とある魔術の禁書目録II #22『天罰術式』

制限時間はあと60秒。残った敵は木原のみ。

もう光の道には帰れない一方通行は、木原と一緒に地獄へ落ちることだけを考えて突撃する。
木原としては一方通行の初撃をかわすことが大事。それを造作もなくおこない、逆に攻撃を仕掛ける時は自慢の対一方通行寸止め式で、一方通行の体にダメージを蓄積していく。

一方通行は自分のことをカッコイイとは思っていない。打ち止めを助けようとするその姿が傍から見てどんなに立派だとしても、彼自身は一生泥の中だということもわかっている。その上で彼が求めているのはただ一つ。

『地獄へ行くのは俺とお前だけでいい。そこにあのガキを巻き込むンじゃねェよ…! このクソヤローがァ!!』

一方通行は何度でも木原へと攻撃を仕掛ける。しかし……
チョーカー型の電極から、無情にもバッテリー切れの機械的な音が発せられる。
一方通行は戦闘はおろかまともに立っていることもできず、ただ床に倒れるのみ……



上条さんは再びヴェントと戦闘。
本来の状況であれば、上条さんが攻撃に移ることなどはできなく、守るべき者がいる分ヴェントとの戦闘は圧倒的不利だったかもしれない。しかし、ヴェントが魔術を使えばその分彼女にもダメージが返ってくる。それが上条さんをサポートしていた。

「気持ちの悪い右腕ぶら下げて、吐き気がするような天使を庇って、どこまで私を笑わせれば気が済むのかしら!」
「ふざけんじゃねぇよテメェ!」
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上条さんは説教を始める。

「世の中にはテメェが持ってる視点しかねぇとでも思ってんのか! 何で自分以外の他人を受け入れようとしねぇんだ、テメェらは!」

とはいえ、ヴェントはただ他人を受け入れようとしないわけではなかった。
“科学”に明確な悪意を持っていた。

「私をこんな風にした科学が嫌い!」
その悪意により上条さんは吹っ飛ばされる。

「私の弟を見殺しにした、科学が憎い!」

上条さんの近くには、倒れている一般人がいた。ヴェントの攻撃により巻き込むわけにはいかないと思ったところで、氷華が動き出す。

天使の攻撃。
それが科学サイドがおこなっていること。

「科学なんてこんなもんだ。あんたもその一員なのよ。気持ち悪いとか思わないわけ!」

ヴェントの攻撃が一般人に迫る……



「電池が切れりゃあ、ただの動かないガラクタってかぁ……」

木原は一方通行を無視し打ち止めに近付く。しかし、もう立ちはだかることはないと思われていた一方通行はなおも立ち上がる。木原の言葉が理解できないような状態であっても……



ヴェントの攻撃は一般人に直撃したはずだった。
しかし、その男は無傷。それが何者による力なのかはすぐにわかることとなる。

光の粒が降り注ぎ、生き埋めになったはずの者の生存が次々と確認されていく。
それは“天使”としてのおこないではなく、間違いなく“風斬氷華”としてのおこないであった。
学園都市に降り注ぐ光の粒子は氷華の思い。彼女も上条さんと同じで、今ここで戦っている。

「日頃から不幸不幸って言ってるけど……これだけあれば、充分に幸せじゃねぇか。なあ!」

上条さんは幸福を実感する。
しかし、ヴェントは上条さんが何を言っているのかわけわからず。

( ゚д゚)

「待ってろよ。風斬。今…インデックスがお前を助けるために動いてくれてる」
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氷華の戦いは孤独ではない。氷華の友達であるインデックスも、彼女ができることをしようと必死に戦っている。
そして、上条さんも彼にしかできないことをするのみ。

「それまでの間、ここは俺が……絶対に食い止めてやる!」



今の一方通行相手に木原は小細工をする必要はない。
ただただ殴りかかろうとする……が。一方通行は殴りかかってきた木原の右手首をがっしりと掴み、右手で木原の側頭部の髪の毛をむしり取る。地肌ごとのそれはかなりのダメージがあったことだろう。
一方通行は木原の上にのしかかり同様の攻撃を加えようとする。木原はなんとかそれから這い逃れようとするが、能力の使えない一方通行には地味なダメージしか蓄積することができない。

一方通行のおこないによりイライラが募っていた木原は、一方通行を殺すだけでは足りないと感じていた。

『こいつから死ぬ意味すら奪う、そのためには何をすりゃあ……』

そこまで考え、木原は思いつく。
打ち止めの脳に打ち込んだウイルスのオリジナルスクリプトを懐から取り出し、それを一方通行の目の前で粉砕する。これで打ち止めはもう助からない。その絶望を一方通行に与え、無力な彼を足蹴にする。
そこへ……

「いた…!」
インデックスがやってくる。



上条さんはなおもヴェントと戦う。
戦い慣れているであろうヴェントだが、上条さんも伊達に修羅場をくぐり抜けてきたわけではない。自慢の体術で相手の攻撃をかわしつつ物理的なダメージを与えると同時に、冷静な分析でハンマーが打ち消せることに気付く。

「周りを気にしなくていいんだったら、こっちも存分にやりあえる」

周りの者たちを氷華に助けてもらい、上条さんは戦闘に集中する。
「これがテメェの限界だ!」

「神の右席を……なめてんじゃねぇぞ!!」

ヴェントは強大な魔術を発する。
上条さんが相手に決定打を加えるまでには未だ至らない。しかし、ヴェントはやはり自分の魔術を制御しきれない。

ヴェントは自分が置かれている状況をしっかりと理解していた。天使の出現に合わせ“界”全体へ強制的に術的圧迫を加えるという魔力の循環不全。それがアレイスターによって為されていることを知りながらも、彼女は戦い続ける。

「バッカ野郎! そこまでして戦う理由なんてあるのか!」

あるのだろう。
どんなに苦しんでも、ヴェントがそれだけの思いをして戦う理由が。

ヴェントはボロボロになりながらも、科学的医療には身を預けないと決めていた。
「私の弟は科学によって殺された…!」

先ほども言っていたその言葉。ヴェントはその詳細を語り始める。
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彼女の弟は遊園地のアトラクションが誤作動を起こしたせいで亡くなってしまったという。科学的には絶対に問題ないと言われていたにも関わらず、だ。
何重もの安全装置、全自動の速度管理プログラム……それら科学的単語は実際には何の役にも立たなかった。病院に運ばれてからは輸血が用意できず、ヴェントか弟か二人のどちらかが助かるしか選択せざるを得なかったという。

神の右席という立場であれど、彼女は完全に個人の動機で動いていた。
逆を言うと、彼女は神の右席を利用してでも科学を潰したいというほどに憎んでいた。

「科学ってのがそんなに冷たいもんなら、全部ぶち壊して、もっと温かい法則で世界を満たしてやる! それが弟の未来を食いつぶした私の義務だ!」

ヴェントが思いをぶつけたいのも少しは理解できる部分がある。しかし、それはほんの少しだけ。

「ふざけんじゃねぇよ」
上条さんは右拳を握りしめる。

「何が科学が弟を殺しただ。その医者だって、初めから死なせたくなかったに決まってんだろ…。お前たち二人とも助けたかったに決まってんだろ!
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アトラクションもそう。人を楽しませるために動いていたはずなのだ。
確かに、ヴェントたち姉弟を救ってやることができなかった科学は頼りないものなのかもしれない。しかし、だからといってそれを恨んでいいことにはまったくもって繋がらない。
科学側の人間は、人を楽しませたいと思いアトラクションを運営し、人を助けたいと思い医者をやっているはずなのだから……

ヴェントの弟も、自分の置かれた状況を理解した上でただ姉の幸せを願っていたはず。
「そんな人間が、科学に対して復讐してほしいなんて、言うと思ってんのか! お前の幸せを誰よりも願っていた人間が!

その命の重み、言葉の価値は大いにあった。ヴェントは今もこうして生きているのだから。

それでもヴェントは叫ぶ。
「私はあの子の未来を食ったのよ!」
「まったく同じ境遇の人間に、今の一言を叫べるのかよ!」

否。

「だからお前に反論する。そんな生き方は間違ってんだよ!」

ヴェントの命が弟の命を食ったのではない。弟の命がヴェントの命を救った。
ヴェントの行いが間違っていたのではなく、弟が世界で一番凄い行いをしたのだ。それに泥を塗って彼の行いを台無しにしてはいけない。

上条さんはヴェントの考えをただそうと、彼女に向かって突撃する。

『学園都市が…風斬が抱えている危機的状況も、ヴェントが囚われている“科学”への憎しみも、そんな幻想はまとめてぶち壊す! お前の弟に比べれば、全然大したことはないだろうが、少しだけお前を救ってやる…。もう一度やり直してこい! この大馬鹿野郎!!
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上条さんの容赦のない右拳がヴェントの左頬にクリーンヒットする。
二人の戦いは終わった……



インデックスは打ち止めを目当てにここに来ていた。
勝手なことをされるわけにはいかない木原はそれを阻止しようとするが、そんな木原を一方通行が阻止する。

打ち止めが全ての核であることは確信しながらも、インデックスだけでは詳しいことはわからない。
とことで、早速電話先の短髪……つまりは美琴に質問する。

「脳波を応用した、電子的ネットワークって何?」

科学のお話。
それを聞いてなんとなく状況を把握したインデックスは、“歌”という手段に考え至る。

祈りは届く。
それでインデックスは皆を救ってみせると決断する。

「この子も……ひょうかも……学園都市も」

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インデックスは祈りの歌を捧げる。
それをバックに、一方通行は執念で立ち上がる。

「木ィィ原ァァああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

拳での殴り合い。
それに勝った木原は手榴弾で一方通行にトドメを刺す。
今の一方通行にとって充分に殺傷能力を持ったそれは決定打となっただろう。木原は不気味な笑みで高笑う。
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しかし……
一方通行は死んでいなかった。
その背中からは邪悪な黒翼が生え、木原を掴みあげる。
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「ihbf殺wq」

圧倒的な力が木原をふっ飛ばし、彼はオレンジ色の光となって消えていった……



上条さんの前に、ヴェントを回収しに来た男が現れる。
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「後方のアックア。ヴェントと同じく、神の右席の一人である」

彼はここで戦おうことなどしない。ヴェントはもう天罰を使えないとのことで、上条さんは学園都市の平穏を守れたと納得させこの場を去ろうとする。
それで納得できない上条さんであったが、納得させるためにアックアは加える。

「私は聖人だ。無闇に喧嘩を売ると、寿命を縮めるぞ」

そして彼は去っていく……


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