Angel Beats! EPISODE.13『Graduation』後半-2

一般生徒が部活動に勤しんでいる。
そんな夕日射し込む校庭を見つめ、音無は奏ちゃんに話す。

「あのさぁ……かなで。ここに……残らないか?」
「え?」

楽園を創造するため。
そういった意図が音無にも少なからずあったかもしれないが、一番の理由はそれではない。

「何か……急に思いついちまった。だってさ、またゆりや日向たちのように、報われない人生を送って、ここにきてしまう奴がいるってことじゃん」
「そうね」
「そいつら、またゆりたちのように、ここに居着いちまいかねない。ここでずっとさぁ、苦しんで、生きることに抗い続けてしまうかもしれない」
「そうね」
「でもさ、俺たちが残っていたらさ、そいつらに…今回のようにさ、生きることの良さを伝えてさ、卒業させてやることができる。もしかしたら…そういう役目のために、俺はここにきたのかもしれない。だからさ……一緒に残らないか?

それが許されることかどうかはわからない。しかし、それが音無の素直な想い。

「かなでがいてくれたらさ、こんな世界でも、俺は…寂しくないから」
奏ちゃんは音無の話を静かに聞く。寂しげな目をして……

「前にも言ったかもしれない。俺はお前と一緒にいたい。これから先も、居続けたい」

奏ちゃんは数段階段を下り、音無の近くで止まる。
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「だって俺は……かなでのことが、こんなにも……好きだから」

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音無は奏ちゃんを横から抱きとめ、改めて言う。

「好きだ」

しかし、奏ちゃんは何も答えない。

「どうして…何も言ってくれないんだ?」
「言いたくない」
「どうして?」
「今の想いを伝えてしまったら……私は、消えてしまうから」
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「……どうして?」
「だって私は……ありがとうをあなたに言いに来たんだから」
「どういうこと、だよ?」
その答えは、かなでの生前にある。

「あたしは……あなたの心臓で…生き永らえることができた女の子なの」

それが真実。
音無は驚きで言葉が出ない。

「今もあたしの胸では、あなたの心臓が鼓動を打っている。ただ一つのあたしの不幸は、あたしに青春をくれた恩人に、ありがとうを言えなかったこと。それを言いたくて……それだけが心残りで、この世界に迷い込んだの」
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かなでの未練は音無にあった。

「そんな……でも、どうして俺だってわかった?」
「最初の一刺しで気付けた。あなたには……心臓がなかった」
「でも、それだけじゃ……」
もちろん、それだけが理由じゃない。

「あなたが記憶を取り戻せたのは、あたしの胸の上で夢を見たから。自分の鼓動の音を、聞き続けていたから」
「そんな……」

音無に真実を告げたかなでは、覚悟を決める。

「結弦。お願い」

そして音無に最後のお願いをする。

「さっきの言葉……もう一度言って」

「っ……! そんな……嫌だ。かなでが……消えてしまう……!」
いくらかなでの願いであっても、それを聞くことはできない。

「結弦……お願い」
「そんなこと……できない!

「結弦!」
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ユヅルであっても、譲れないものはある。
しかし、それは誰もが同じ。もちろん、かなでであっても。

「あなたが信じてきたことを……あたしにも信じさせて」

本当は音無だってわかっている。だから、これ以上は否定できない。

「生きることは……素晴らしいんだって」
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それが音無の伝えたこと。

「結弦」

自分の示したその言葉に偽りはないし、かなでに対する想いも本物。
だから、音無は正直な想いをかなでに伝える。

「かなで……愛してる。ずっと一緒にいよう……!」
そしてかなでを抱きしめる。

「うん。ありがとう。結弦」
かなでも音無の想いを受け止める。

「ずっと……っ、ずっと一緒にいよう……っ!」
「うん。ありがとう」
「愛してる。かなで……!」
「うん。すごくありがとう」
「かなでぇ……っ!」
「愛してくれて、ありがとう」
「消えないで、くれっ! かなで……かなでぇ……っ!」

音無は涙を流し必死に訴える。
そんな音無に、かなでは最期のお礼を言う。

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「命をくれて……本当に――――
ありがとう




そして、かなではこの世界から卒業した。

音無がどんなに必死に手を伸ばそうと、この世界ではもう二度とかなでに触れることはできない。もう二度とかなでを抱きしめることはできない。



「かなでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
ぇぇぇぇぇーー!!」





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この世界からまた一つ、光が昇っていく。

音無がこの世界に迷い込んできたのは、奏の強い“想い”があったため。
音無が奏を想うずっと前に、奏は音無のことを想っていた。それがこの世界で二人を廻りあわせた。現実の世界ではない、この死後の世界で。


音無は、この世界で愛する相手、一番の宝物を見つけた。

立華かなで。

しかし、かなではこの世界から消えてしまった。
音無は、かつて音無と同じようにしてこの世界に来てしまったプログラマーと同じ立場になる。でも、音無ならきっとそのプログラマーとは違う答えが出せるはず。音無はかなでに対する“愛情”だけでなく、たくさんの“友情”に囲まれ、生きることの大切さとその意味を学んだのだから――――



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「ふんふんふふ~~~ん♪ ふんふんふふ~~~ん♪ ふ~~~んふふふ~~ん♪ ふ~~~んふふふ~~んふふふふ~~ん♪」
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鼻歌を歌う素敵な女性に気付いた一人の青年は、その女性に声をかけようと手を伸ばす――――



END




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2010-06-23

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ありがとうございました!

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