夏目友人帳 参 04話『幼き日々に』

各人が様々な方法で問題を解いていき……
そして無事とは言えなくとも、中間試験が終了する。

どんな結果であれ、終わった以上はどうしようもないし、気分はどうとでもなるもの。
北本は夏目と西村にどこか行こうかと誘う。そこに笹田も入り込んでくる。
彼女は父が知り合いからもらったという美術館のチケットを渡し、そこへ行くことに。ちょっぴり遠い場所だが、試験が終わったから問題ないか。
夏がまた来る……



夏目帰宅。
家では、塔子さんが小学校の同窓会の知らせを見つめ、その頃を懐かしんでいた。
彼女は胸に引っ掛かってるものがあるとのことで、そのことを話し始める。

仲良しの子達で手作りのプレゼント交換をしたことがあるという。そこで塔子さんにまわってきたのは、栗山さんの手作りクッキー。逆に栗山さんには、塔子さんの作った押し花カード。しかし彼女はがっかりした顔で、こんなの欲しくなかったと言い……その申し訳ない思いを塔子さんは今もなお抱いていた。
栗山さんはその後すぐに引っ越してしまったからこそ、彼女に会いたいと思っている。その頃のことを話したいわけではなくとも、元気な彼女の顔を見られたら引っ掛かってるものが消えるだろうと感じられて……

どんな思いであれ、それらは夏目にとって羨ましいものだった。
懐かしいなんていう子供の頃の思い出は彼にはなかったから。


ニャンコ先生は美術館なんかに行く理由がわからずゴロゴロ転がっていた。
別に先生は誘ってないからいいけどさ……

「ああ。そういえば、笹田が近くに美味しいラーメン屋があるとか言ってたな」

それを聞き、ニャンコ先生は不気味に惹きつけられる。

「行く!」
わがままな子ねー、もう(´・ω・`)



夏。
子供にとっては、“あの夏の日の思い出”を生み出す大切な時期。
しかし、木の上の妖怪にとってはどうとでもない時期であった。
いくら子供たちが無邪気に走っていても、彼女にとっては人間なんぞただ通り過ぎていくもの。それは季節と同じ感覚だった。
でも確かあれは夏だった。彼女はかつてのことを思い出す。

『一人だけいたな。 ……見える奴が』



――緑が綺麗とことで、とある男が枝を折る。
それに木の上の妖怪はムッとする。彼女連れな男だけにこちらもムッ( ̄д ̄メ)
しかし、木の上の妖怪がその思いを彼らに伝えることはできない。

「このアホ! 鼻毛!」
それが精一杯。

胸糞の悪い日。そこに、子供たちが通りがかる。
二人の少年が、一人の少年を嘘つき呼ばわりしていびっていた。非常に醜い光景だ。

木の上の妖怪にとって、このガキどもはうるさい。だから木を殴り、毛虫達を落として追い払ってやる。
慌てて逃げていく子供たちに愉快さを感じていた妖怪であったが……一人残った少年は、彼女のことをじっと見つめていた。
間もなく彼も走り去っていってしまうが、ほんのちょっとだけ目があったような気がしたが……
いや、自分の姿が人に見えるはずがないと、彼女は頭を切り替える。

『私の存在に気付く人など、いるはずが……』

後日。
物は試しに、

「わあ!」
「わっ!」
(´・ω・`)

どうやら気付いていたようだが……ぶっ!
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少年は妖怪を手にしていた袋で殴り走り去っていってしまう。

『なんたる無礼なガキだ、許さんぞ…!』

とことで、妖怪はそれから毎日のようにその子を追い、待ち伏せしては脅かし、少年が逃げるというそればかりの……でも何だか楽しい日々を送っていた。

今日はどこにいるだろうか。妖怪は密かに様子を探る。
が、そこで彼女は例の少年が他の少年少女にあまり好かれていないことを知る。

『いつも独り……。見えるという、ただそれだけのことで……』

近くに幼子とその母親が楽しそうにしていた。
夏目は一人、それを見つめ……

「わっ!」

いつものサプライズ。
それにいつものように驚く少年は初めて口をきく。

「何で俺なんかに構うの? 暇なの?」
(´・ω・`)

「バカを言え! たまたま行く方向が同じで、私ほどの者はやることがいっぱいだ! お前ごときに構ったりなどしていない!」
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あら可愛らし(*^ω^*)

でも少年は、そうか……と、独りでとぼとぼと帰っていく。

「無礼者! 鼻毛!」

それに反応することもない。
どこか寂しい……――




夏目はニャンコ先生をカバンに収納し、北本西村笹田とともに電車に乗って遠出していた。
外の景色を見つめていると、ふと見覚えのある景色が目に映る。
昔住んでいた辺りで……

『親戚中の家をたらいまわしにされてきたから、どこがどこだったか、あまり覚えてないけど、あれは――』



――夏目は帰宅する。

もう何度目か。自分を預かっている家の者が不満げに夏目の預かりについて電話で文句を述べていた。
その後、夏目は来週からまた別の家で暮らすことになったのだと告げられる。
そのお詫びというわけか、夏目はコートを貰う。ちょっと大きくて埃臭いけど、夏目にとってはそれでも大切なもの……


そんな雨の降る夜。
木の上の妖怪は……

「せっかく初めて言葉を交わしたのに…。あんなこと言うつもりではなかったのに…」

そんなことに頭を回し、彼女は不愉快だと感じていた。
だから明日はいつも通り脅かしてやると頭を切り替える。
そうすればまた彼は喋ってくれるかもしれないから。


そして翌日。その彼が来る。
おじさんに貰ったというコートのことを何やら別の少年に話しているが、そんなのは瑣末なことだ。

「わっ!」

いつものように脅かす……が、夏目は驚くあまり雨上がりの水たまりに足を滑らせ、もう一人の少年とともに倒れてしまう。

二人ともビショビショ。
夏目は何も悪いことはしていないのに、もう一人の少年には怒られ、大切なコートだって……
やりすぎたと感じ、謝ってももう遅い。

「あっちへ行け…」
「……!」
「あっちへ行け!」

彼は泣き叫ぶ。

「お前らなんか……大っ嫌いだ!!


その翌日から、彼はこの道を通らなくなった。
わざわざ遠回りをして学校へ行っているのだろう。もう自分の言葉は届かない。自分のことは見えない。
そう察した妖怪だが、それでも……

木の上の妖怪は猫に扮して少年を探す。
苦労した末ようやく見つけ、今日もやはり彼は独りであることを知る。

ニャンコを見つけた夏目はその子を胸に抱き、それだけでただ満足げな表情を浮かべ話しかける。

「お前……なんだか甘い匂いがするね」

妖怪は彼の初めての表情を見て驚いていた。

『こんな優しい顔もできるのか…』

その温かみも実感し、ずっと傍にいたいと願うが……

「お前はいいなぁ…。 僕も早く、一人になりたいなぁ…」
彼は願う。

「一人で……生きていきたいなぁ…」

それはなんと悲しい願いか。
自然と涙が流れ出てくる。

『私は妖で、人の心はよくわからない。 けれど、一人は悲しいことだよ。それだけはわかるよ。それだけは知ってるよ』



数日後。
少年は遠いところへ引き取られていった。

『それから……二度とあの子に会うことはなかった』

木の上の妖怪も独り。
でもそれが何だと言うのか。
彼女は独りの方がよっぽどいいと感じ、人間どもは何故寄り添いたがっては争うのかと……そんなこんなで冬を過ごした。


春になり、綺麗な花だとまた枝を折ろうとする者が現れる。
ムッとした妖怪はその手に触れてそれを阻止。
そんな日々を過ごしていると、人間どもの醜く歪んだ部分ばかりが見えてしまう。だから彼女は思う。

『みんな……いなくなってしまえばいいのに』

恨めしく憎らしい。
自分のことしか考えない醜い者どもはみんないなくなってしまえばいいと願い……

以降、彼女がいる木はヤバいのだという噂が伝わり、人は皆近寄らなくなっていた。
それでも少年が困っていれば、彼女は猫として近付き気遣おうとした。
しかしその少年は猫が嫌いなようで、遠ざけられてしまう。

『もう何も思わぬ。何も考えぬ』

『私の時は止まってしまった』

『あの子はどうしているだろうか』

優しい笑顔と悲しい望み。

『あの子は今、笑っているだろうか』

そう思いを馳せる今この時。

「良かった。まだここにいてくれた」

その声の先。
木の下には、夏目がいた。

『何度季節が巡ったのか知らない。忘れたことはなかったのだ。ずっと……覚えていた』

夏目は変な別れ方をしてしまったからと、彼女のことが気になっていた。

「あの頃は誰かにあたることしか出来なかったけど、今ならあなたの優しさがわかる気がするんだ」

そう言い、夏目は素敵な笑顔を見せる。

『きっと、優しい誰かに会えたんだね。そんな顔ができるほど……』

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彼女は夏目に抱きつく。
その温もりは、その匂いは……互いにとってとても懐かしいもの。

「僕は夏目貴志。あなたの名前を教えてくれますか?」




夏目は帰ってくる。
ちょうどそこへ塔子さんも同窓会から帰ってきて、互いにおかえりなさいとただいまの挨拶を交わす。

塔子さんは件の彼女と会えたのだという。
とても満足げで、夏目もそれと似たような思いを抱えていた。

『いたんだ。俺にも』

会いたい昔の友人がいると言い、夏目は寄り道を了解してもらった。
心優しい友人たちに見送られ、七ヶ淵駅で下車。そして彼女に会いに行ったのだった。

『今ならわかる。 会いたい人がいれば、きっと……もう独りじゃないこと』

(´;ω;`)


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