純一と梨穂子の仲はこれといって進展していなかった。
荒療治が必要とことで、香苗は特別イベントを発生させようと考えるが、梨穂子はこのままでいいと思っていた。幼稚園の頃から純一が好きで今の関係が続いていて……だから梨穂子はこのままでいいと。確かに、微妙な関係とは言え、今の関係が続くのならそれでいいのだろう。しかし、その間に誰かしらが介入してきたらどうなのか、気になるところではあるか。
香苗は、梨穂子がいいと言うなら無理にイベントを作ろうとはせず、二人をゆっくりと見守ることに。
ダイエット話。
梨穂子は当然できていないわけで、むしろどれだけ増えたのかを香苗に訊かれる。そんなところで食後の純一の姿を見つけた梨穂子は、そこへと向かいダイエット話を誤魔化す。
「そんなに美味しかった? B定食」
食後だというのに、何故わかったのか……
「匂いでわかったんだよ」
さすが梨穂子。食に関しては鋭い。
とはいえ、匂いで当てたのはさすがに冗談。ホントはお皿を見て当てたのだという。でもきっと全種類網羅してるんだろうな……w
二人は食後のジュースを買いに行く。
梨穂子はココアを我慢してお茶を購入。こういった些細なことも大事だけど、もっと根本から改善せねば……
「まあでも、今回はうまくいくんじゃないか?」
なんて、純一は梨穂子のダイエットについて軽く言う。
いくら絵馬に書いたところで、やはり努力せねばどうしようもならないだろうに。
茶道部。
そこに向かってみるも、先輩達はいなかった。
遅れてやってきた先輩は、今まで公園にいて、今日は勝負だったと言う。
相手は伝説の犬使い・森島はるか。
犬たちは森島先輩の指示に従いいろんな芸をこなすとのことで、彼女のその統率力を見込んで、勝負を挑んだと言う。もし瑠璃子や愛歌が勝てば、今更ながら茶道部に入部してもらうという条件で。
しかし、結果は完敗。
「冬の輝日東には、トンボはいなかった」
敗因は季節だと言うが、きっとそれ以前の根本的部分に問題があっただろう。
部長の引き継ぎがまだおこなわれていないという茶道部。
「梨穂っちに部長を任せるのは、少々度胸がいるんだよ」
わかるわかるw
この時期まできてしまったとことで、瑠璃子と愛歌は単刀直入に提案する。
「あんたはどうなの? そろそろ本気で茶道部入る気にならないかい?」
あんた=純一。先輩二人は純一に入部&部長就任を打診する。
おまけに梨穂子が付くとことで、そう悪い条件じゃないか。どうだろう。
帰路。
このままだと廃部する恐れがある茶道部。
そんな茶道部にいるのが当たり前になっていた梨穂子は、この時期になってようやく先輩方がいなくなることを実感していた。
寂しいけれども、今まで先輩にお世話になった分、茶道部をしっかり守ろうという強い思いを梨穂子は持っていた。それと同時に、強い食欲も……w
純一はケーキを食べに行くことを提案。ダイエット中だからと迷いを見せる梨穂子だが、
「たまにはいいじゃないか」
とことで、食べに行くことに。
“たまに”の頻度がどれほどのものか気になるところではある……
梨穂子は形良し、味良し、愛情良しのシュークリームを作り上げる。
美也も、橘家にて紗江と逢とともに豪快なものを作っていた。そこに純一がやってくる。
「一緒にチョコ作ってたんだ」
へぇ。全然そう見えないw
「みんな、チョコレートをあげる相手がいるんだ」
残念ながらそうではなく、互いにプレゼントし合うのだという。
そして余った分は純一が貰えるのだと。
「どうせ今年も美也とお母さん、あと梨穂ちゃんくらいにしか貰えないでしょ」
そういえば純一の両親ってどんな人なんだろう……?
茶道部。
純一は最近の梨穂子の様子を先輩方に訊く。
しかし、梨穂子が寂しがっていた様子を気にする純一こそ、梨穂子をどう思っているのか逆に質問される。
梨穂子は男子に人気がある。瑠璃子もクラスの男子に、梨穂子に彼氏がいるのか等訊かれたという。
「私の方が可愛いっての、私だって彼氏いないっての、バカにしてんのか……!」
「ロンリー」
ハハハ……^^;
ものを食べてる時の梨穂子は幸せそうな顔でとっても魅力的。
なんて話もとにかくとして、先輩方は純一と梨穂子がお似合いだと言って迫る。
この状況で、梨穂子に会いに来たと問われれば否なわけで、先輩方目的で会いに来たというのもまた違う。
「ということは……入部希望だね」
さすが、高等テクニックをお持ちなようでw
純一はあらゆるものに脈ありなようだが、全て曖昧にしてその場を去ってしまう……
バレンタインのプレゼントとしてチョコクリームシューを作った梨穂子。
何故それを作ったのかと香苗に訊かれた梨穂子は、先輩に言われたことを説明する。
古代ヘブライ語で“シューク”は“愛”、“リーム”には“おまじない”という意味があるという話を。
「それはちょっと違う気がするけど……」
香苗もなかなか大変そう^^;
どちらにしろ、純一は喜ぶだろうから問題ないけど。
「まったくヤな一日だぜ」
女子からバレンタインプレゼントを貰う男子。その光景を目の当たりにし、梅原は同志の純一とともに悲しい時間を過ごしていた。
そんなところで、絢辻さんがやってきて、純一目的のお客さん到来を告げる。とことで、梨穂子が純一を呼んでいた。
「素敵なプレゼントの予感ね」
唯一の同志である純一に裏切られた梅原の心の傷は計り知れないだろう……
一年の内で最も嫌いなバレンタインデー。早く終わってしまえと泣き叫ぶ梅原を、薫が慰める。
「棚町! こんな俺に愛の手……いや愛のチョコを!」
「ああ、私義理チョコはあげない主義なの。じゃあね~」
一蹴w
続いては絢辻さんのもとに向かうが……
「ごめんなさい。私も棚町さんと同じ主義なの」
誰か……梅原に愛の手を…………
純一は梨穂子からチョコクリームシューを貰い、一緒に食べる。
「ねえ純一。この人からチョコを貰えたらいいなぁなんて思う人はいないの?」
この人がチョコを貰えたらいいなぁと思う人はいます。それは梅はry
「梨穂子こそどうなんだよ。好きな人いないのか?」
互いに牽制し合っているものの、傍から見ればラブラブすぎる……
あっという間に時は過ぎ去り、瑠璃子と愛歌に卒業の時がやってくる。
それまでに新入部員を見つけようと努力した梨穂子であったが、結局それは叶わなかった。
謝る梨穂子だが、その必要はないだろう。
「本当に茶道が好きな人が入ってくれた方がいいから」
「無理しない」
それだけではない。梨穂子の頑張る姿を見れただけでも、二人は満足なのだろう。
「梨穂っち。二年間あんたと過ごせて、あたしら本当に良かった」
「梨穂っちに感謝」
「楽しかったよ。ありがとう」
梨穂子にとって、それはとても嬉しい言葉。それと同時に悲しく感じる言葉でもあるだろう。今度こそ本当に別れの時がきてしまったのだから。
瑠璃子と愛歌は、涙を流す梨穂子を両側から優しく包み込む。
「頑張れ。これからもずっと……私ら見守ってるよ」
「絶賛応援」
素敵な茶道部員たちだ……
そんなところで、純一がやってくる。
「先輩。ご卒業、おめでとうございます」
その言葉ももちろん大事だが、それを言うためだけに純一はここに来たわけではない。
「これ、僕からの卒業祝いです」
純一は胸ポケットから一枚のカードを取り出す。
入部届け
氏名 2-A 橘純一
希望部活動 茶道部
純一……(*´Д`)
「先輩。茶道部と梨穂子のことは僕に任せて、安心して卒業して下さい」
実に頼もしいこと。
梨穂子も感動の涙を浮かべる。
百忍通意。
素敵な旅立ちの日だ……
春。
純一と梨穂子は新入生歓迎茶会の準備をする。そこに、瑠璃子と愛歌がやってくる。
変わらずベストカップルである二人を見て安心。また、部長の梨穂子と副部長の純一がしっかりと茶道部を盛り上げていて安心といったところだろう。
吹奏楽部の人はもうすぐやってくるだろうとことで、梨穂子はその様子を見に行くことに。
「転ぶなよ」
その忠告は一種のフラグ。
しかし、それもまた二人の日常だろう。
『ちなみに、ダイエットはまだ継続中です』
何をもってダイエットと言うのか、甚だ疑問である……
"アマガミSS 20話“桜井梨穂子編 最終章『サヨナラ』”"へのコメントを書く