いつか天魔の黒ウサギ 03話『《月》が揺れるプールサイド』

自室にて、遥は意を決して服を脱ぐ。
そして、スクール水着を着用。

「変なとこ……ないよね?」

ちょっとしたことでも気になっちゃうお年頃。
そんな彼女の部屋には料理本が散乱していた。



学校。
教室にて教師が出欠を確認するが、そこに沙糸ヒメアはおらず。
彼女は恐らく屋上にいるだろうということは、もはや皆の間で当たり前のこととなっていた。もちろん困ったことなのだが、特別待遇との噂も流れていたため、特別文句を言う者はいない。
サイトは本来なら隣の席にいるはずのヒメアのことを心配し、遥はそちらを見つめる大兎を見つめる……


ヒメアはやはり屋上にいた。

「授業…はやく終わらないかなぁ…」
ね(´・ω・`)


月光は美雷とともに生徒会室にいた。
そこで彼が思い出すのは先日、日向との戦いのこと。

「呆気ないものだったな…」

そう呟く月光のことを多少は気にしながらも、美雷は下手なお絵かきを続ける。

『俺の9年間の結末が、…こんな風に終わるとはな』
それはつまり……

「それだけ俺が天才だったということか」
うわぁ……(´・ω・`)



昼休み。
早く行かねばコロッケパンが売り切れてしまうとことで、生徒たちは購買へ急ぐ。
そんな中、遥は意を決して動き出す……


月光も昼食としてバランス栄養食を口にしようとしたところで、生徒会室の壁から異質な化物が出てくる。

「カスが。俺の食事の邪魔をするとは、いい度胸だ」

月光は美雷の胸倉を掴み、彼女に迫る……。

「だって…そんな…いきなり…」

そう言いつつ、美雷は月光のことを受け入れる。
だから月光は彼女の唇……じゃなくてやっぱりおでこにキス。

「呪い解けたー! 元気百倍! アンドゥのミライ!」

大きな化物の中からは小さな化物もわらわらと出てくる。

「あいつを始末しろ」

美雷は表情を引き締める。
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大兎も購買組。
とことで席を立とうとしたところで、遥がやってくる。

「ねえねえ大兎。今日もお昼、購買でパン買うの?」
うむ(´・ω・`)
おや、まさか何かパシらせようとしているのかなかな?
と考えられたところだが、そうではないよう。

「あのね。今日私ね、たまたま朝早起きしちゃってね」
ふむ?(´・ω・`)

「よーし。じゃあ今日は、ちょっと手の込んだお弁当を作るぞーと思ったら、ちょっと作りすぎちゃってね」

遥がそこまで言ったところで、彼女がその先何を言おうとしているのか、大兎も理解する。
もちろん周りにいる生徒たちも同じで、注目する視線……主に大兎向けた恨めしい視線が彼の心に痛く突き刺さる。

「だから、大兎の分も作ってきちゃいましたー」

やっぱり。
それを目の当たりにした周りの生徒たちは、ヒメアと二股っぽい大兎に非難の声を浴びせる。
遥はそんな周りの声など気にもせず、

「ありがたく召し上がりなさーい」
と、素敵な笑顔でお弁当箱を差し出したところで、

「大兎いるー? また今日も一緒にお昼食べるぞー」
と、タイミング良く……いや、タイミング悪くヒメアがやってきてしまう。

「今日は月光にお金貰ったから、私がコロッケパン買ってみたー」
よくできました(*^ω^*)

なんて言ってる場合じゃない。
遥の方に目を移すと……
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彼女はお弁当箱を差し出したまま、つぶらな瞳にいっぱいの涙を溜めていた。
もちろんそれ自体も大変辛いことではあるし、皆の責める視線も非常に痛い。ヒメアはそれにお構いなしだから、大兎がこの場をなんとかしなければならない。

『死ぬ……マジ視線で死ぬ……!』
「ねえ大兎。今日どこで食べるかな? 中庭のベンチ? それとも屋上にする?」

さらに辛い状況へ……というところで、電話がかかってくる。
相手はムカツクバカ月光。

「もしもし。何だよ…!」
『すぐに来い』
「はあ? なんだよそれ。今それどころじゃないんだけど」
『言葉がわからんのか雑魚』
「誰が雑魚だ!」
『お前以外に誰がいる?』
「ざけんな。だいたい何で俺がお前の命令きかなきゃいけないんだよ…!」
『奴隷は主人の命令に従うものだ』
「俺を生徒会に入れたのはお前の勝手で、俺は認めてねぇからな!」
『お前の意見は聞いていない』
「てめぇ、何様のつもりで…」
『天才だ』
うわぁ……(´・ω・`)

電話はそこまでで、切れてしまう。
しかし、これはチャンスと判断した大兎は、会話を続けるふりをする。

「そ、そうかー。大変だね紅くーん。わかったよーすぐに行くから」
と言い、遥に謝る。

「弁当サンキュ。後で食べるからさ」

そして弁当を受け取る。
生徒会の仕事ならば仕方ない。遥は無理に笑顔を作ってそれを了承する。
本当に心苦しいところではあるが、大兎はヒメアを連れて皆の鋭い視線の輪の中から脱出する。


「コロッケパンとかいうのホント美味しいよね~。人間が食べるものなんて、低俗で汚らしいと思ってたけど、大兎が教えてくれる食べ物はみーんな好き!」
やん(*´・ω・`*)

嬉しそうに話すヒメアに、大兎は自分が死んだはずであることを確認する。どういう経緯で今に至るかを……
というところで放送が入る。それによると、設備点検のため午後の授業と部活は全て休みにするとのことだった。
残念ながら午後のプールはおあずけ。女子の水着が目当てだったのに……フヒヒ(*´ω`*)
遥もションボリ(´・ω・`)


皆が帰ろうとするのを尻目に、大兎とヒメアが生徒会室に向かうと……
そこから大量の不気味な虫が溢れ出てくる。

「あら珍しい。ディルキクリスじゃない」
何ぞそれ?(´・ω・`)

ともかく気持ち悪い昆虫だ。それが大兎の顔にひっついて来て……グチャッ!
頭部を破壊してくる。

即再生。

「ヒメア。もしかしてディルなんとかって人間襲ったりする?」
「うん、肉食系。ここには餌がいっぱいあるから、嬉しそうだねー」
だねー(*^ω^*)

「ですよねー」
ですよねー(´・ω・`)

一度は死んだものの、大兎にはまだ余裕がある。仕方ないかと、その右手に貂魔の炎を燃え上がらせる。


しばらくしたのち、生徒会室に大兎とその腕にしがみつくヒメアが入ってくる。

「遅い。お前は死刑だ」
もう既に死にましたけどね(´・ω・`)

部屋の中では、まだ美雷と敵の親玉とが戦っていた。
間もなく、トドメのファイナルフィニッシュラストビリビリにより、それも木端微塵となる。

「外へ出ていたカス虫どもは始末したのか?」
だからここにいる。それが答え。

「校長に命じて生徒どもを下校させたが、その必要はなかったな」
ふむ(´・ω・`)

その前に大兎に一言言わせよう。

「いったいこの学校ってどうなってんの?」
ごもっともな疑問でさぁ(´・ω・`)




とある女性が生徒会室に呼ばれる。

「お前にこの学校の説明をさせてやる。ありがたく思え」
誰に対しても揺るぎなきこの態度(´・ω・`)

ちなみにこの女は数冴紗英子という《軍》の担当官。
《軍》というのは超国家レベルの魔術的組織のこと。その権限は警察や自衛隊はおろか政府にも勝り……でも月光には劣る(´・ω・`)

「こいつら私を狙っている連中の仲間よ」
「マジで!?」

ヒメアはちゃんとイスに座り直す。

「大兎が使うマジでって言葉好き」
やん(*´・ω・`*)

「それ、本当にって意味だよね?」
そそ(´・ω・`)

「じゃあマジで。だよ」
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ヒメアは真剣な表情へと変わる。
あくまで笑顔は大兎に向けてだけの表情。それ以外には彼女は厳しい表情を見せる。

「その《軍》が張った結界のおかげで、お前の存在は《教会》にも、魔女たちの園-テンペロン・クローリー-にも知られずに済んでいることを忘れるな」
「ええ、忘れない。軍や教会が私に何をしたのかも、ね」

大兎と離れ離れになったヒメアは、軍に酷い仕打ちを受け、その後最終的には教会へと引き渡された。そしてトータル9年間、彼女は辛い時間を過ごしてきた……
その辛い部分は大兎には見せず、ヒメアは平静を装う。

「鉄くんも気付いているかもしれませんが、この宇宙にはいくつもの異世界が存在しています。サイトヒメアのような魔女のいる世界や、安藤の美雷のような悪魔がいる…」
「インドラの娘、アンドゥのミライ!」
失礼(´・ω・`)

「インドラの娘、アンドゥのミライがいる魔界のような世界。その他にも、数限りない世界が存在しています」

これらの世界は次元の歪みによって結ばれているため、別々の世界を行き来するためにはこの歪みを通らねばならない。この次元の交差点とも言うべき場所が、ここ宮坂高校なのだという。

「わかったか雑魚」
「いや、全然意味わかんねぇ。てか何だよそれ!」
「お前はサル並みだと思っていたが訂正しよう。 ミジンコ並みだ
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あら素敵な笑顔(*^ω^*)



皆が下校して行く中、遥は立ち止まり校舎の方を振り返る。

「大兎……」
遥……(´・ω・`)


宮坂高校は次元の交差点を管理するため軍が設立した施設である。何で学校なのかというと、歪みを通る者が18歳までに限られているため。その年を過ぎると《聖地》は《道程》を開いてはくれないという。
《聖地》つまりは“歪み”を管理し、そこから迷い込んでくる侵入者を排除するのが生徒会の仕事。

「その見返りに生徒会の委員は、授業を含む全ての義務から解放されます。このことは校長以下、教員たちも承知しています。ただ彼らも、真相までは知らされていません」
割とダークな学校だこと。

そこでふと美雷は気付く。

「ねえねえゲッコー。午後の授業お休みってことは、体育の授業もないってこと? じゃあさじゃあさ、プールもなしなの?」
「当たり前だ」
のクラッカー(´・ω・`)

「そんなのやだー! 泳ぎたいよー!」

そう言う美雷は、この場で制服を脱ぎ始める。
……が、期待とは裏腹に、彼女は既にスクール水着を着用済み。

「何だ、水着か……」
「ダメだよ大兎!」
ごめんちゃい(´・ω・`)

それでも水着姿もやっぱり魅力的。そんな美雷を見ていた大兎の目を、ヒメアは隠す。

「大兎が目移りしないように、私以外の女の子、とりあえず全部殺すね」
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うん(*^ω^*)
ってダメダメ(´・ω・`)

「あのー……私、もう帰ってもいいでしょうか?」
うん(´・ω・`)



授業は中止になったものの、ヒメアと美雷は仲良くプールに入る。

「ゲッコー!」
「大兎ー!」

二人が手を振る先、プールサイドには大兎と月光が座っていた。
大兎はもちろん水着姿だが、月光は制服のまま。

「お前暑くないの?」
(´・ω・`)

この学校のことはわかったものの、大兎にはまだまだ疑問に思えることがある。

「お前、何で双子の弟なんかと戦わなきゃいけなかったわけ?」
「……奴は俺を殺そうとした。それを俺が返り討ちにした。それだけだ」
直近の理由はそうかもしれないが、問題は根本の部分。

「お前には関係ない」
それでも気にはなるところだ……

というところで、水がぶっかけられる。
もちろん、それをやったのはヒメアと美雷。
二人ともかわいいなー(*´・ω・`*)

「大兎も泳ごう!」

と、ヒメアは大兎をプールに引きずり込む。そこへ……

「美雷ちゃんアターック!」
羨まし(´・ω・`)

「よ、よーし。それなら私だって……ヒメアちゃんアターック!

プールで楽しげに遊ぶ光景。
それを見つめ、月光は昔のことを思い出していた。
日向と過ごした、楽しいあの夏の日の思い出を……

『日向と俺。俺たち二人はずっと一緒なのだ。そうでなければ壊れてしまうのだ。俺はそう信じ、日向も同じように思っているのだと信じ切っていた。あの日までは……』


あの日。
月光が家に帰ると、そこには化物がいた。父と母はともにその化物に喰われていて……

「やあ兄さん。早かったね」
そこには日向がいた。

「ねえ、兄さんにはこれが見えるかな?」
彼が指さす虚空。そこには何も見えない。

「何だ、見えないのか。なら兄さんにはもう用はないや」
心底残念だといった感じで、日向は化物に乗る。

「父さんと母さんを生贄に9年の契約をしたから、それなりに遠くまで旅に出られそうだ」
だから……

「あと9年、兄さんを生かしてあげる」
そしてその時こそ、今度は月光が生贄になるのだ。

「それまでせいぜい楽しく生きなよ」
そう言い、日向は旅立っていた。

それから。
弟の分際で自分を殺そうとする日向に対し、月光が何もしないわけがない。彼はやられまいと、この9年間にできるだけのことはしてきた。
そして約束の9年が経ち、月光の前に現れたのが美雷だった。

「それで、俺を殺しに来たのか?」
「いいや、お前を喰らいに来た。日向がお前をあたしへの生贄に捧げたからな。だからお前の命はあたしのもんだ!」

美雷はもともと日向に召喚され、月光を喰らって契約を完遂させようとしていた。
大兎もそれを美雷から聞かされて驚く。

「でも逆に、ゲッコーに襲われちゃったんだ。押し倒されちゃったんだよ」
やん(*´・ω・`*)

「そんで、逆らえないようにぶすーって刺されて、裸にされちゃったの」
な、なんてこったですよ……(*´・ω・`*)

とは言え、刺されたのは凶剣-スペルエラー-に。それに美雷はもともと裸っていたのだが……まあいいだろう。

「凶剣は全ての力を祓う。お前のような雑魚に太刀打ちできるものか」
「そ、そんなの何でお前が持ってるんだ……」
そんなの簡単。

「俺は天才だからな」
やっぱり(´・ω・`)

月光はそのまま凶剣で呪いをかけ、無理矢理美雷と契約した。
で、月光がキスをしないと封印が解けないようになったというのが今である。



月光はプールにいる美雷たちを放置し、生徒会室に戻っていた。
そこへ、また何者かの化物が現れる。

「貴様、何者だ?」
と問うてみたものの、答えはどうだっていい。

「何であれ登場即退場だ」

そう言い、月光は凶剣を突き刺す。
相手はそれに苦しみ……

「なーんてね」

何にでも効くはずの凶剣が効かなかった。
月光はそのことに驚きつつも、すぐに頭を切り替え呪符を放つ。
それに苦しむ敵だが……

「なんちゃって」
ですよねー(´・ω・`)

「それじゃあ月光ちゃんに日向からの伝言を伝えちゃうね」

やはりと言うべきか……



プールサイド。
いなくなった月光を追い、美雷もいなくなったため、

「ふ、二人だけになっちゃったな…」
「そ、……そうだね」

手と手が触れ合いドキリンコ。
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そんな素敵空間に水を差すように、雨が降り出してくる。
しかしそれはただの雨ではない。

「赤い……雨……?」

それを確認した後、大兎はくらっと意識を失う――

何事もなく再び目を開けたように思えたが、そんな大兎のことをヒメアが心配そうに覗きこんでいた。

「自分じゃ気付いてないかもしれないけど、大兎この雨でもう二回死んでるから」

それは真実。
このまま外にい続けるわけにはいかなかった。



何者かが去った後、月光はそいつが言っていたことを思い出す。
つまりは日向が言っていたということを。

「サイトヒメアを飼うの、やめた方がいいよ兄さん。愚かな兄さんには多分、あの狂った魔女は手に負えない。まして、それが僕への嫌がらせのためだけならなおさらね。と言ってもまあ聞いてはくれないだろうから、もし自分の分をわきまえずにあの女を飼うつもりなら一つだけ忠告してあげよう。月からの侵蝕にだけ、気をつけて」

そういうこと。

「いいだろう日向。だったらそのゲーム……乗ってやる」


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