レベルE #01『An alien on the planet』

現在地球には、数百種類の異星人が飛来し、生活している。
友好的な種族、好戦的な種族、絶滅の危機にある種族、様々な異星人が、国家レベルの策略から、個人レベルの犯罪・研究まで、多岐に渡る目的を持って、奇妙なバランスを保ちつつ混在している。
そのことに気付いていないのは、地球人だけなのだ――――




山形。

筒井雪隆は万年補欠だったにしろ中学野球日本一を経験し、彼のもとには推薦入学の話が舞い込んだ。その話に飛びついて家から遠い高校に入学し、一人暮らしを始めることになった。

下宿先の大家にしろ、そこへ向かう車内の運転手にしろ、雪隆が野球経験者だということに興味津々。野球好きな町なのかしら……

雪隆は早速部屋に入って新鮮な空気を味わうも、先に届いていた荷物は何故か全部ほどかれてあったことに気付く。
親が来て勝手に荷物をほどいていったのなら良かったのだが、事実はそうではない。物音がする隣の部屋へ行ってみると……

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そこには見知らぬ男がいた。

「君…誰?」
「それは俺のセリフだ」
ごもっともで。

どこから入ったのかと言うと、窓の外から。
ここは5階でもあることから、元体操選手の空き巣なのかと問い詰める雪隆だが、

「違う違う。宇宙人なんだ」

(・_・)エッ..?

「ワレワレハ、ウチュウジンナノダ」

宇宙船が墜落したと言う男。どう考えてもふざけてるようにしか見えず、相手にするだけ無駄なところ。
とことで、雪隆はこれ以上話を聞かず、無理にでも部屋から追い出そうとする。しかしそれでも男は改めて平然と入ってこようとして……

「開けんなァァァ!!」

厳重にロックして部屋に戻ると、そこには何故かその男がw

「話くらい、最後まで聞いてくれてもいいじゃないか」

とことで、雪隆はコーヒーを淹れながらとりあえず話を聞いてやることにする。


「一昨日の夜謎の物体がここら辺に墜落したの知ってる?」

雪隆は隕石だと認識しているそれだが、男が言うにはそれは小型救命艇で、それに乗ってきたのだと言う。
雪隆はスプーンを探す。

「ニュースでもやってるよ。はいスプーン」
「おおサンキュー。ってここは俺の家だ!

何だかんだ言って雪隆は相手の分までコーヒーを出す。

「教えてあげたのに文句の多い奴だな。濃すぎる」
出してあげたのに文句の多い奴だなw


テレビをつけてみると、早速それが放送されていた。
ただの隕石ではないだろうことが、その映像からもよくわかる。しかし、男がそれに乗ってきた証拠は何もない。

「ホントに宇宙人なら証拠見せてみろああ!?」

ガラの悪いノリで、雪隆は男を指さす。
その人差し指に、男は自分の人差し指を突き合わせる。
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これぞまさしく宇宙j
「証拠!!」
ダメだったかw

「残念だけど証拠はない! 墜落したショックで記憶を失ったらしくてね」

その代わり、気付いたら握ってたというコントローラーらしきものを雪隆に渡す。
当然ながらそれを適当にいじってみる雪隆だったが……

ドォーン!

突如何かが起動したかと思いきや、墜落したUFOが爆発を起こす。
部屋の窓からも、テレビからも、その様子が明らか。

「ウソォ……」

真実。
しかも、それで少なくとも何人かは爆発に巻き込まれたようで、男も人が死んだだろうと言う。

「日本の平和を守る自衛隊や科学の発展に日夜努力する学者の尊い命が、今の一瞬無惨にも灰と化したわけだ。彼らにはそれぞれ家族がいる。新婚の家庭があったかもしれない。小さな命を抱えた人もいるだろう。残された者たちは、やり場のない怒りと癒えることのない悲しみを、一生抱えていくしかない……。彼らは毎日思うのだ」

『あんな爆発さえ…なければ』

「みーんな君のせいだね」
「偶然だ!」
自分に罪がないことを主張する雪隆だが……

「そんな偶然あってたまるか!」
「威張んなー!!」

そもそもの原因はこの男にあるのだからと責任転嫁をしているところで、呼び鈴が鳴る。

「隣に越してきた、江戸川美歩です」

可愛らしい女の子。
美歩の親は研究をしていて、今はUFO騒ぎの現場に行っているのだという。一瞬ヒヤリとするとこだったが、その後に電話をしているため無事だとのこと。ホッとしたとこだろう。
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美歩も如月高校とのことで、今後の高校生活に期待の持てるところ。しかしその前に……

「『わぁー! 自爆スイッチ押していっぱい人を死なせちゃったー!』ピンポーン。『ぎゃっ!』『はじめましてうふふ。あたし江戸川美歩~』『やーコンチ。あどうもどうも~』『パパは科学者で、UFOを調べに行ってるの』『えー、爆発があったぜ大丈夫かい!?』『電話があったから平気』『そりゃあ良かった。あひゃひゃひゃひゃ――』」

寸劇を終え。

「君、快楽殺人者の素質があるんじゃないか?」
うぜぇw

雪隆は出てくように言うものの、爆発のことを公にされそうになり、今日だけは泊めようとする。

「知るか、ゆするネタがある限り居座ってやる」
この野郎w

とそこで、目の前に珍しい鳥がとまっていたことに気付く。
野生ではいないその鳥。ただ逃げてきただけのことであればいいが……



夜。
ニュースによる新情報。それによると、爆発の近くに人はおらず、死傷者はいないとのことだった。
これで脅すネタはなくなった。そもそも信用されるような話でもないのだからと、雪隆は男を追いだす方向で話を進める。

「確かに君の言うとおりだ。悪かった…」
男は静かに玄関へと向かっていく。

「この服と靴だけもらっていいかな。本当に着るものがないんだ」

なら仕方のないとこだろう。しかし、その姿はあまりにしおらしく、雪隆も罪悪感を感じたのだろう。

「ったく、明日までだぞ」

今追い出すのは酷だものね。
男は部屋へと戻っていった……

「これだ」

かと思いきや背後におり、

「取り返さなくちゃ」

そう言い彼が見つめる先には、地球外の“何か”のスケッチが映し出されていた。
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「取り返してくる」

そう言い、男は5階から飛び降りる。
何ともなく着地し走って行ったところを見るに、本物の宇宙人であるのかもしれない。そう雪隆が思って間もなく、事故が発生する。雪隆はすぐさま駆け付けると、その先には青い血を流す男がいた。やはりただの人間ではない……

安全な場所まで運んだところでふと気付くと、彼の懐には子猫が抱えられていた。
それが、彼が飛び抜けた身体能力を持っているにも関わらず事故に遭った理由か。

「悪い…。少し、休ませてくれ…」

そこで、雪隆は信じられないものを見る。
幻想的な光に包まれ、男の傷が見る見るうちに塞がっていくのだ。それだけではなく、枯れた木までもが花を咲かせる。

『これはもう、間違いない。こいつは、正真正銘の宇宙人だ』

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県内某所 湖南研究所
男が取り戻そうとしていたものには、とんでもない秘密が詰まっていた……



翌日。
朝練だからと朝早くから部屋を出ていこうとした雪隆であったが、その頃には既に男はいなくなっていた。


入学式前から激しい練習をした雪隆に、美歩が話しかけてくる。
昨日のテレビで美歩の父親出ていた話に言及する雪隆であったが、美保はそれに表情を曇らせる。

「お父さん、何か隠してるみたいなの。なんとなくわかるんだ」

信頼されていないことに落胆する美歩だが、真実の一部を垣間見ている雪隆にとっては、彼女の父親の気持ちもわかるのだろう。

「きっと、心配させまいとしてるんだよ。時間がくれば、話してくれるって」
きっとそうだろう。



夕方。
雪隆が帰宅してみるも、やはり男はおらず。
その代わりというわけではないが、湖南署の者がやってきて凶悪犯が逃亡したという話を聞く。
示された写真は、まさしくあの男であったが……

「いや、見てないっスね」

雪隆は平然とそう答える。
殺人をおこなったということで、それを信じられないという風に部屋に戻ってみると……

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そこには普通に男がいたw

「いやぁ、名演技名演技。君、やっぱり犯罪者の才能あるよ」
「お前に言われたくねぇ!」

それはともかくとして、雪隆は先ほどの話を本人に確認する。それによると、むしろ殺されかけたのは男の方だという。
撃たれた傷が腹部に痛々しく残っていたものの、ただ撃たれたというわけではない。取り返すべきものを取り返してきた。その代償と思えば安いものだろうか。
とことで、男の正体が映っているというそれを示す。

「ただ、見たら君に不快な思いをさせるかもしれない。それでも、見るかい?」

真実。それを知るのにはかなりの覚悟がいるものだろう。
しかし、それを見てもらいたいと思う男のためにも、雪隆は覚悟を決める。


再生。
すると、地球の言葉ではない何かを喋る男が。今の姿と何ら変わりないように思えたが、映像の中の男は間もなく姿を変える。

実に奇妙……と言ってはいけないのだろうが、それは鳥肌の立ってしまうような不気味な地球外生命体であった。

「ジャクリンS星の流動生物、名前はクライブ」
極めて多様な擬態能力を持っている生物。

「君も、醜い生き物だと思うかい?」
雪隆はその問いに答えられない……

To Be Continued...


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2010-09-17
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