STAR DRIVER 輝きのタクト 19話『三人の日曜日』

ワコは歌いながら早朝に登校する。
教室一番乗りかと思いきや、そこには既にルリがいて先輩と熱いガラス越しのキスをしていた。

先週の誕生日に貰ったというラケットを抱き、ルリは幸せそう。

「順調ですな」
「まだガラス越しのキスで遊んでるくらいよ」

しかし、ベテランの目は誤魔化せない。
「ガラス越しにしているだけじゃ、こんないけないキスマークはつかなくてよ?」

人妻女子高生登場。
ルリの首筋にある怪しいキスマークを指摘する。

いくところまでいっている。その事実を否定するルリだが、次の日曜に先輩の両親に紹介されるよう誘われているのだという。
シモーヌの予想では……実際彼氏の家に行ってみると両親は急用で出かけていたことになっており、実質2人きりになるのではないかというパターン。

「やっぱりそうなのかしら」
『『嬉しそう』』
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ルリを羨むのはワコとシモーヌだけではない。カナコだって同じ。
結婚しているとはいえ、旦那と彼氏は違うのだから。

「やっぱり、彼氏がいてこその学園生活よね」
それが青春の謳歌ってやつか。

「だからごめんねワコ」

ルリは次の日曜にワコと遊べなくなったことを謝る。
ワコ自身は忘れてしまっているようだが、その日はワコの誕生日なのだから。

「「おはよう!」」

2人の美少年がやってくる。
彼らは期待に応えるだろう……。
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ワコはメロンパンを食べながら中庭を見下ろす。
「彼氏のいる昼休み…か……」

些細な一時でも、その差は歴然として表れる。しかし、彼女は孤独というわけではない。

「美味しそうだねぇ、そのメロンパン」
そう話しかけるのはタクト。

「もーっと美味しいもの御馳走してあげる」
タクトは自信満々。

「今度の日曜日空けといて。誕生日だろ。スガタん家でお祝いだ」
拠点はいつだってスガタの家。


誕生日当日。
手作りケーキは無理にしても、カレーを作るべく美少年2人はエプロン姿に。

「殿方のエプロン姿も、なかなか良いですな~!」
同意。

タクトとスガタが料理をする最中、タクトの過去の話をする。

「タクトってさぁ、中学の時に、付き合ってた女の子とかいたの?」
「付き合ってた子はいなかった」
「けど、好きな子はいたでしょ?」
そこはやっぱり気になってしまうところ。

実際どうだったのか、タクトは明言せず。スガタもついつい泣きだしてしまう……
とは言え、それはタマネギを切っていたことにより目が染みての涙。それでも貴重なシーンであることは事実だろう。ワコでさえ、スガタが泣いているところを初めて見たというのだから。

パシャリ。
タクトはその貴重なシーンをしっかりとカメラに収める。

「ヒロシに借りといたデジカメが…こんなところで役に立つとは」
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ヒロシGJ!

居候の立場で大胆なことをする。それが、スガタの鍋に火をつける。(そのままの意味で)
スガタは早速その鍋にタマネギを投入。最初は火の通りにくそうなものを炒めるべきではないかというところだが、鍋にはタマネギがまるごと投入されていた。

「このタマネギどもは……罪なき者を泣かせた報いだ」

タマネギまで巻き込むなんて、スガタは罪なオトコ。

『誕生日とは関係なく……三人で過ごす日曜日は、なんだか夢のようで……夢なら覚めるなって思う』

この時間は間違いなく現実。
大切にしなければ。


「おかわり!」

いつものように、ワコはたくさん食べる。これだけ食べてくれると、作った方も作りがいがあるというものだろう。

「それから…これも」
おかわりのカレーとともに、タクトは懐中時計をワコに渡す。

「火事で焼け出されちゃったから、今お金なくてさ。今年のプレゼントは、それで許して」

時計を開くと、そこにはある女性の写真が収められていた。
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「それはね、僕の母さんらしい」

タクトにとって大切な時計である。それは誰から見ても明らかであるが、だからこそタクトはそれをワコにプレゼントしたのだった。

「だからね…貰ってほしい。これからのワコに持っていてほしいんだ」

タクトはワコを大切に想っている。それがよくわかる、大事なプレゼント。

プレゼントし慣れていないスガタはというと……
「じゃあ……スガタからのプレゼントは、これだ」

タクトは、スガタがいつも肌身離さず持っていたナイフを差し出す。

「それはね。スガタが…小さい頃からずーっと、ワコを守るために持っていたナイフだ」
スガタのワコに対する大切な想いが詰まっているナイフ。

「スガタの真心だよ」
ワコはそれを手にとる。

「古い時計に、物騒なナイフ」
「酷いプレゼントだな」
だとしても、タクトとスガタからワコに向けたプレゼントである。そこに大きな意味がある。

「でも最高のプレゼントだよ。 ありがとう。大切にするね」

スガタの家で素敵な時を過ごしたところで、三人は街へと繰り出す。


『罪なき者を 泣かせた報いだ タマネギ!』

三人でいろんなバージョンの写真を撮り、大切な思い出とする。

続いては映画館に足を運び、『愛と青春の爆発』という映画を観ることに。
タクトとワコはそれを観て号泣。
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スガタの若干引き気味な様子から察するに、泣ける映画だったのかは疑わしいところだが、きっとそれだけいいお話だったのだろう。

その後は三人仲良く一つのドリンクを飲む。ワコもなかなか積極的だ。

海辺にて、美少年に挟まれ歩くワコ。
その様子をコウとマドカが見ていた。

「南の太陽がよく似あう三人……か」

それを見て、この二人が何も企まないわけがない。本日のデザートは刺激が強いものにすることを決める……



タクト達三人が次にやってきたのはカラオケ ニチゴ。

「失礼します」

オーダーしたドリンクを持ってきたのはケイトだった。
微妙な雰囲気がその場に流れる……

「どうぞごゆっくりお過ごしください」

バイト先ということもあり、タクトは一層緊張したことだろう。

「ちょっと失礼」
ワコはマイクを置き、どこかへと向かおうとする。

「どこ行くの?」
「女の子にそういうこと訊かないの」
行き先を訊くのは不躾。本来の意味でも、今この場においても。


チャンス到来。
それはタクトとスガタが二人きりになったからであるが、何も二人がイチャラブするという意味でのチャンスではない。
コウは針の穴を覗く。
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「この針の穴越しに見つめればいいのね?」

マドカはコウと手を繋ぐ。するとあら不思議。屋上にいる彼女達だがその床が透け、美少年達が見えてきたではありませんか。
とは言え、この能力はただの透視能力というわけではない。

「ね。どっちにする?」
マドカは元気印のタクトを選び、コウは必然的にクールなスガタに。

「コフライト、第1フェーズ……“針の穴”」

彼女の能力の本領は、針の穴で覗いた相手に憑依できること。


ワコはケイトに話しかける。

「歌、もうやめちゃったの?」
「……何で?」
ケイトとしてはヒヤリとしたところだろう。先日、タクトにその姿を見られたばかりなのだから。

「なんか久しぶりにカラオケ歌ったらさ、一緒に歌ってた頃のことを思い出しちゃって」
理由はそれだけ。
タクトは確かに誰にも言っていない。そのことを実感し、ケイトは何を思うか。


タクトとスガタは一瞬気を失ったのち目覚める。
しかし、それは本来の彼らではない。今は“彼女達”と言った方が相応しいだろう。

「コウちゃんは面白い第1フェーズ持ってるね」
「男の子に乗り移ったのは初めてだよ」
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乙女口調なタクト達もなかなかに素敵なもの。しかし、それをおこなっているのはコウたちであり、その能力を面白いものだと表現する彼女達の趣味は悪いものだ。


「おまたせ」

ワコが帰ってくる。
すると今度はスガタが席を立つ。

「俺もトイレに行ってくる」

“俺”。
違和を感じるその一人称を聞き逃すほど、ワコは美少年に鈍感ではない。ましてやその相手がスガタなのだからなおさら。


「やあ」
スガタはケイトの頬に手を添える。

「今日も可愛いねぇ。ニチ・ケイトさん」


タクトはタクトで、ワコに迫っていた。
「どうしたの? 俺のこと……嫌いじゃないんだろ?」


パンッ!

乾いた音が響き渡る。
それはケイトがスガタの頬を叩いたがために発せられた音。

「おや? 見た目通り真面目なのかな? 委員長は」

ケイトはスガタを拒んだわけではない。スガタ以外の何者かを拒んだに過ぎない。

「あなた……誰?」


ワコに迫るタクトの首筋にはナイフの切っ先が当てられる。

「あなたは誰?」

スガタがこれまでワコを守ってきたナイフで、タクトではない何者かを牽制する。
綺羅星十字団のドライバーが第1フェーズを使ったというトリック。それがわかったところで、タクトの体は本物であることは不変。傷つけられないだろうと高を括ったマドカは余裕だった。
それはごもっともだけど、ワコの考えは違った。

「私の大切なタクト君の体…これ以上弄ぶつもりなら……今この場で…刺す!
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ワコの目は本気。
それはマドカもすぐに察した。

「わかった…」

所詮はその程度の覚悟。ただのお遊び感覚だったということだろう。

タクトの身を借りたマドカはワコから離れ、部屋から出ていく。


「他人になりすますのは…そう簡単じゃないわね」

コウとマドカは屋上で合流する。
2人がタウバーンのシルシを手にしているのは事実。しかし、彼女達はこういった形で男の子を手に入れるのを良しとしなかった。

「サイバディのゲームは、正攻法じゃないと楽しめないようだ」

彼女達の行いはいつだって遊び。実に趣味が悪い。きっとカラスだってそう思ったことだろう……


ワコは美少年二人の匂いを嗅ぎつけ、屋上へとやってくる。

「二人とも、大丈夫!?」

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タクトとスガタ。
二人とも無事だったようで何よりか。



「しかしまあ仕掛けてくるねぇ」

三人は夕日を浴びて海岸を歩く。

「せっかく三人で過ごせたあたしの誕生日だったのに……。やっぱ綺羅星十字団って大っ嫌い!」

仕切り直しにケーキでも食べに……
その前にやらねばならぬことがまたできる。

ゼロ時間到来。
三人はまたも綺羅星十字団に邪魔をされる形に。

「貴介公子! 一刀両断! 銀河美少年…コフライト!」
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「ここんとこ、登場シーンは持ってかれっぱなしね」
冷静なスカーレットキスさんでした。

タクトも彼なりにアプリボワゼ。タウバーンで颯爽登場する。

「スターソード・オパール!」

コフライトはオパールを振るい、タウバーンはそれをエムロードとサフィールで受ける。

「先刻は失礼した」
男の子の体を乗っ取った趣味の悪い女。それを知って気分を悪くするのはタクト達だけではない。

「チッ。あいつか……」
絶対に許さない。ケイトはそう思っただろうか。

タクトは頭にきているものの、それは自分の体を勝手に使われたからではない。
「許せないのは、ワコの誕生日を邪魔したことだ!」

オパールをふっ飛ばし、相手の隙を作る。
今こそタウミサイルを放つ大チャンス。タクトは銀河の光をその身に集めるものの、あとは発射をするのみというところでコフライトが変形をしてしまう。

高速飛行形態。
その変形は驚くべきことだったろう。

「さあ! あなたの針で貫いて。タウバーンを!」
ニードルスターは貫く側の人間。

「戦いは、上を取った方が圧倒的に有利になる」

スガタの言うとおり。主導権を握るのは上の人間。それも貫く側であるコフライトを前に、タウバーンは貫かれるしか道はないか……

「やれそうなこの感じは……やれるってことだよなぁ。タウバーン!」
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ヤられそうなのに、タクトはヤることに自信を覗かせていた。だって、彼は男なのだから。

「タァァァァァァァァァウ・ジェェェェェット!」

パイルの新たなる使い方。それがジェットとなりタウバーンを飛行形態へと移行させる。

「とうっ!」

タウバーンは颯爽と空に舞い上がる。

「タウバーンが……」
「飛んだ……!?」

不可能を可能にする。無限の可能性が詰まっているのが、タウバーンの凄さか。

タウバーンはコフライトに狙いを定める。今度こそ。

「銀河の光よ! この身に集え!」
タウバーンの身に銀河的パワーが集結する。

「輝く流星……! タァァァァウ・ミサイィィィィィィル!!」

タクトはコフライトのコアを捉える。
またも進化を見せたタウバーンの快進撃は止まらない……



通常時間。

コウもマドカも、想像以上のタクトの実力に高揚感を抱いていた。


『お誕生日、おめでとー!』

ルリからは電話越しでのお祝い。
電話越しでのお祝い、アリな人のようです。

ルリは先輩の家に行き、本当に両親に紹介されたのだという。
それは先輩がルリのことを大切に考えているという表れ。ルリは学園生活を確かに謳歌している。

『ねえ。ワコはもうどっちかに決めてるの?』

ワコは今日三人で撮った写真に目を向ける。大切な思い出が詰まったそれと、タクトの懐中時計、スガタのナイフ……

『おぬし、さては決めてるな?』

「……ヒミツ」
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その心はどちらに傾いているか。




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