STEINS;GATE 16話『不可逆のネクローシス』

凶真が持ってきたものとセイムなピンバッジの制作を依頼した者がいる。
それを知り、凶真はそれがどんな者だったか、その特徴を訊く。

「Like a barrel.」

それはバレル・タイターという意味ではない。
そのまんま、見た目がたるのようだったということ。あるいはballoonか。

「たるや風船みたいな大男ってこと?」

そこまでは手掛かりを掴むことができたものの、その男の連絡先はわからない。作るのに一週間かかると知ったら注文せずに帰ったというのだから。
だけどまだ方法はある。

『明日のタイムリープマシンの完成を待ち、時間を遡れば…』



AD 2010.08.11 18:35

凶真はあの外人の店の前で待ち伏せをする。
何時頃やってくるか訊き逃していたものの、タイミング良くその大男がやってくる。

『確かに、たるか風船のようなシルエッ…トぉ……?』

「ダル」
「げげ。オカリン」

その大男の正体はダルだった。
彼がピンバッジを偽装しようとしたのは、鈴羽の父親が見つからなかったら可哀相だと感じたため。
その時はバッジを見せて架空のタイターを作り上げようと、そう考えたわけ。

「ぬか喜びさせるということか?」
「嘘には二種類ある。人を傷つける嘘と、優しい嘘だ」

いい声には誤魔化されない。
「そんなことをして、鈴羽が喜ぶとでも思っているのか?」

もう仕方あるまい。
ダルは鈴羽から誰にも言うなと言われていることを、やむなく話すことにする。

「あのタイムマシンは、過去にしか跳べないらしいんだ」

行ったら戻って来られない。
それは衝撃的な事実だ。



翌日。
タイムマシンの修理を続けるダルに、凶真は差し入れを持っていく。
キンキンに冷えたコーラ。気が利くそれはダル御所望のもの。満足なようで何よりだ。


屋上での昼食。
鈴羽は凶真たちに対しての感謝の言葉を述べる。
初めてここに来た時は知っている人が誰もおらず、最初は怖かったことだろう。でも今ならば確かに言える。この時代に来ることができて、凶真達と同じ時間が過ごせてホントに楽しかったと。

「ほんのちょっとでも、ラボメンの一員になれて良かった。君たちと一緒にいられて……良かった」

鈴羽のためにも、きっと未来を変えねば。
それは、ダルから教えられたタイムマシンの事実を思えばこそ、より強く願うこと。

「岡部倫太郎。きっと未来を」
「きっと未来を変える!」

凶真は断言する。

「今みたいな……自由な世界に変えてやる!」

そして鈴羽に訊く。

「思い出を……思い出を作ったことを、……後悔していないか?」

別れが必然ならば、最初から凶真達と仲良くならなければ良かったと、後悔していないか。
凶真がダルから話を聞いたであろうことは、その様子から鈴羽でも推察することができた。でも、それでも……

「私は行くよ」

未来を変えるのが父の意志。鈴羽はそれを継いで実行することに、大きな誇りを抱いているのだから。

「そのためなら、お前自身はどうなってもいいというのか…?」
「70年代だって、悪くないよ」

そう言い、鈴羽は笑顔を見せる。
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「そこでまた君たちみたいな友達を作って、自由に生きていく」

出会いは神の御業、別れは人の仕業。
新たに待っている出会いを大切にしようと思えるだけ、鈴羽にとってこの2010年の出会いはかけがえのないものであったのだろう。
そう感じてくれるだけでも、彼らの出会いは本当に価値あるものだったと言えよう。



AD 2010.08.13 15:07

「それじゃあいくお」

ダルはタイムマシンの修理を完遂し、それを起動させる。
最終確認は鈴羽がおこなう。

「うん。大丈夫みたい。ホントすごいよ君は!」

タイムマシンを修理した。
ダルはホントカッコいい。

1975年のいつ頃がいいか、鈴羽は本当に楽しそうに話をし、ダルもそれに受け答えをする。
そんな素敵な光景を見て、まゆしぃも満足げ。
そんなところで、FG204という記載を見つける。

「ああ、それはね、父さんがつけたタイムマシンの名前」
ふむ……(´・ω・`)

そんなところで、鈴羽の自転車を持った凶真と紅莉栖がやってくる。
タイヤを外せば入るだろうとことで、お気に入りのそれを持って行かせることに。

「わかったー!」
と、まゆしぃ。

「まゆしぃ、鈴さんのお父さんが誰なのかわかっちゃいましたー!」
(´・ω・`)

……何!?

「しかも、その人は今このすぐ近くにいるのです」

お似合いだと思われていた二人。それが何でなのか、今わかった。
二人は親子だったのだから。

「鈴さんのお父さんは……ダルくんです!」

衝撃的な発表。
しかし、根拠が話されていない今、ダルも含めて皆信じられぬといった表情を見せていた。
だからまゆしぃは説明を始める。

「まず、バレルってたるって意味でしょ。たる…だる……ダルくん」
(´・ω・`)

そんなことが理由になるかと思われるところだが、鈴羽が所属していたレジスタンスを作った人の中には凶真もバレル・タイターもいた。

「で、2010年のアキバでタイムマシンを独自に研究できて、オカリンのリーディングシュークリームに」
「リーディングシュタイナー」
「について知っている人ね、ダルくんしかいないでしょ?」

まあ間違ってはない。でもまだ決定的なものにはなっていない。
そこで、まゆしぃは一番の証拠を提示する。それは、先ほど発見したタイムマシンの名前。

「FG204。フューチャーガジェットのことだよ」

未来ガジェット。
それは凶真たちのことを示す言葉。
それだけではなく、その横に記された文字も鍵になっている。

「フューチャーガジェット204号 2nd EDITION Ver2.31」

このネーミングセンスはまさしく……

ダルは鈴羽の方に向き直る。

「父さん……」
「そ、そういう時はパパと呼びなさい!」
「こんな時くらい変態はやめろよ!」

ははは……
笑いとともに涙も出てきてしまう。
それを拭いつつ、鈴羽は父に報告する。

「私、…来たよ。父さんに会うために。 父さんの作ったタイムマシンに乗って」
「うん…」
「父さんのやろうとしてたこと、私絶対にやり遂げるから。 だから、見ててほしい」
「うん。見てるよ。 絶対に見てる」

鈴羽はダルの胸に顔を埋め、ダルは彼女を優しく抱きとめる。

「ちなみに……母さんかわいかった?」
頬染めんな(´・ω・`)

「ロリ顔で背が小さくて巨乳ってのをキボンヌ」
贅沢いいなさんな(´・ω・`)

それは内緒に。
とことで、別れの時がやってくる。

「きっとIBN5100を手に入れてみせるから。そして、必ず君たちに託す。 だからお願い。未来を変えてほしい」

その願いに、皆一様に頷く。

「それじゃ、35年後にまた会おう。君たちにとっては、数時間後か」

その言葉を聞き、改めて鈴羽が背負った重みを実感する。
今の鈴羽を支えているのは、きっと凶真達の存在。未来を託すことができる彼らと、かけがえのない友人である彼ら。

タイムマシンの扉が閉じられる。
そんなタイミングで、凶真の携帯にメールが届く。
差出人はバイト戦士。
件名は『ありがと』
本文は……“さよなら”。

さよならを言える別れは幸せ。
かつてあった一方通行なものではなく、今回は互いにそれを交わすことができただろう。
とても大切なお礼の言葉とともに、鈴羽は別れの言葉を残した。

「鈴羽! きっと、また会おうな! 僕その時まで頑張るからさ…だから鈴羽も…!」

目の前から、タイムマシンがすっと消える。
まるで先ほどまでのことが嘘のように、本当に自然に……

「頑張れ……!」

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鈴羽が去った後、紅莉栖はピンバッジに記されたのが自分たちのイニシャルだったのではないかという考えに至る。
そしてそれは正しい考えだろう。
ラボメンバッジを作るのも悪くない……というところであったが、凶真は不安げな表情を浮かべていた。

「ダイバージェンスメーターの値が変わっていない」

0.337187のまま。
鈴羽がIBN5100を持ってきてから変わるという可能性も考えられるが、不安に感じるのも仕方のないところだろう。

今の鈴羽は54歳になっているはず。結婚して孫がいてもおかしくない年齢で、もしかしたらダルはこの年でひ孫の姿を拝めるかもしれない。
そんな話をしながら、鈴羽がやってきてくれることを信じて待つ。

そこへ、ノックの音が聞こえてくる。
皆で玄関前に集まり、それに出てみる……が、そこにいたのはミスターブラウンだった。

彼は静かに一通の手紙を差し出す。
“岡部りん太郎さま”と書かれたそれの裏には“橋田鈴”という差出人の名が記されてあった。
何故それをミスターブラウンが持っているのか驚きなところ。

「昔、俺が世話になった人からの手紙だ。今日、お前に渡してくれって頼まれてたんだよ」
「この人、今どこに?」
「亡くなったよ」
それも10年前。
非情な返答だが、それが事実であるのだから仕方がないか。


凶真たちは鈴羽からの手紙を読む。

「お久しぶりです、阿万音鈴羽です。あなたにとっては数時間前のことかもしれない。今は西暦2000年の、6月13日です。 結論だけ書く――」

そこにはこう書かれてあった。

失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。

『あたしがあたしだということを思い出したのは、ほんの一年前だった。私はこの24年間、記憶を失っていた。タイムトラベルはうまくいかなかった。修理が完全じゃなかったんだ。でも、父さんは悪くない。私が悪いんだ。まっすぐ、1975年に跳んでいれば良かった。2010年に寄り道すべきじゃなかった。わがままを言ってる場合じゃなかった。これじゃあ未来は変わらない! …IBN5100は、手に入れられなかった。 ごめん……ごめんね……』

鈴羽の絶望さが窺える。

『私は、何のためにこの年まで生きてきたんだろう。使命を忘れて、ただのうのうと生きてきた。許して! 許して許して許して!

タイムマシンオフ会の後、凶真は鈴羽を引きとめた。
その夜に雷雨があり、タイムマシンが壊れてしまったのだろう。

『もしも時間を戻せるなら、あの日のあたしを引き留めないようにしてほしい。 こんな人生――』

「無意味だった……」

そこまで記され、言葉は止まっていた。
凶真たちの言葉も止まる……



4人はミスターブラウンのところに行き、橋田鈴の亡くなった状況を訊く。

「彼女の最期を、知っておかねばならない! それがどんなものでも、この胸に刻みつけておかないと……!」

単なる好奇心ではない。
彼女と過ごした時間は今もはっきりと思い出すことができる。
そう言う凶真に、ミスターブラウンは真実を話す。

「あまり言いたくはないんだが……自殺だ」

そうなる一年くらい前から、彼女は精神的に不安定になったという。
それまでは明るくて優しい人だったのに……


「俺のせいだ」

凶真は自分を責める。
あの夜引き留めたせいで、タイムマシンは壊れてしまったと。

「あのDメールさえ送らなければ、鈴羽は1975年に旅立てたんだ!」

だから凶真は電話レンジ(仮)を起動する。このままではまゆしぃだって……だから!

『尾行は中止 前のメールはSERNの罠』

「オカリン、Dメールを送るの? そんなことしたら、全部消えちゃうんだよ? 鈴さんとの思い出も、全部なかったことになっちゃうんだよ?」
「わかってる!」

それでも凶真は……未来を変えてほしいと願った鈴羽のためにも、メールを送信する――



0.409401



凶真はミスターブラウンに橋田鈴のことを訊く。
その話によると、彼女はやはり10年前に亡くなったという。
しかし、自殺などではなかった。病気で亡くなったとのことで、今はミスターブラウンが使っているという、彼女が住んでいた家へと向かう。

そこには鈴さんが大事にしていたという自転車が置かれていた。凶真達が持たせた、それが。

ミスターブラウンと鈴さんは最初、お隣さんだった。
ある日ミスターブラウンの家が火事で全焼した際、全てなくしたミスターブラウンを鈴さんは下宿させたのだという。
縁もゆかりもないはずなのに、何でこんなに良くしてくれるのか。その疑問に、彼女はこう答えた。

「巡り巡って、人は誰かに助けられて生きてる。だから君も、いずれ誰かを助けてあげなさい…ってな」
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ミスターブラウンは、鈴さんの持ち物であったというダイバージェンスメーターを出す。
彼女がずっと気にしていたその数値は0.409031を示している。
それはあの悲しき運命からは変わっていた。
だが、1%は超えていない。

激動の日の午後8時過ぎ。山手線は平常通り運行していた。
凶真はすぐさままゆしぃに電話をするも、彼女はそれに出ない。
走ってラボに戻ると、まゆしぃはそこで幸せそうに寝ていた。

ほっと一安心。

『鈴羽。これで世界は変わったのか…? まゆりは……救われたのか…?』

それに答える者はいない。


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