Angel Beats! EPISODE.12 後半-2

“Angel Beats! EPISODE.12『Knockin' on heaven's door』後半-2”

第二コンピュータ室。

「バカにしてる」

そうとしか思えないような部屋がそこにはあった。
しかし、ここが目的の場所であることは間違いないだろう。

ゆりっぺはその扉を開ける。すると、そこには無数のパソコンとディスプレイが並んでいた。

「どれだけ盗んだのよ」

その画面には、NPCを影へと変容させる様が映し出されていた。
「間違いない」

「よく辿りつけましたね」

一人の青年が、ゆりっぺを待ち受けていた。

「バカにしてるの? 表にこれ見よがしにプレート貼ってあったじゃない」
「ここは学校ですからね」
「おかしな価値観をお持ちのようで」
実に犯人らしいところでもある。

「いやいや。それがルールなんですよ」
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「この世界の……神の」
「神。存在するか否か、実に深遠なテーマです。興味深い。……が、それを追求する術は僕にはない。ただ決まりごとに従うだけ」
「あなたもプログラミングで動いているのね」
「お察しの通りで」
「誰がそんなことを?」
「名前を言っても無意味でしょう。遠い昔の人です」

そこでゆりっぺはディスプレイを見る。
そこに映るのは“ANGEL PLAYER”。

「このソフトは何なの?」
「知っての通り、この世界のマテリアルを作成、改変できるソフトです」
「何でそんなことができるの?」
「さあ? 僕は開発者ではないので。でも、あなたたちも土から武器を製造している。同じことでしょ?」
単に“ANGEL PLAYER”というソフトが形を持って存在するだけ。

「結局、同じルールに則ってるのか」
しかし、訊きたいことはまだある。

「そのソフトの製作者は、神になりたかったのかしら?」
「さあ? 僕には何とも」
「じゃあ、時間がないから本題に入りましょ。あなたは何が起きたらこうするようにプログラミングされているの?」
「プログラミングの内容はわかりません」
「じゃあ訊き直すわ。あなたにとって世界に何が起きたの?」

ゆりっぺのその問いに、青年は答える。

「世界に、愛が芽生えました」

「えっ? ……愛?」
「そう。愛です。それがあってはならない…この世界で」
この青年の言う通りであることは、ゆりっぺも納得できた。

『この世界で愛を覚えたなら、すぐにも消えるはずだ』

それは、ユイにゃんがそうであったように。
恋ができるということはそれだけで幸せなこと。それが愛だと自覚したら、普通ならこの世界にいる必要はなくなる。

『でも、それが芽生えたらこの世界はどうなる?』
「愛が芽生えてしまうと、ここは永遠の楽園に変わります」

愛が芽生える。それは、この世界に未練を作るということ。それも、永遠の未練。

「しかし、この世界はそうなってはいけない。何故ならここは、卒業していくべき場所だからです」
「そう思った人がいたのね」
「ただ、誰かのために生き、報われた人生を送った者が、記憶喪失で迷い込んでくることが稀にある。その時にそういうバグが発生するんです」
それは、直近で言えば音無のこと。

「そしてそれが、“ANGEL PLAYER”のプログラマー」
「驚きました。ご明察です」

音無と同じようにしてこちらの世界に来てしまった者。
「その人は、この世界のバグに気付き、修正をした。それが影を使ってのNPC化。つまりリセット」
「はい」
「じゃあ何? NPCの中には、あたしたちみたいなのが他にもいるってこと?」
「はい。います。一人だけ」
「可哀相に……」

「そのプログラマーです」
驚きの事実。

「彼は待ち続けました。愛を知り、一人この世界を去っていった彼女を」
「そんな。もう一度出逢える可能性なんてない」
現実的にはそうなのだろう。ユイにゃんと日向だって同じこと。

「天文学的数字ではありますが、零ではありません。しかし、彼女を待つ時間はあまりに長すぎ、彼はもう正気ではいられなかった。だから、自分をNPC化するプログラムを組んだのです」
「もしかして、そっちが先だったんじゃないの? そして同じことが起きないよう、世界を適応させた」
「可能性はあります」
「その人が、いつか報われる日がくるのかしら」
「さあ?」
そんな日がくればどんなに素敵なことか。

「もう、何が正しいのか何だか……」
「僕にも何が正しいのかはわかりません。ただここまで辿り着いたあなたならば、その答が導き出せるかもしれません」
「どういう意味よ?」
「あなたの意思次第では、世界を改変できる。という意味です」
「改変してどうすんのよ?」
「彼が選ばなかった道も選べます」

「それは、私が神にでもなれる……というの?」
「……言い換えれば」

「ここを永遠の楽園にすることだってできるの?」
「彼はそれを否定しましたが、僕自身は否定しません。……いや、否定する感情を持ちません」

「神。私がこの世界の神?」
その欲に溺れたか、ゆりっぺは不気味な笑みを見せる。
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「どうかしましたか?」
『手に入れたんだ。この世界を。あたしはやっと……。戦ってきたのはこのためだったんだ。天使にだって勝てる。これだけのシステムがあれば、最強だ……』
「……なんてことするわけないじゃない」

ゆりっぺの目的はそんなことじゃない。

「奏ちゃんにも、もうそんなことできない。だってあたしは……、ここまで来たのは……、あたしは……」

そこで青年は、かつて感じたことのないほどの強い愛を感じ取る。
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「恐ろしい速度で拡大を……」

ゆりっぺは青年に銃口を向ける。

「何ですか?」
「だって、あたしがここまでやって来たのは、みんなを守るためなんだから!」

かつては、妹や弟たち……大切な存在を守ることができなかった。
そしてこちらの世界に来て、日向たちと出会い、仲間になり、守るべきかけがえのない存在へと変わっていった。
それがたとえ身内でなくとも、彼らに抱く感情は妹たちと同じ。
守りたいという、一つの愛として。

「発生源はあなたでしたか」
今になって初めて、ゆりっぺはその思いを自覚しただろうか。

「で、何をしようという気です?」
「全てのマシンをシャットダウンしなさい。今すぐ」
「いいんですか? ちゃんと考えたんですか? まだまだ時間はありますよ。それこそ、永遠に」
「あのね、教えてあげる」
青年はプログラムされた存在。そんな彼に対し、ゆりっぺは言う。

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「人間というものは……たったの10分だって、我慢してくれないものなのよ!!

そしてゆりっぺはパソコンを撃ち尽くしていく。

壊れ、落ちていくマシーン。
その中でなおも薄い笑みを浮かべる青年に、ゆりっぺは両手に持ったハンドガンの銃口を向ける。
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そして、2発の銃声が鳴り響く――――








『これで…終わった……』
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壊れたパソコンに囲まれた、自分以外誰もいなくなった部屋で、ゆりっぺは思う。

『きっと、みんなは助かったはず。これで無事…この世界から去って行けたはず……』

ゆりっぺは戦線のリーダーとしての役割をこなすことができた。
しかし、安心しきったその思いとは別の感情もあった。

『にしても、不覚だ。お姉ちゃん、あんたたちと同じくらい、みんなのこと大切に思っちゃったんだ。あんたたちが誇れるくらい、あんたたちだけを愛する姉でいたかったのに……』

でも、それは恥じることではない。ゆりっぺが妹たちや戦線メンバーに抱く“愛”は、とてもとても強い思いなのだから。

『ああ……この気持ちは何なんだろう? ……どうしちゃったんだろう? 私を突き動かしていたものが、消えていく……。それが消えちゃったら、ここにいられなくなる。人生はあんなにも理不尽に、あんたたちの命を奪い去っていったのに、なのに……みんなと過ごした時間は、かけがいがなくて……』
「私も、みんなの後を、追いかけたくなってきちゃったよ」

頑張った。ゆりっぺはここまで物凄く頑張った。
そんな“お姉ちゃん”に、妹たちは言葉をかける。

「ありがとう。もう充分だよ」
「もうお姉ちゃんだけ苦しまなくていいよ」
「長い間お疲れ様。お姉ちゃん」
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それだけで良かった。
それだけの言葉をかけてもらえるだけで充分だった。

張りつめていたゆりっぺの心は緩やかに解かれ、自然と涙が溢れ出てくる。
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だって、こんなにも幸せなのだから――――

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良い話しだと思うけど ...
え、よく見てられます ...
あさはかなり…この作 ...
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ゆりっぺは目覚める。

そこはベッドの上。
傍には奏ちゃん、音無、日向、文人がいた。
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To Be Continued

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