Angel Beats! EPISODE.09『In Your Memory』前半

医局(閉鎖中)保健室
奏ちゃんは再びそこで寝かされることとなった。
一度にたくさんの天使ちゃんの意識と同化してしまったために意識不明となってしまった……。

「私のせいね」

ゆりっぺは戦線リーダーとして自らを責めるが、仕方のなかったところだろう。
まさかギルドまでの道のりに無数の天使ちゃんがいる、天国のエンジェルロードになっていると誰が想像できただろうか。いや、想像はしておくべき……というより、妄想はしておくべきだったかな(*´Д`)

「あれは奏の――――冷酷な奏の考えた作戦で……それはやっぱり、奏だから」

奏ちゃんのやったことは全て許容して受け止めてあげなきゃね。

ゆりっぺは保健室を出ていく。
二人になったところで、音無は今も眠り続ける奏ちゃんに語りかける。

「なぁ……病院なんてない…誰も病まないからって言ってたじゃないか……。じゃあ何で…起きてくれないんだ……」

悲痛。

「畜生……!」

悔しくて仕方のないところだろう。



対天使用作戦本部
「天使のあんな状態は初めてです。このまま二度と目覚めないということも、場合によってはあり得るかもしれません」

高松が冷静に喋る。
皆はそれを静かに聞き、深刻な雰囲気。
ゆりっぺは今の深刻な事態を払拭しようとする。

「目覚めるわ。いつか目覚めて、ただ寝過しただけという結果に変わる」

そう言うゆりっぺに椎名が訊く。

「その時の彼女は、どの彼女なんだ?」
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……………………

「うぉぉぉ椎名が喋った!!」
「これは相当重要な問題だってことだよ!!」
そこまで衝撃的なことなのかw

「まさにそう。それが問題よ」
えっ? 椎名が喋ったこと?
あ、違う。すいませんでしたw

とことで、椎名の問いの続き。

「で。どっちの天使なんだ?」
「それは最初の天使だよ。一緒に釣りをした」
大山が言うのは、今で言うところの奏ちゃんのこと。奏ちゃんの体であるのだから、奏ちゃんの意識が戻ってくると考えるのが極めて自然……大山に合わせて言うと、“普通”の考えだろう。

「だが俺達を襲った意識は、全て好戦的で冷酷だった」

野田が言うのは恐らく天使ちゃんのこと。
数で言えば、天使ちゃん:奏ちゃん=100:1くらい。そう考えれば、天使ちゃんの意識が残る方が自然という考え方もできる。

「今何故意識を失っているのか。多分、そのたくさんの意識があいつの小さな頭の中で……こう…ぐちゃぐちゃになって、ヒドイことになってるからじゃねぇのか?」
「じゃあ、目覚めるとしたら、100の意識で目覚めることもあるの?」

あくまで確率で考えると、奏ちゃんが目覚める可能性は約1%。それ以外は天使ちゃんのうちのどれかの意識で目覚めるということになるか。

今戦線がすべきこと。その手はもう打ってあるとゆりっぺは言う。

「竹山君を天使エリアに送り込んだ。マニュアル翻訳ができる仲間と共にね」
「TKと松下は?」
「保健室よ。二人の見張り」
「TKはあれで全然英語ダメだからなぁ」
英語ダメなのかよwwwwwww

「データを全て消してログインパスワードを変え、全ての能力を封じる、ということか。だがそれも一時凌ぎでしかない。わかってるのか?」
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仮にも生徒会長代理なんだからもっと姿勢よくしようよ。というかはしたないよw
音無がいれば絶対こんな姿勢なんかしないだろうに。いや、ある意味するのか……? いやいや、ここから先は考えないでおこう。

もちろん、一時凌ぎだということはゆりっぺだってわかっている。
そしてマシンごと破壊しようが意味はない。マシンもソフトも代わりはいくらでもあるのだから。

「ありゃー? 今日のみなさんは頭良さそうですよぉ。悪いものでも食べましたか?」
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それほど深刻な状況だということなのだろう。

「あとは天命を待つだけね」
天からの命令。

「果たして、神は誰に味方するのか……」

結局は神にすがるしかないとことか。




奏ちゃんの傍にい続ける音無は、そこで過去を見る――――




DAY1

目覚めた音無は、まずは携帯を開き時間を確認する。

1月15日
01:23


「ヤベ。過ぎてんじゃん。センター試験……」

そしてゆっくりと立ち上がり、目の前に広がる光景を目撃する。
電車内。もう動くこともできない人がいる中、怪我を負いながらも何人かは助かっている人もいた。
そんな車両へ、隣の車両から傷を負った一人の青年がやってくる。

「大丈夫か?」
「少し、ふらふらする」

額に傷を負ったその男。意識ははっきりしているが、とりあえず額に布を巻いて処置。いったん二人で電車外に出ることに。

そこはトンネルの中。
行き先は土砂で塞がっていて、助けを呼ぼうにも電話は圏外。

「中に残ってる人達を助けよう」

そう言う音無に、助けられた男も手伝おうとする。

「大丈夫か?」
「まだ少しふらつくが。……五十嵐だ」
「音無」

二人は互いに名乗ったところで電車内に残された人を助けようとする。
非常のライトを手に、生き残っている者を外へ運び出し、使えるもので処置。
一通りの人に簡易的な処置を施したところで、音無は塞がれている側と反対側へ出口を探しに行く。

「出られたら、助けを呼んでくる。そうしたら、必ず戻ってくるから」
そんな音無に、五十嵐は声をかける。

「絶対助かろう!」
勇気をもらえる言葉。

「ああ!」
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音無はそれに力強く頷いた。

音無は線路に沿って歩く。
しかし、その先は案の定、土砂で塞がっていた。
なかなか助けが来ないのはこのため。当然電波も届かず、音無たちはここに閉じ込められたことになる。
それがわかったところで、音無は腹部に激しい痛みを感じる。確認してみると、そこは痛々しいほどに変色していた。

「っだよ、これ……!!」

音無は立ち上がり、皆のところに帰る。
そして皆に現状を報告する。

「トンネルは、前も後ろも土砂で塞がってる。携帯も繋がらない。外との連絡はとれない」
そのうえで、皆に言う。

「ここからは一心同体。一人だけ助かろうなんてことは考えないでほしい。食料と水を集めて、平等に分け合おう!」

しかし、それに反発する者もいる。

「いつからオメーが仕切ることになったんだ!」

しかし、そこは五十嵐がフォロー。
状況から考えても、医療の知識があり皆を率先して助けた音無が先導するのが妥当なところだろう。

「必ず助けが来る。それまでの辛抱だ。一緒に頑張ろう!」



DAY2

食料は手作り弁当とお菓子が少し。飲み物はペットボトルのお茶と水が5、6本。もって三日といったところ。

「それにしてもお前スゲーな」
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そう五十嵐は言う。
NPO(Nonprofit Organization,非営利団体)で海外に行くつもりかと思ってしまうほどに、音無は献身的だものね。

そんなところで、一人の学生が水を持ち逃げする。逃げ場はないというのに、愚かな行為だ。
それに怒った別の学生が、水を盗んだ学生をとっ捕まえて蹴る。それにより、貴重な水がこぼれてしまう。
五十嵐は怒った男を止め、音無は水を盗んだ男の前に立つ。

「な……何だよリーダー様。俺を拘束でもしようってぇのかよ。好きにしろよ! どうせもう誰も助からねぇんだからな!! なあ! みんなもわかってんだろ!!」

「そんなことはない」

音無は断言する。

「助かる」

しかし、現実はどうか。今の状況を考えると、それは綺麗事に聞こえてしまうところ。
それでも、音無は自らが犠牲となって皆を説得する。

「今のは、俺の分だ」
たった今こぼれた水は音無の分。

「もう俺は、今後一切飲まないから」
どうしてこんなこと言えるんだ、畜生……

「誰かそいつを殴ってよ!! こっちの気が済まない!!」

音無が頼れる存在であるからこそ、その音無の分が水を奪った奴のためになくなるのは許せない。そんな思いが心のどこかにあったからこその叫びでもあるだろう。
五十嵐は、自分の分も半分音無に分けるということにし、この場は解決する。



DAY3

一番重傷だった者の容体が急変する。
意識はないし心臓も止まっているとことで、音無は心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す。

「戻れよ…………戻れ!!」

音無の必死の思いは……届かなかった。

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「くそ…………!!」


『あの日から、俺は何を頑張ってきたんだ……? あいつに……初音に生きる意味を教えられて、それで……また人の命を目の前で失って……』

音無は無力な自分を呪う。

『何も変わっちゃいない。俺は無力なままじゃないか。あの時から、何も変わっちゃいないじゃないか……。くそ……くそォ……!!』



DAY7

もはや限界を迎えていた。
その中で、音無は初音がいた頃のことを思い出す。
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なかなか良くならなかった初音。
「ドナーがいればいいんだけどね」

その時の言葉を思い出した音無は、五十嵐からサインペンを借り、残されたわずかな力でカードにあることを書きこむ。

そのカードは国民健康保険 被保険者証。
その裏面。

※以下の欄は臓器提供に関する意思を表示する欄として使用できます。記入する場合は、該当する1~3の番号を○で囲んだ上で提供したい臓器を○で囲んで下さい。
1 私は、脳死の判定にい互い、脳死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。(×をつけた臓器は提供しません。)
     臓器・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球・その他(    )
2 私は、心臓が停止した死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。(×をつけた臓器は提供しません。)
     腎臓・膵臓・眼球・その他(    )
3 私は、臓器を提供しません。


音無はそこに記入していく。
1も2も、全てを囲み、自筆署名の欄に自分の名前を書く。

音無結弦

それに倣い、五十嵐も保険証を取りだす。

「こうしておけば、自分の命がもし尽きても……、それでも、その命が人のために使われる……。生きてきた意味が作れるんだ」

ここにいる皆は一様に何かが変わった。
誰も彼も保険証を取り出し、裏面に記入していく。

「なぁ…… やっぱお前はすげぇよ……。音無。見ろよ。あれだけ絶望してた連中がみんな、誰かに希望を託そうとしてる。……お前が、みんなの人生を…作ったんだぜ。音無……」

音無の手から、保険証がすり落ちる。

「聞いてんのかよ……」

そんな時、トンネルに光が差し込み始める。
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「音無……」

そして――――


後半へ続く……


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