はまだマシと言えよう。ボクは改めようともしてないかんね(´・ω・`)
谷尋のような者が当たり前であるべきで、集も己をすぐに改められないならばダメなのかもしれないが、ここは自分基準の考えでいきたいところだ。まあそんな考えをしていたらやはり、集の言うようにまさにダメな人間ということなのだろうが。
「いのりさんはいないの? 友達」
「友達って、いなければいけないもの?」
いや、そんなことはない。だってボクも友達全然いませんもの。いのりちゃんと同じような考えで嬉しいな、うははーい(*^ω^*)
……はぁ…………(´・ω・`)
涯は誰かと電話をしていた。
集はそこに連れてこられたというわけだ。
「御苦労だったな」
通話が終わったらば、涯はそう言ってくる。
「すごい格好だね。とても指名手配犯には見えないわ」
「銃を持って走りまわるだけでは、世の中は変わらないからな」
ごもっともで(´・ω・`)
尾行はオールクリアとのことで、本題へ入ろうというところ。
「それより何のつもり? いのりさんを学校や僕の家に」
まずは集が今の状況についての説明を求める。
その理由については単純。
「問題が発生した。昨日の作戦中、俺たちを目撃していた奴がいる」
それが外の人間、それも集と同じ学校に通う学生とのこと。
「ノーマジーン。聞いたことはあるか?」
「確か最近流行ってるドラッグで……。それを買いに来てた?」
「取引の時はシュガーを名乗っていたらしい。無論偽名だろうが。 お前といのりは、高確率でそいつに目撃されている。探し出せ」
そう言われても、学校の生徒数を考えるに難しいところ。見つける手立てはないように思えたが、
「いいや、ある。ヴォイドを取り出せ」
なるほど、その言葉で理解した。
昨日の件についてもおかしいと思っていたのだ。涯が何故ダリルのヴォイドを知っていたのか。
「そうか。見える…わかるんだね。涯にはヴォイドが」
そうでなければ六本木での作戦は立てられないのだから、さすがに集もそのことに気付いていた。
「確かに俺にはヴォイドがわかる。そしてあの時俺は、目撃者がいるのを感じ、そいつのヴォイドを見た」
現行の災害臨時法制下ではテロリストに人権はないため、目撃者に特定されれば集も無傷ではいられない。何も知らずに日常に戻ることは許されないのだ。
まだそれを失わない希望も残っているが、そのためにも目撃者を見つけ出さねばならない。
ヴォイドの形状はいのりちゃんに教えてあるとのこと。
「平穏な日常が大事なら、自分で守れ」
後半へ続く……
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