Angel Beats! EPISODE.06『Family Affair』後半

音無がおとなしくしていたところで、地響きが聞こえてくる。
戦闘が始まったと悟った音無は、ゆりっぺから無線を預かっていたことを思い出しそれに必死に問いかけるが繋がらず。

「ガラクタ押しつけやがって!」

だが諦めるのは早い。投げ捨てたそれからゆりっぺの声が聞こえてくる。
音無の声は向こうには伝わっていないようで、ゆりっぺは音無が聞いていると信じて話す。

『直井文人はNPCじゃなかったの。人の魂を持った、私たちと同じ人間だったの』

しかし、それはおかしいはず。直井は副会長として模範的な行動をとってきた。本来ならばその存在を消してしまっているはず。
そこで鍵となるのは、一般生徒に暴力をふるっていた行動。

『表で模範的な活動をし、裏で悪事をはたらく。それでこの世界でのバランスをとっていたというわけ』

そんなこともアリだったのか。
ふりだけでも消えてしまうということだからダメかと思ったのだが。

『抑止力だった天使が失脚したことにより、彼はこの世界で自由を手に入れた。まだ目的はわからないけどね。こちらでは戦いが始まってる。あなたが見たこともない、酷い戦いよ』

音無は信じられないことを聞いているように、ゆりっぺの言葉を聞き続ける。

『彼は私たちが一般生徒を攻撃できないことも知ってる。だから、彼らを盾にも人質にもするのよ。私たちは言いなりになるしかない。それはもう…一方的な暴力。次々と仲間がやられていってるわ』

そこで、ゆりっぺは一つの予想を話す。

「私ね、天使は幽閉されてると思うの」

簡単に抜け出せない場所。

『私は思うの。あなた今、天使と一緒にいるんじゃないかって』

そしてそこに希望もこめる。

『ねぇ、音無君。天使を連れてきて。この酷い戦いを終わらせるには、天使の存在が必要なの』

グラウンドで繰り広げられる激しい戦闘の音。それが聞こえるのに、何も出来ていない音無は今の自分の状況を悔やむ。しかし、それはそれ。すぐに行動。
まずは心地よく寝ている天使ちゃんを起こす。忍びないがな。

「助けてくれ。仲間が大変なんだ!」

「おかしなことを言うのね。助けてほしいのはこっちじゃない」
天使ちゃんが言うのはもっともなこと。
それを承知した上で、音無は天使ちゃんの力を信じてお願いする。

「頼む! みんなが待ってるんだ!」

優しい天使ちゃんは立ち上がる。

「ガードスキル。ハンドソニック」
それで扉を破壊しようと試みるも、びくともしない。
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「だって攻撃目的には作っていないから。所詮は自衛用だもの」
そうだよ。

音無は最初に天使と会った時のことを思い出す。
自分が心臓をぶっ刺されたこと。それで音無は天使ちゃんが敵だと勘違いしてしまった。

「俺には記憶がないんだ。だから、お前と戦う理由も実はないんだ。もし俺に記憶があったら……もしも、最初にバカな質問をしなかったら、この世界で俺は、お前の味方でいたかもな」
「そんな人はいなかったわ」
いても良いのかもしれない。だけど、いない。

「いたとしても、みんな消えちゃうもの」
そういうこと。
天使ちゃんの味方をするということは、楽しい学園生活を送って、この世界から消えてしまうということ。
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天使ちゃんも楽しい学園生活時代があったのかもしれない。だけど、だからこそ親しい友人がいなくなっていくのは辛く、そうならないためにも心を閉ざしてしまったのかもしれない。
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『なんか笑えてくる。こいつが、カワイソすぎて、不憫すぎて……。なんて世界のシステムだ……!』

間違ってたのは天使ちゃんじゃない。世界の方だ!
ルルの声が聞こえてくるよ。

「ハンドソニック。バージョン2」
高速性に特化した薄いフォルムだというそれでもダメ。
ならば……

「バージョン3」
無粋なそれでもダメ。

「バージョン4」
あら素敵。

「花の形にしてみたんだけど、果たしてこれは可愛いかしら?」
可愛いよ天使ちゃん……(*´Д`)

そこで、音無は一つの可能性を見出す。

「ハンドソニック。バージョン2」
薄いそれで扉の隙間を突き刺す。
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「バージョン3」
無粋なそれで隙間を少し広げ……

「バージョン4」
巨大な花で一気に扉を破壊する。

その作戦は見事成功。
脱出することのできた二人はグラウンドへと急ぐ。
天使ちゃんの手をとるなんて、音無め……



激しい雨が降り注ぐグラウンド。
そこには、凄惨な光景が広がっていた。


倒れるSSSメンバー。

広がる血の海。

とても見ていられるものじゃない……


「日向!!」

音無は倒れた日向のもとへ駆け付ける。

「真っ先に俺に駆け寄ってくるなんて……これなのか?」
「冗談言ってる場合かよ!!」
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そんなやり取りをする音無×日向を挟み、天使ちゃんと直井は対峙する。

「生徒会長代理として命じる。おとなしく戻れ」
そんな言葉に従うような天使ちゃんじゃない。

「ハンドソニック」
「逆らうのか。神に」
直井は言う。

「僕が神だ」
何その俺がガ○ダムだみたいな言葉。

「バカかこいつ」
日向と同じ言葉をかけてやりたい。
しかし、直井は本気で言っている。

「ここは神を選ぶ世界だと、誰も気づいていないのか?」
直井は続ける。

「生きていた記憶がある。皆一様に酷い人生だったろう。何故? それこそが神になる権利だからだ。生きる苦しみを知る僕らこそが神になる権利を持っているからだ。僕は今、そこに辿りつけた」
「神になってどうするんだ?」
「安らぎを与える」
ふざけたことをぬかしてくれる。

「神は決まった。なら僕はお前たちに、安らぎを与えよう」
そう言い、直井は倒れたゆりっぺを無理矢理起こさせる。

「これ以上何をする気だ!」
音無はゆりっぺのもとに駆けつけようとするも、多数の生徒に銃口を向けられ動くことができず。

直井の狙い。

「君は今から成仏するんだ」

それは、直井の言う“岩沢まさみ”がそうであったようにすること。
岩沢はこの世界で夢を叶えることができたために消えた。直井はゆりっぺも同じようにしようとする。
たとえゆりっぺの過去を知らなくとも、直井にはそれを遂行できるだけの力がある。

ギアス。

「催眠術だ」
じゃあ催眠術のギアス。
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「貴様は今から幸せな夢を見る」

ギアスに囚われたゆりっぺは、夢の中で妹たちと再会する。

嘘。

『そんな幸せそうな顔しないで』

ゆりっぺは一人も守れなかった。
なのに――――


「あのね。お姉ちゃんがお姉ちゃんで良かった」
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残酷な夢――――

嘘の記憶――――


「ダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

音無は相手の隙を突き、直井を殴り倒す。

「そんな紛いもんの記憶で消すなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

音無は直井の胸倉を掴み訴えかける。
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「俺達の生きてきた人生は本物だ! 何一つ嘘のない人生なんだよ! みんな懸命に生きてきたんだよ! そうして刻まれてきた記憶なんだ! 必死に生きてきた記憶なんだ! それがどんなものであろうが、俺達の生きてきた人生なんだよ!」

それを結果だけ上乗りするなんて、誰であろうと許される行為ではない。

「お前の人生だって、本物だったはずだろぉっ!!」

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『兄が死んだ』


直井の記憶。

『陶芸の名手の家に生まれてしまった、僕と双子の兄』

直井兄は幼い頃から才覚を発揮し、後継ぎとして名を知らしめていた。それに対して、直井弟は独り部屋に籠り遊ぶ毎日だった。

『親からも誰からも期待されない、意味のない人生』

死んだのはお前だ。
そう空は告げていた。

『生きてる僕は兄なのだ』

そう考えた直井は、その日から兄とすりかわった。
そして、意味のある人生が始まった。

怪我の治療とことで世間から離れ、リハビリという名の厳しい修行が続き、父の怒声を聞く毎日。

『修行は苛烈を極めた。なんて遠いところにいたんだ僕の兄は。でも僕は……僕の人生を意味あるものに変えるために挑み続けるんだ。もう独りで遊ぶ毎日なんて、戻らない……!』

展覧会で入賞を果たした。
それは兄であれば全然ダメな結果だが、直井にとっては最善の結果。
直井は、父が自分のことを兄の代わりとして扱ってくれることに安堵しつつ、父の指導を受けて健人として日本一の陶芸家になることを決意する。
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その矢先――――


『その父が床に臥せった』


もうろくろは回せない。直井に陶芸を教えることはおろか、叱ることもなくなった。
直井は自分の生きる意味を見失った。

『ずっとこの人の世話をしていく人生なの……? ねぇ、神様!!



「死んだのは お前だ」



『あの時死んだのは本当に僕だったよ。あそこから頑張ったのはずっと兄で、ここにいるのも兄で、父と兄しかいなかったんだ。僕の人生は偽りだった。僕はどこにもいなかったんだ……!』


「お前の人生だって、本物だったはずだろ!!」
音無は文人を抱きしめる。

「頑張ったのはお前だ! 必死にもがいたのもお前だ! 違うか!」
「何を知った風な……」
「わかるさ。ここにお前もいるんだから」

文人自身が言っていた。生きる苦しみを知る者こそが、神になる権利を持ちこの世界にいるのだと。
そして、文人はここにいる。それだけで充分な証明になるだろう。
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「なら……あんた認めてくれんの? この僕を……」
「お前以外の何を認めろってんだよ。俺が抱いてるのはお前だ。お前以外いない。お前だけだよ……!」

文人は過去を思い出す。兄の健人と渋柿を取ろうと競ったことを。
文人は兄に勝り、渋柿を手にした。
それに対して、父は言う。

「渋柿ごときで何を。……だが、文人もやりおる」

一番聞きたかった言葉。
文人を認めた言葉。
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雨上がりのグラウンドに、一滴の涙が落ちる――――


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