あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 09話『みんなとめんま』

ぽっぽ、あなる、ゆきあつ、つるこは宿海家へとやってくる。

「落ち着けめんま!」

慌ただしく蒸しパンを作っためんまは、召し上がれ~とそれを皆の前に出す。どや顔で(`・ω・´)
あなるは怯え、ついつい隣にいたつるこに抱きついてしまう。そんなプリチーな彼女と同様に、皆もひとりでに動くそれに動揺していた。
しかし、それ以上に感動していたのはぽっぽ。彼には一番大きいからと、大きめの蒸しパンが差し出され、

「俺…えれぇでかくなったんだよぉ~!」

時の経過も実感しつつ、ぽっぽは美味しそうにそれを食す。

「俺のは? 俺には、一番どんなやつくれるんだ、めんま?」
「ぁ……ゆきあつには、一番レーズン入ったやつを」
そんなこと言ってないよ(`・ω・´)

「めんま。お前に直接、教えてほしいんだ」

ゆきあつはめんまの想いを求める。
あなるが紙とペンを用意し、めんまはそれをすぐに受け取り何かを書きだす。しかし、何故か書くことができない。じんたんはそれを受け取ってみて確認するも、ちゃんと書ける。インクがないわけではないようだ。

ちょ待てよ!
そんなじんたんの抵抗も虚しく、ペンは再びめんまの手に。
それに怯えたつるこが、今度は先ほどとは逆にあなるに抱きつく。
あら……(*´・ω・`*)
でも首を絞めるパワーはガチですw


4人はすごいのを見たと驚きつつ帰路へ。
力が抜けてすごく眠たくも感じる状態の中、あなるはうるっと涙ぐんでしまう。

「めんま…私たちのこと、怒ってなかった…。許してくれてた」
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「許してくれてるかどうかなんて、わからないじゃない」
あらつるこさん意地悪ね(´・ω・`)

「許してないからこそ、責めるために現れた……ってこともあるかもよ」
それはごもっともかもしれないが、あなるの考えは違った。そしてあなるの考えの方が正しいのだと信じたいところだ。

「そ、それにしてもよぉ、文字書いたりできんなら、最初から書いてくれればよかったのになぁ」
やはりその考えに行き着いてしまうか。

「じんたんもめんまも、けっこう抜けてっからなー」
「違う」

ゆきあつは断言する。

「めんまのこと…信じろだなんて、結局は一人占めしたかったんだ」

めんまを救いたいと思いながらも、独占欲も抱いていた。だからめんまの存在を敢えて強引に教える必要もないと考えていたのかもしれない。それをゆきあつが感じるのは、もし彼がじんたんの立場であれば……というものを考えたためなのかもしれない。

「久川、安城。バイト代は、ちゃんと貯めとけよ」

花火を作って見せるから。絶対に。

「絶対に、めんまを成仏させる」
ゆきあつ……(´・ω・`)

させよう、絶対に。


はしゃぎ疲れて寝てしまっためんまに、じんたんは布団をかけてやる。
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「みんなで、花火作ろうとしてんだ。お前を……成仏させるために」

喜んでくれるだろうか。
それはめんまに直接訊かねばわかるまい。
そしてまだそれをする勇気は出ないか。

じんたんもめんまの寝るベッドの端で横になる。
すると、めんまが背後からじんたんの服を掴んでくる。

「お。お前起きて…」
「ありがとじんたん」
めんま……

「…ありがとう」

めんまはそう言ってくれる。
顔は窺い知れない。だから……

『これでいいんだ』

じんたんもその状態のまま眠りにつく。


翌日。
いつものように工事現場で仕事をしているじんたんのもとに、めんまが応援にきてくれる。
彼女のそれに、じんたんは右手を軽く上げて応えてやる。

『これで……いいんだ』

あらゆる行為を自分に言い聞かせて……


「お願いします!」

じんたん、ぽっぽ、あなる、めんまの4人で花火師のもとを訪れる。
しかし、やはり彼だけの判断では動けないこともあるのだろう。取り合ってもらえず。

じゃあ笹団子食いに行こうぜ。笹団子(`・ω・´)

そんな気分になることもできず、3人は実正山定林寺でショボーン(´・ω・`)
めんまは一人元気に走り回る。

「めんま。あんまり走ると危ないぞ!」

その言葉により、ぽっぽも走り出す。

「待てーい、めんま~!」
なんだかなぁ。

じんたんと二人きりになったあなるは、先日涙とともに告白した時のことを思い出す。

『やっぱり、私……』
「諦め……らんねぇよな」

シンクロ。
じんたんはあなるの方を振り返る。
思わずポッ(*´・ω・`*)
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「すまん!」

じんたんは先に謝罪し頼みこむ。

「来週のシフトだけどさ、ちょっと代わってくれないか」

木曜に橋の工事があり、その日給が高いからそちらに出たいとのこと。
あまり無理しないでほしい。けど……でも……



夕方。

「こんにちは」

ゆきあつるこはある男性に声をかけていた。
そう、めんパパこと学さんだ。

少し事情を聞いた彼の話によると、イレーヌさんが花火に反対したのだろうとのことだった。少なくとも学さんは今回のことにノータッチ。
まあ路上でタバコを吸う人に花火が危険だからと反対をする権利はないといったとこだろう。

「あいつはまだ過去に生きている」

めんまがああなってしまってから、イレーヌさんの時間は止まってしまっている。
彼女を今に引き戻したい。そのためにもこれ以上思い出させたくないと、学さんは過去の事実から逃げる選択肢を選ぼうとする。
そんな彼の前に、ゆきあつは一歩踏み出す。そして地面に手をつく。

「お願いします!」

ゆきあつ……

「おばさんの気持ち…おこがましいですけど、俺わかる気がします」

そう言える根拠はある。
いや、権利があるとでも言うべきところだろうか。

「俺は、娘さんが…芽衣子さんが好きでした!」

自分も過去に生きたままだから、めんまのために何かがしたい。

「だからこそ、俺……」

ゆきあつの目からは涙がこぼれる。
彼もとても悲しい思いを抱えている。それでも、今は前に進もうとしている。過去から逃げず、未来を、今を生き抜いていくために。



「あーんなカッコ悪いことするなんてビックリ」
「俺だってビックリだ」
ボクもビックリっすよ(´・ω・`)

ゆきあつは昔から変わらない。めんまのためになれば、何だってする。
だからこそこれでいいのかとつるこは疑問に感じる。

「信じてるんならいいの? めんま成仏させちゃって」

あれだけ拘っていたくせに……
じんたんを介せば話だってできるというのに……

「宿海を介せばな」

そこが重要なポイント。
その事実に甘んじるわけにはいくまい。

二人がそんな話をしていたところで、じんたんがやってくる。

「よっ。お疲れ」

ここは久しぶりにじんたんが外に出た際、ゆきあつること出会った線路沿いの道。
じんたんはその頃からだいぶ変わり、怯えた様子を見せることも少なくなっていた。

これからバイトだというじんたんは、遅くなるからめんまを家に送っていこうと考えていた。つまりめんまもここにいる。

「そうだよ。みんなと一緒に頑張りたいんだよ」
「はいはい。みんなと一緒にいたいってさ」
頑張りたい、だよ。

ゆきあつは訊く。
「めんま……まだ髪長いのか?」
もち。

「てか、俺らとおんなじに成長してんだよなぁ…こいつ」

!?
ゆきあつるこはともに驚く。
そしてゆきあつはさらに訊く。

「……美人か?」

これ重要。
じんたんはその質問に答えづらく感じるも、思ってもみないことを言ってしまったあの夏の日のことを思い出す。

「…ほどほどに…、まあまあ…美、人…つか、可愛い…系?」
なにおう(`・ω・´)
じんたんとめんまは口論を始める。
これでもじんたんは成長したんだよ。かつての過ちを繰り返さないようには、ね。

まるで一人芝居を見ているようだがそうではない。だって……

そんなところでゆきあつは柵を蹴り始める。

「ゆきあつが壊れた……」
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心中お察しします(´・ω・`)
ゆきあつとつるこ、両方のね。



後日。
じんたんたちの思いが届いたか、花火を作ってもらえることに決まる。

火薬を扱うのはもちろん職人さんだが、それ以外のところは自分たちで手伝うことができる。これで大きな一歩を踏み出した。
しかし、凹凸じんたんの表情はどこか浮かばなかった。
でも決まったからにはいざ。

「おじさん。よろしくお願いします!」

とことで、じんたんたちは早速お手伝いをする。

「赤が多めの方が、可愛らしくていいと思うけど」

そんなつるこさんが可愛らしい。
そりゃあメガネもキラリと光るものだ。

花火の構想図を見てめんまはテンションアップ。

「すごーす、すごーす! すっごーーす!!」

はしゃぎすぎたら危ない。

「ぽっぽぽぽー! ぽっぽー!」

けど、めんまを見ているとちょっとくらいからいいかなと思えてしまう。
ホント、不思議だ。

『めんま……。見えないのに……見える』

それは彼女のことをよく知っているからこそ。だからあなるは悟ってしまう。

『私……敵わない。昔も……今だって…敵わない』

我慢に難くなったあなるはジュースでも買ってくると言い、一人でひっそりと泣きに入ってしまう。
そんな彼女のもとにゆきあつがやってくる。

「助かった。 お前が逃げ出してくれて、俺も……叫び出しそうだったから」
ゆきあつ……

「めんまは傍にいる。それは納得した。けど、めんまは…見えない。喋ることも…できない」
ゆきあつ……

「めんまと、もう一度会いたかった。なのに、どうして宿海だけ…」
「やっぱり宿海なんだよ」
あなるは言う。

「宿海にも、やっぱりめんまなんだよ。あの頃から何も変わらない」
「玉砕したか?」

あなるの様子からゆきあつはそう悟る。
“じんたん”と呼びだしたくせにすぐに“宿海”に戻ったことを考えるに、あなるの心を見透かすのは易いか。
しかし、ゆきあつが見透かせるのはあなるだけ。

「似た者同士のシンパシーってやつか」
「あんたみたいな性悪と似てるなんて、絶対御免!」

興奮するあなる。それは何もゆきあつが嫌いだからという理由からじゃない。じんたんへの想いが報われないという事実があるからだろう。もちろん、その傷に触れられたことも許し難いことだろうが。

「……悪かったよ」

ゆきあつはあなるに謝る。
彼自身が言ったように、二人は似た者同士。あなるの心の痛みはゆきあつにもわかってしまうのだろう。

そんなところで、ゆきあつらを探しに来たつるこが二人を発見。密かに様子をうかがう。

ゆきあつが謝ってもあなるは反応を見せない。涙を浮かべるだけ。
だから、ゆきあつはその涙を優しく拭ってやる。
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……やん(*´・ω・`*)

「前言ってたこと……あれ、俺けっこう本気なんだけど」
前……?

「俺たち付き合ってみるかって」
(*´・ω・`*)

あなるは警戒。
ここには二人きりなのだから、当然のところだろう。
そんな男に耐性のないあなるが可愛い(*^ω^*)

「ざけんな!」
ナイスミドルなあなるが可愛い(*^ω^*)

そんな様子を見ているつるこが……少し……ほんの少しだけど、なんとなく怖い……(´・ω・`)



夕方。

「ここだな」

じんたんはカレンダーにマークを付ける。
とことで、打ち上げの予定日が決まる。

そんな話を秘密基地でしていたのだが、ここにはもうあなるのぬいぐるみはない。
つまりは彼女はもう家に帰ったとこと。気まぐれ子猫ちゃんだこと(´・ω・`)

バイトの時間とことでじんたんはそちらへと向かうが、めんまはここに残ることに。
ぽっぽもその体のように大きな心をもってそれを受け入れる。
めんまもはしゃぐ。

「だって、嬉しいんだもん!」

めんまが嬉しい。それはとてもいいこと。


気分は夏。服装も夏。
そんなじんたんがバイト先に向かって歩いていると、モブな学生とすれ違う。
彼らが着ているのは早くも冬服であった。
最初は夏の獣だと思っていたが、もう季節はかわりつつあって……

晩夏。その哀愁こそが本当の夏の獣と言えよう。
彼の服は、正しくは“夏”ではないのだし……



秘密基地。
めんまはぽっぽとコミュニケーションをとるため、日記に書きこみを行う。

『こんにちわ。』

家のノートでは書けないものの、ここでは日記帳や壁にだって文字を書くことができる。不思議なものだ。

二人はおしゃべりを始める。
ぽっぽは何について話そうか考え……

「あの日………お前さ……。あの、時…その……俺のこと……」

そこまで言い、ぽっぽはやめる。
絵しりとりをやろう。うん、それがいい。

「ねえねえ、それ何? ちんすこうみたい」
(´・ω・`)



めんまは帰路につく。
ランドセル、ルビー、ビー玉、マリオ、お手て……
セルフしりとりをしながらめんまははしゃぐ。

「お手てのしわとしわを合わせて……幸せ!

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合掌。
でもめんまのハイテンションは終わらない。
両手を望遠鏡に見立て、めんま隊員の捜索が開始される。

めんまはじーっと夜の川面を眺める。すると、ゆらりと何かが水面上に見えてくる。それが何か、めんまは身を乗り出してじっくり観察してみることに……


バイトを終えたじんたんは帰宅する。
すると、そこにはめんまの姿がなかった。
彼女は基地に残ると言っていた。それでも、何故かじんたんは落ち着いていられなかった。

超光速とはいかずとも、歩く速度は徐々に上がり、早足に……そしていつの間にか走り出していた。
めんまは秘密基地にいるだろうと感じていても、何故彼はこんなに……

「じんたーん!」

橋までやってきたところでめんまの声が聞こえてくる。

めんまは河川敷にいた。
そこで手を振る彼女と重なるのは、かつての姿。
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彼女はそこにいる。
わかっているのに、じんたんは慌てて走り出す。

『嫌だ! めんまがいなくなるなんて、絶対に嫌だ!!』

駆けだした彼は止まらない。というより、止まれなかった。
急いで林道を走っていた彼は、バランスを崩し制御不能に。そのまま河川敷へと射出され、地面に落ちる。
大きな怪我をしなかったのは幸いと言えるだろう。
だから、めんまは涙を浮かべて彼に飛びつく。

「じんたんが死んじゃったら、絶対絶対やだよ!!」
うん……(´;ω;`)

めんまがここにいたのは、川にいる大きな鯉を見たからだという。
近くで見たくて……だから彼女は川に足を踏み入れようとするが……

「やめろ!!」

じんたんはめんまを後ろから強く抱きしめる。
それはじんたんが甘えん坊だからというわけではない。ただ切に願っているから。

「ずっと……ずっとここに、いろよ…」

その言葉を口にして、じんたんははっとする。
これが彼の本心、か。

じんたんは自分が鯉をとってきてやるからと言い、川に入る。
風邪ひいたって知らないよ!

しゃがんでムーっとするめんまを見る。
パンツは……見えない。

じゃなくて、水面にはめんまの姿は映っていなかった。
やはり彼女は……




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