とある魔術の禁書目録II #19『木原数多(けんきゅうしゃ)』

「天使を人体に降ろした場合の注意事項」

サーシャは孤独に情報収集をする。
そこへとある女性がやってきて、サーシャにいやらしい手つきで触れる。サーシャはそんな彼女を金鎚で殴る。金鎚とドライバー、相手がどちらを好んでいようと関係ない。問答無用で。
そしてサーシャが調べていた話へ。

サーシャの身に宿っていた天使の力-テレズマ-は後方の青色-ガブリエル-。十二使徒以上の力を持っているであろうそれを女性の体内に押し込めたと言うことは、サーシャはお腹がふっく(ry
ワシリーサは、今話をしているサーシャの上司である。その職権濫用ゆえに、サーシャは拘束服を着せられている。サーシャがその服を気に入っていないことに納得したワシリーサは、新しい衣装を取り出そうとする。学園都市にある特有文化のそれを出し……

「ねぇサーシャちゃぁん。超機動少女カナミンって知ってる?」

危機をいち早く察したサーシャはもういない。賢明な判断だろう。




「雨が降ってるーって、ミサカはミサカは夜空を見上げてみたりー!」

打ち止めは雨にはしゃぐ。
お月さまを見たくてしょんぼりしながらもはしゃいで踊るあたりが彼女らしい。

そんな打ち止めの襟を掴み、一方通行は保護者らしく彼女の動きを止める。
打ち止めは自由と解放を求め、フロンティア精神に溢れた寝言を吐く。そしてツンデレな一方通行を人差し指でツンツンとする。そんなことをすれば一方通行がイライラするのも当然。彼は強く拳を握りしめる。
そののち、一方通行は溜息をついて諦める。これも打ち止めの保護者としての経験を積んだからであろう。

一方通行は雨空を見上げる。
思い出すのは黄泉川の言葉。

『人に好意を向けることがそんなに怖い?』

打ち止めからの好意は受け入れながらも、自分から好意を向けることはない。
それを改めて考え直す……

「痛ぁっ!」

はしゃいでいた打ち止めは転んで膝をすりむいてしまう。
それを見て、一度は対応しようとした一方通行であったが、それを否定。

「唾でもつけとけよ」

消毒が必要だと訴える打ち止めを無視し、黄泉川のところへ帰るべく先を歩いていく。
打ち止めは素直に納得し、痛みを我慢してテクテクと後に続く……

少し歩いたところで一方通行は止まり、打ち止めをベンチへと座らせる。

「そこで待ってろ。勝手に動いたら、叩き潰すぞ」
そう言い、一方通行は何処かへと向かう。
画像

とある売店で手に取るのは絆創膏。安心安い値312円のその箱を手に取り、自分のバカさ加減に呆れる。とんだ過保護だものね。

雨の中、再び打ち止めのもとへと戻る一方通行。
手に提げた袋を一瞥し……

『そのくだらないものの積み重ねが、負債を返していくじゃんよ』

物憂げな表情を浮かべる。
画像

次の一歩を踏み出そうとした彼のもとに――勢いよく車が突っ込んでくる。その直前、一方通行は冷静にチョーカーのスイッチを切り替え。一方通行にぶつかった車は大きなダメージを受けて横転する。

「まァ来ると思ってたんだこういうバカが」

恨みがあるのか、利用しようとしてるのか……どちらにしろ、一方通行がやることは一つ。

「ブチ、殺す」

かつての彼らしさを取り戻し、一方通行はその力を振るう。
別の車がやってこようが、彼には関係ない。車を爆発させ、派手に魅せる。

「演出ゴクロー! 華々しく散らせてやるから、感謝しろォ」

「だーから言ってんじゃねぇかよぉ」
少し離れた場所で、とある男が車から降りる。
画像

「木ィィィ原くんよォ!」

一方通行はその男のことを知っている。
木原数多。
彼は一方通行の研究に携わった研究者であると同時に、その能力にビビって目を背けてた一人である。
そんな彼が思わせぶりな態度で一方通行の前に姿を現したのは上の命令ゆえ。緊急だから手段を選んでる余裕はないからと、ここで潰されてくれないかと言う。
しかし、一方通行がそんな言葉を聞きいれるわけがない。そんな必要性などどこにもないのだから。

木原としても一方通行を殺したいと思っている。だから、彼は一方通行に殴りかかっていく。

『何考えてんだこのバカ。さて、どう料理――』

一方通行の思考はそれ以上続かなかった。木原の拳が顔面にヒットしたからである。
本来ならばそんなことありえるはずがない。しかし、今ならそれが起こりうる可能性がある。一方通行はその可能性を持っているチョーカー型の電極に触れてみるが、それにも異常はなかった。つまりは単純に能力が木原に通用していないということ。それは大きな衝撃であったろう。

二撃目も一方通行の顔面にクリーンヒット。吹っ飛ばされた一方通行の提げる袋から絆創膏の箱が飛び出してしまう。

「似あわないねぇ」
木原はそれを踏みつぶす。

「まあ、アレはこっちで回収しといてやるからよ。てめぇは安心してここで潰れて壁のシミにでもなっててくれ」

木原の言う“アレ”とは、間違いなく打ち止めのこと。今の一方通行にとって一番怒りを与える要素であるだろう。

「ナメてンじゃ…ねェぞ、この……三下がァァ!!

直接でダメなら間接攻撃。一方通行は大気のベクトルを操り、木原への攻撃を試みる。
しかし、それすらも木原には通用しなかった。どうやったのか、呆気なく打ち消されてしまう。

一方通行は為す術なく木原に殴られる。
木原は自分の体に超能力の開発をおこなった。その可能性を考えた一方通行だが、事実はそうでない。

「今日はこいつの調子もいいしなぁ」

木原はグローブを装着した手を見やり、そう言う。
つまりはそれに秘密があるということか。倒れていた一方通行はベクトル変換ですぐに立ち上がり、木原の隙をついてグローブを破壊する。

「とりあえず……死体決定だクソ野郎ォ!」
画像

一方通行の勝利……
「けどそうじゃねぇんだ」

またも木原の拳が一方通行にダメージを与える。
彼の反射は絶対の壁ではないのだから。

ネタばらし。
一方通行の反射は向かってくる力のベクトルを変えるもの。これまで鉄壁を誇っていたのは、そういった力をことごとく跳ね返していたからである。では今は何故それが効かないのか。それは単純、木原の拳が一方通行に直撃する直前にそれを引き戻せばいいだけ。とは言え、それは常人ならばそう簡単にできるものではないだろう。それが木原のすごいところであり、一方通行専用の技・木原神拳と言われるべきほどのもの。

一方通行の大気操作攻撃が効かなかったのは何故か。それも一方通行の能力をよく知っているからこそ対処できることであった。
彼の能力は強力である一方、そのベクトル計算が異常なほどに複雑である。つまりはイレギュラーな現象を計算式に組み込むほどの余裕がない。その弱点をつき、木原は音波を発してジャミングしたというわけ。
伊達に一方通行の研究に携わったわけではないといったところか。

いっそ隙をついて単純に直接攻撃すれば、一方通行の勝ちも見えたのかもしれない。鉄壁は崩されたとしても、その攻撃の全てが対処されたわけではないのだから。しかし、それを知るのにはちょいとばかり遅かったか。

「なあ。一方通行。てめぇはアレの意味を理解してねぇんだよ」

アレというのはやはり打ち止めのこと。

「だいたいよぉ。量産型能力者-レディオノイズ-計画に第三位の超電磁砲が採用されてて、何で第一位のてめぇじゃなかったんだ?」

それはレベル6シフト計画前の話。
結局は失敗に終わった量産型能力者計画は、次なる計画に利用されたにすぎない。ではそもそもそれが何故一方通行で実行されなかったのか。そこに見えない何かがある……

「感動的だねー。ほれ、本人だって大喜びだー!」

木原が顔を向けた先。一方通行がそちらを見てみると、そこには力なく項垂れた打ち止めがいた。

まだ生きている。もし死んでいたら妹達の代理演算にも影響が出て、それはすなわち今の一方通行の身にも影響が出るはずなのだから。
確証はない。しかし、このままではいけないことだけは確かだった。

「ラストオーダァァァァー!!」

その声に、打ち止めはわずかに反応する。

最後の力。一方通行は大気を操り、それをラストオーダーへとぶつける。
攻撃のためのものではない、彼女を遠くへととばすためのもの。咄嗟のことであり、それには木原の介入も間に合わず、最後の最後で成功したといったところか。
しかし、これが今の一方通行にできる限界。一方通行は血を吐いて倒れる。


木原達が命ぜられている最優先事項は最終信号-ラストオーダー-の回収。全ての班をそちらに回そうとしない木原に、猟犬部隊-ハウンドドッグ-の一人は素朴な疑問をぶつける。しかし、ここでのルールはそれに従うものではない。猟犬部隊はいくらでも補充が利く。そのことを言い聞かされ、彼らは木原に従うのみ。


一方通行は殺されゆく運命。
「黙れ……。クソッたれ……お前にゃ一生わかんねェよ」
画像

一方通行はこれ以上抵抗することもできない。
今の彼ができるのは精一杯の祈りのみ。

手柄もいらない、踏みにじられて笑われてもいい。

『誰か……、誰でもいいから、あのガキを……』


「そこで何しているの?」

画像

奇跡の救世主が現れたか……




上条さんはインデックスを捜していた。

再会して間もなくのこと。インデックスは先刻まで同行していた一方通行に借りたポケットティッシュのことを思い出す。
最新鋭日用品がなくて困ってるかもしれない。その可能性を考慮したインデックスは、早速はぐれてしまったというわけ。

上条さんは地下街から地上へと戻る。
外は雨。
インデックスは傘を持っていなかったこともあり、上条さんはすぐに見つけ出そうと街を走る。

外にはいつもより多くの警備員-アンチスキル-が配置されていた。面倒なことが起こる前に早くインデックスと合流しなければならない。そう考えながら走っていると、突如警備員の一人が倒れてしまう。

上条さんはすぐさま駆けつけるも、返事はない。
それだけでなく、他の警備員の者たちも次々に倒れてしまう。何が起きているというのだろうか……

すぐさまインデックスのもとへと向かおうとした上条さん。そんな彼に抱きついてくる者が現れる。
雨に濡れ……それでも涙を流していることがはっきりとわかる表情を浮かべたその少女は打ち止めだった。

「助けて。……お願いだからあの人を助けてって、ミサカはミサカは頼みこんでみる!」
画像

ただ事ではない。
深刻な何かが起こっていることを、上条さんは知る。




雨の中を悠然と歩く不気味な少女。
彼女は落ちている無線を手に取り、アレイスターに呼び掛ける。

「統括理事会の顔を三つほど潰してきたとこだけど、その程度では堪えない…か」
「補充なら利くさ。いくらでもな」

アレイスターと話す彼女の素性。それは……
「神の右席」

その正体に白を切るアレイスターだが、きっとそれには既に気付いていることだろう。

「この街を甘く見ていないか?」

警備員や風紀委員ごときでは機能しない。その現状を知っていないだろうと、神の右席は余裕な対応をする。
しかし、実際アレイスターがこの街の現状を知らないなんてことはないだろう。恐らくアレイスターはそれをわかった上で、余裕でいられるのだろう。そのことを理解しようとしない、ましてや小指を立てて無線機を手にしている彼女にはわからないだろう。神の右席・前方のヴェントには。

「この一晩で全て潰してあげる。あんたも、学園都市も、幻想殺しも、禁書目録も。その全てをね」


画像

アレイスターは木原に連絡を取る。

「虚数学区五行機関、AIM拡散力場だ。少し早いが、ヒューズ=カザキリを使って奴らを潰す。逃走中の20001号を捕獲次第、指定のポイントに運んでくれ。早急かつ丁重にな」

久方ぶりの楽しいショータイム。
それを前にし、アレイスターは不気味な笑みを浮かべる。


とある魔術の禁書目録Ⅱ 第2巻 〈初回限定版〉 [Blu-ray]
ジェネオン・ユニバーサル
2011-02-23

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by とある魔術の禁書目録Ⅱ 第2巻 〈初回限定版〉 [Blu-ray] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


"とある魔術の禁書目録II #19『木原数多(けんきゅうしゃ)』"へのコメントを書く

お名前:
ホームページアドレス:
コメント: