アマガミSS 24話“絢辻詞編 最終章『ヤクソク』”

創設祭の準備も佳境にさしかかっていた。入場門を立て、屋台を構築し、ガ○ダムだって準備万端。あとはクリスマスツリーの飾り付けだけという段階に差し掛かっていた。

「なんとか無事、創設祭を迎えられそう。……本当に、ありがとう…」

絢辻さんの目頭からは熱いものがこみあげてくる。
しかし、それはまだ早い。ちゃんと本番を迎えて、それを乗り越えねば。絢辻さんは気を取り直して皆に言う。

「いよいよ明日は、創設祭です。最後まで、みんなで力を合わせて頑張りましょう!」
「おー!!」

一致団結する中、純一は一人心配そうな表情を浮かべていた――――


純一が絢辻さんを呼び出した際。

「あの子がいなくなっちゃったって…どういうこと? 絢辻さんが二重人格者で、昨日までの人格が消えちゃったとか…そういうこと?」
おもしろい解釈。でもハズレ。

「とにかく、昨日までのあの子はいなくなっちゃったの。それだけ覚えておいて」
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何が起きているのか、純一には理解することはできなかったであろう。
その時のことを考えぼーっとしている彼に、絢辻さんが話しかけてくる。

「ほら。橘君も、みんなと一緒にクリスマスツリーの飾り付けやろ?」
「ごめん。備品の最終チェックとか、実行委員の仕事がまだ残ってるんだ。ちょっと行ってくる」

純一はその場凌ぎとも言える言い訳でその場を後にする。

今の絢辻さんは可愛い。それは確かであるし、クラスの雰囲気も明るくなったのはとても良いことだろう。しかし……
これでいいはずはないだろう。



創設祭開始。
花火まで打ち上げられ、派手な幕開けとなる。
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絢辻さんのスピーチも立派だったものの、それを褒める純一のテンションは異常なほどに低かった。
絢辻さんは、以前彼女をいじめる立場だったヤヨイたちと見て回る約束をしていたという。純一も一緒にと誘われるが、彼はそれには乗らず。


創設祭は各所で賑わっていた。
水泳部のおでんの屋台や、美也たちのよくわからない劇。そして注目のミスサンタコンテスト。

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ギリギリの森島せんぷぁ~い(*´Д`)

「やっぱり、こうなるわよね……」

(・_・)エッ..?

「はぁ……はるかがいきなり出たいって言うから……。でも…まあ楽しそうにしてるからいっか」

さすが響。森島先輩は彼女のお蔭で成り立っている部分が大きいだろう。

「みんなー! よ・ろ・し・く・ね♪」
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優勝候補の強さは圧倒的。もしV3達成となればたいした偉業だろう。
その様子を見ていた絢辻さんは、実行委員の仕事に戻るとことで、ヤヨイ達と別れる。


純一は茶道部へとお邪魔。
お茶か甘酒かを飲んでいくように言う梨穂子だが、純一はすぐ帰るとことでそのお誘いを断る。

「純一…なんか元気ない?」

幼馴染の目は誤魔化せない。
しかし、忙しい梨穂子は仕事に戻り、純一はまた一人どこかへと向かう……


2-A。
誰もいないはずのその教室で絢辻さんは素敵なコスに着替えていた。これが俗に言うツカサンタというやつか。
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『絢辻さん、どうしてあんな風になっちゃったんだろう…?』

悪くはない。そう思いながらも、純一はもやもやした気持ちで公園へとやってきていた。そこで、ライターを手にし、火をつけようとする親友の姿を発見する。直後、純一はその親友・梅原にダイブ。

「考え直せよ! 今年も彼女ができなかったからって、放火だなんて……自棄にならなくても!」
もちろん、そういうわけではなかった。

「そっか……。小学校の時に貰ったラブレターだったのか」

何故今更それを燃やしてるのか。梅原は語り始める。

「あの頃ってよぉ、誰かを好きとか嫌いとか、そういうのが、カッコ悪ぃとか思ってただろ?」
応。

「だから俺、意地張って返事書かなかったんだけど、それを今んなってもったいねぇとか後悔してんだよ。だからよ、いつまでも未練がましく持ってるんじゃなくて、いっそスッパリ燃やしちまおうと思ってな」

実に潔い行動だが、後悔しまくり。そんな梅原に、純一は打ち明ける。

「僕、またダメだったよ。今年のクリスマスは頑張るとか言ってたくせに、情けないよ…」
「何言ってんだよ! クリスマスイブはまだ終わってねぇだろ!」

梅原は純一の恋を諦めてやらない。

「情けねぇって思ってんだったら、行動するしかねぇんじゃねぇのか! 俺みたいに後悔する前によ」

梅原と違って、純一の場合は後悔するのが早すぎる。それを思い知った純一は、元気を取り戻す。
梅原にお礼を言い、かるく疑問をぶつける。

「何で彼女できないんだろうな」
それが非常に不思議なところだ。



「メリークリスマス!」
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ツカサンタは創設祭で猛威をふるっていた。
彼女からプレゼントを貰えば、それは卒倒ものだろう。
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ツカサンタは一人座る子供にもプレゼントをあげようとする。しかし、彼はそれを断る。ツカサンタの魅力がわからないとは、彼がいかにチャイルドかがよくわかるところであろう。



創設祭終了。
2-Aにて、創設祭無事終了を祝っての打ち上げがおこなわれる。

「本当にありがとう。全部みんなのお蔭だよ」
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何をぅ。忙しくも皆が楽しんで準備をすることができたのは絢辻さんのおかげ。皆とっても素敵な充実感を抱いてることだろう。

そんな賑やかな教室に、遅れて純一が姿を現す。

「橘君も身に来てくれれば良かったのに。私のサンタさん、みんなに大人気だったんだから」

純一はそう言う絢辻さんに話を持ちかけ、二人で無人の創設祭実行委員本部へとやってくる。
なかなか話し始めない純一を前にし、絢辻さんは皆のところに戻ろうとするが、純一はそんな彼女を後ろから優しく抱きとめる。

「好きだ」



遅れて梅原が打ち上げ会場へとやってくる。
主役は最後に登場するものだもんね^^

「創設祭ほとんどいなかったくせに」
「ちょっと野暮用でな…」
「どうせまたふられたんでしょ~?」
田中さん……
言わないであげて、笑わないであげて……(´;ω;`)



「ありがとう、橘君。嬉しいよ。私も橘君のことが」
「僕は……」
純一は絢辻さんの言葉をさえぎるようにして語り始める。

「僕は、クリスマスに嫌な思い出があって、この時期は苦手だった。去年の創設祭も参加できずに、逃げ出したくらいなんだ。でも、ずっとこのままじゃいられないと思って、実行委員に立候補した。今年のクリスマス、頑張ろうと思って。それで、絢辻さんと一緒に仕事するようになって……。覚えてるかな? 僕が絢辻さんの手帳を拾った時のこと」

忘れることのない出来事。最初は衝撃的だったものの、純一には確かに言えることがある。

「知って良かった」

絢辻さんに叱られ、忙しい時が続きながらも、その充実した日々に彼は幸せを感じていた。

「多分、その頃から僕は、絢辻さんのことが好きになっていったんだと思う」

そう話す純一に、絢辻さんは訊く。

「今の私は……嫌い?」

その問いの答えは“否”。
しかし、今が全てというわけではない。

「僕は、前の意地っ張りな絢辻さんも、その前の猫をかぶってた絢辻さんも、全部ひっくるめて好きなんだ。だから、いなくなったなんて寂しいこと、言わないでほしい。また僕の至らないところがあったら叱って欲しい。それを伝えたくて……」

実にカッコイイ。
変態要素が皆無だ。

「何で……? 何でそんなこと言うの……」
おや、絢辻さんの様子が……

涙を浮かべた彼女は、純一の足を踏みつけ、彼の手を振りほどいて振り向きざまに掌底、トドメにひざ蹴りで純一からダウンを奪う。

「何なのよ! 何なのよあんたは!?」
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それはこちらのセリフでもあります。

「あんたがあんなこと言うから、だから私は、自分を消えたことにして…! なのに……!」
「良かった」

マウントポジションをとった絢辻さんに、純一は安堵の言葉を発する。

「僕の好きな絢辻さんが、ちゃんといた」

そんな素敵なことを言ってくれる純一を前にし、絢辻さんは泣きだしてしまう。そんな彼女を純一は優しく抱きしめる。


二人がいる教室を、高橋先生が覗く。
甘酒に酔っていた彼女だろうが、教室内の光景を見て酔いがだいぶ覚めたことだろう。何せ、男子生徒の上に女生徒が馬乗りになっていたのだからw

凄い音がしたとことで田中先生もやってくるが、高橋先生は自分が酔って出した音だと言い誤魔化す。

『まったく。仕方ないわね。これは私からのクリスマスプレゼントよ』

「ああ…私も彼氏欲しー!」
美人さんなのだから、お酒を控えれば必ず実現することだろう。



打ち上げ後。
絢辻さんは昔の話を始める。

「ある日、私はサンタさんがいないことを知ったの。それも現実を突きつけられて」

よくある話では、両親がプレゼントを入れてる姿を見たとか、そんな感じである。彼女の場合はそれよりもヒドイものだったという。俺も……

サンタがいないと知った絢辻さんは、その時自分がサンタになることを決めたのだという。

「クリスマスイブ、みんなに幸せをプレゼントすること」
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絢辻さんマジ天使。
輝日東の創設祭は彼女の目標でもあったわけか。

皆を幸せにするというその目的が、いつの間にか自分の満足感を満たすものに変わっていたと絢辻さんは言う。
大人には懐かれたものの、子供には懐かれなかったのがその証拠というわけか。

「さすがに絢辻さんも、子供は騙せなかったようだね」
ムムム……
純一の言うことはごもっともだが、続けて彼が言う通り、クリスマスはまだ終わっていない。

「来年も再来年も、クリスマスはまた来る。その度に、みんなを幸せにすればいいじゃないか」
その通り。

「だから……僕のことも幸せにしてほしい」

とことん男女逆転な関係。
でも、純一は男の子で絢辻さんは女の子。二人はカッコ良くて可愛いものだ。

「私も、橘君のこと好きよ。もう絶対に離さない」

これは契約ではない。

「約束」
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皆それぞれ素敵なクリスマスの夜をエンジョイする。
それを祝福するかのように、ライトアップされたクリスマスツリーは綺麗に輝く――――




―10年後―

「ママー。パパー」
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絢辻さん2世登場。
彼女はパパとママの思い出のツリーを見上げ、二人が大事な約束をしたことを知る。

「ねえ純一」
「何? 詞」
「今幸せ?」
「……もちろんだよ」
「私も幸せよ」
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そう言い、詞は純一の頬にキスをする。
絢辻さん2世も負けじと反対側にチュッ。

「世界中の人達が、今日、この良き日に、幸せでありますように」

切なる願いを胸に抱いて……


Merry X'mas


~fin~




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