本日の練習では実戦形式。皆が笑顔になるような、楽しい練習がおこなわれる。
恭介も笑顔だが、この笑顔が見れるのはあとどれだけだろうか。一年も経てば彼は卒業するため、理樹はそれにどこか寂しさを感じていた。
この日の練習では、鈴が初めてのストライクを出す。そしてやはり皆は笑顔を見せるのだが……。
何故だろうか。その時理樹は、あの不思議な手紙のことを思い出していた。
練習後は、小毬お手製のチョコレートクッキーを食す女性陣。もちろん鈴も一緒にと誘われるのだが、例の人見知りにより一人先に部室を出ていく。
向かった先は猫たちの集い場。
なんでヒゲがあるんだと、鈴はそれでびよーんと遊んでいたのだが、うっかりそれを引き抜いてあせあせ。くっつかないかと試すも当然無理で。養毛剤をと考えるも、毛変わりの時期であるのだと気づいてほっと一安心。
そんなところで理樹がやってきて、もっとチームの女子たちと仲良くしてもいいのではないかと苦言を呈される。
まあそれはそれとして、鈴はレノンがまた新しい手紙を持ってきたことに気づく。
久しぶりのそれを開いてみると、また新しい課題が書かれてあった。
“学食を救え”
ずいぶんとアバウトなそれについて考え、鈴が出した学食の問題というのは……
「コロッケそばがたいへんマズイ」
むぅ(´・ω・`)
事実不味かったとしても、それを頼まなければいいのだからたいした問題ではないだろう。
しかし考えてもほかに浮かばないとことで、二人は学食のおばさんに直接訊いてみることにする。
でもやはり問題なさそうで。だから鈴はコロッケそばが不味いことを主張するも、一部の生徒からリクエストがあったから入れたのだと返される。
そんなところで現れた女生徒が、コロッケそばの良さを語ってくる。
「出たな! さささささささみ!」
どうやらこのサササルセード……じゃなかった、笹瀬川佐々美がコロッケそばをリクエストしたようだった。
鈴も天ぷらそばは好き。好みは人それぞれなのだからそれについてとやかく言うべきではないのだが、両者の嗜好がぶつかりバトルという流れに。
結局、鈴は敗北。やはりまだ足りないか……
学食の問題というのは何だろうか。というのも気になるが、鈴は課題をすべてクリアした先に知ることのできる世界の秘密に興味津々であった。
まるでその世界の秘密が素敵なものであることを信じてやまないようで……
変わり映えのない日常。
理樹がいつものように筋トレする真人と一緒に部屋にいると、そこに鈴が慌てて駆け込んでくる。
「学食のおばさんが……誰もいない」
実に奇妙な話であった。
鈴に導かれ理樹と真人が学食にやってくると、そこには確かにおばさんが一人もいなかった。眩暈がして病院に行ったり、用事があって早退したり、風邪で休んだりと、偶然が重なったようだった。
しかしそこまで偶然が重なるのは妙な話だ。まるで必然であるかのようだ。
とにかく、このままでは生徒の夕食を用意することができない。とことで、鈴は言う。
「学食を救うんだ!」
自分たちで全校生徒の夕食を作るのだと。
でもここにいる三人ではそれを達成することは到底無理だ。だとしたら、とれる策は……
小毬は鈴に絵本を読んで聞かせる。
そんなところに鈴がやってきて、彼女はあるお願い事をする。
葉留佳のもとにも、来ヶ谷のもとにも、鈴はやってきて頼みごとをする。
とことで、謙吾も含めて現リトルバスターズ全員が集まり、夕食を作るメンバーがそろった。
鈴がここまで皆を引っ張るのは初めてのことであり、兄である恭介も目を細める。
けど妙だと理樹は感じていた。レノンの持ってきた手紙がこのことを言っているのだとしたら、まるでこうなることを予見していたかのよう。そこに違和を感じる……
まあいい。
皆で力を合わせてミッションスタートだ。
まずはメニューを決めるところから始める。
本来のメニューは豊富であるため、それ全部を用意することはできない。どうするかを考えるため、鈴は一度離脱し……そして理樹にメールが届く。
『どうしたらいい?』
あらら(´・ω・`)
『せめて三種類に定食をしぼれば?』
そう返すと、間もなく鈴が戻ってくる。
「いいかよく聞け! せめて三種類に定食をしぼれば?」
ヲイ(´・ω・`)
まあでも妥当な案だから、それに決まる。
ミックスフライ定食、おにぎり定食、カレー。デザートにゼリーもつけることにして、メニューは決定。早速作業に取り掛かる。
謙吾が凄まじい包丁捌きを見せたらば、真人も凄まじい揚げ動きを見せる。時々食べるのはご愛嬌(´・ω・`)
順調に作り進んでいると、じきに生徒たちがやってくる。
あとはトレイに乗せていけばいい。テンポよくそれをやっていくのだが、メニューが違ったりゼリーがなかったり……。これもまた大変そうだ。
特にゼリー乗せ担当の鈴はハッスルしすぎ、ゼリー定食とも呼べるものができあがったり。でも皆楽しそうで何よりだ。
そんな光景を見つつ、改めてあの手紙に不信感を募らせる理樹。
そして……いつものように突然それがやってきた。
ナルコレプシー。
理樹はこの世界から接点を断たれてしまう……――
――どれくらい眠ったか。
時計を見ると、午後9:45を示していた。
世界から取り残されたかのようにたった一人であった理樹。初めてナルコレプシーで入院した時のことを思い出す。
実際の広さ以上にも部屋が広く感じられるほどの孤独感を抱いていた幼少の頃。しかし、その病院にも恭介や……リトルバスターズの皆がやってきてくれて救われたのだ。
それは今も同じで。恭介が部屋にやってきてくれ、理樹は日常へと戻る。
皆が待っているという学食に戻ると、リトルバスターズの皆が理樹のことを待っていてくれていた。
あれから頑張ってなんとかやり遂げた。それには一人だって欠けては成り立たなかったのだから。
理樹も含めて全員揃って、打ち上げパーティーの始まりだ。
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