リトルバスターズ!~Refrain~ 03話『ずっとここにいたかった』

6月20日。今日も雨がよく降る。
昨日と同じことが起きていると感じる理樹は、昨日と同じく姉御のいる放送室へ向かう。
そこにはやはり姉御がいた。

「どうした少年。夢の続きでも見ているような顔だな」

その言葉は何度聞いただろうか。
同じく何度も訊いたことを、理樹は問う。今日は何日なのかと。
昨日も20日だった。そして同じ会話を、前に何度もしたことがあるはずだ。その時も雨が降っていたと、理樹は言う。

姉御は確かに花火を見た記憶を持っていた。あの最高に楽しい夜の記憶を。恐らくもう二度とこないであろう楽しい記憶を……。
楽しい時はまたくると言う理樹だが……
姉御の手からコーヒーカップがするりと床に落ち取っ手が割れる。それを拾おうとした理樹の背後から、姉御が優しく抱きしめる。

「お願いだ、理樹くん。少しだけ、こうさせてくれ」

あの花火の夜を忘れたくないから。ずっと……



雨が降る外。
雨に濡れながら、恭介はイケメンの面持ちで校舎を見つめる……



夜。
いつもと違った姉御におかしさを感じる理樹。それは彼女に限ったことでなく、この世界の何かがおかしいと感じ……そして理樹は眠りに落ちる――




――朝。
6月20日。
だったら花火の夜はいつだったのか。真人らに問いかけると、半月くらい前だったという答えが返ってくる。その話はそこで軽く流され、理樹は修学旅行のしおりを渡される。何も汚れていないそれ。当たり前のはずなのに、当たり前でない。そう感じるのに、周りがそれを当たり前と受け止めているため、理樹も今はその流れに身を任せるしかなかった。


教室。
外では雪が降っていた。
今は6月。ありえないと主張する理樹であったが、皆はそうとらえない。
謙吾と真人はすぐに勉強へと戻る――



6月20日。
何度目のそれだろうか。
いつかのように、真人は理樹のしおりにコーヒーをこぼすが、もう何もリアクションもない。
謙吾は独り言を、ゲームにおいてNPCがプレイヤーに説明するかのように、決められたセリフをつぶやく。それにもう理樹は何も反応しない。

……無為に流れる時間。
そこで理樹はハッと気が付く。恭介はどこにいるのかと。
恭介が知らないことなんか何もない。彼に絶対の信頼を置く理樹はさっそく電話。しかし繋がらないため謙吾らに訊いてみるも、何も返事はない。

理樹は自力で恭介を探す。
校舎中、どこをまわっても恭介はいない。
最終的に、理樹はまた放送室へとやってくる。

「どうした少年。夢の続きでも見ているような顔だな」

ここはどこだろう。あの日はいつだったのだろう。
この場所の秘密を知っているであろう姉御に、理樹は切実に問いかける。

「忘れてしまえ、私といた時間なんか。 忘れてしまうがいい。私のことなんか!」

姉御は語り始める。理樹が終わらない一日に閉じ込められているのは自分のせいなのだと。
今が終わらないようにと強く願い、その夢を生み出してしまったのは姉御だと……ここは姉御の見ている夢の世界だという。
姉御の願いがどれほどの強さで、今のこの夢を形にしているのか……
姉御は昔のことを語り始める。



幼女時代。
姉御は笑い方を知らない子供だった。
IQも運動能力もトップクラス。みんなにできないことができた一方で、みんなには当たり前のことを知らなかった。姉御には感情というものが欠けていた。

家にも居場所がなかった姉御は、やがて逃げるようにして寮のある高校へと進学した。そして、そこでリトルバスターズと出会った。
彼らの持つ空気は今まで触れたことのないもので……。理樹らと触れ合うことで、姉御はこれまで知らなかった感情を知るようになった。ともに喜び、ともに泣く。そんな初めてをたくさん見つけた。姉御は自分の居場所を見つけたのだ。ずっとここにいて、もっと初めてを見つけたかった……

「だが、もう行かなくてはならない。 運命はもう変えられないのだから」

この夢は姉御の最期の思い。
次に目を覚ました時、理樹はもうこの夢の全てを忘れているだろう。

「6月20日が終わり、時間が流れ出した時…。 運命の時が、君を待ち受けているんだ」

何が起こるというのだろうか。理樹のその問いには答えず、姉御は言う。

「約束だ。何が起こっても君が……鈴くんを守れ」

何が何だかまったくわからない。
それに、まるでもうお別れみたいじゃないか。
そう言う理樹を前にして、姉御は涙を流す。

「初めて知ったよ。涙というのはこんなに切ないものだったんだな」

姉御は理樹の胸にそっと寄り添う。

「もっと……知りたかった……。好きという、気持ちを――」

そして、姉御は理樹の前から消えていく。

ありがとう――――





――セミがうるさく鳴く夏。
放送室で、夏服を着た姉御が満面の笑みで微笑みかける。
そして――――




――理樹は目覚める。
外は快晴。気持ちのいい朝だ。


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この記事へのコメント

  • ガントロ

    お久しぶりです。原作で結末知っているのにやはり、泣いてしまいました。姉御が初めて知った感情を喜び、失いたくないと感じながらもリキを後押しする姿は素敵ですね。あとBGMが反則です。よけい泣きました
    2013年10月23日 21:46
  • 本隆侍照久

    >ガントロさん

    お久しぶりです!┌(┌❀○╹ω╹○)┐
    いやもうテンション高まりますね! 原作で知っているからこそ、アニメでは素晴らしいクオリティで再現してくれているのがわかって感動ですよ! 随所に伏線が示されていて観ていて飽きないですし、やはり今回は姉御の姿が素敵でしたね! BGMも含め、泣かずにはいられませんね……!┌(┌❀○;ω;○)┐
    これからリフレイン本番。特に自分が好きなシーン、好きなセリフがこの先に待っているので、本当に本当に楽しみです!
    久しぶりのコメントありがとうございました
    ! これからもともにアニメを楽しみましょう!┌(┌❀○╹ω╹○)┐
    2013年10月24日 23:38

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