バカとテストと召喚獣にっ! 11問『雄二と翔子と幼い思い出』 後半

『あの頃の私は、いつも雄二の後をついてまわってばかりいた。たとえその態度が冷たいものであっても、雄二だけは分け隔てなく接してくれたから』

帰ろうとしていた翔子だが、彼女はふと立ち止まる。

「雄二、まだいるかな?」

翔子は引き返す。

『だから私は、雄二の傍にいるのが好きだった』


5年2組の教室。
翔子が戻ってきた時、そこには6年のあの男どもがいた。
外履きがなく悔しがる彼らだが、もしかしたら他の誰かに隠されたのではないかと、前向きに捉える。そんな彼らを見て、翔子はショックを受けていた。

すぐに雄二の私物は集められ、今まさに落書きをされようとしていた。そこへ……

「あの!」

意を決して翔子が話しかける。

「それ、雄二の…だから、ひどいこと、しないで…」

一つ年上の男どもに話しかけるのだ。それにはかなりの勇気が必要だったろう。
しかし翔子は彼らのしていることが許せず、この場に出てきたのだ。雄二は自分の大切な友達だからと……

『雄二が聞いたら、嫌がるかもしれない。 そう思った。けど……』

「関係なく、ない!」
うむ(´・ω・`)

そう言う翔子を無視して6年生の彼らは落書きを開始しようとするも、翔子はそれを必死に止める。

『友達じゃないって、雄二はまた呆れるかもしれない』

翔子は抵抗し、力で勝ることができないからと、その身を挺して雄二の私物を守ろうとした。

『それでも、私は……』

取り合いの結果、6年生の服がマジックで汚れてしまった。ムカついた彼らは、マジックを手に翔子に迫る……!



「さーて、あいつら引っ掛かったかなー」

タイミングを見計らって、雄二は5年2組へとやってくる。するとそこでは翔子と6年生が物を取り合っているという意外な光景が。それを目の当たりにし、雄二はどういう状況かを判断しようとする。そしてすぐに気付く。

『何故翔子が巻き込まれたのか、それは一目瞭然だった』

「た、助けないと」

『そう、憧れるヒーローのように。所詮あいつらは愚かなバカ者で、自分は賢い特別な人間だ。格が違うのだから、臆する必要は何もない』

大丈夫だ。怖がるな。あんな奴ら大したことないじゃないか。
そう自分に言い聞かせるも、雄二の脚は一向にして動くことはなかった。

『相手は3人。結果は目に見えている』

当初の作戦通り、先生を呼びに行こうと考えるも……

「『翔子はどうなるんだ?』」

『いじめられたことが、教師から翔子の親に伝わったら?』
それこそ結果は目に見えている。

「翔子が転校させられる」

雄二は頭の中で思いを巡らせる。

「そんなの俺には関係ない! 他にどうしろっていうんだ!」
どうしたらいいのだろうか、ねぇ(´・ω・`)

『どうしろ? 本当はわかってるんじゃないのか?』

幼い雄二は拳を握りしめる。

「俺はただ、あいつらを反省させたかっただけなのに…!」
『じゃあ、見なかったふりをするんだな』
「そんなの出来るわけない!」

友情、努力、希望、夢、根性、才能、勇気。
そんな言葉を真っ直ぐに書くことができる小学生だが……

『どれを選んでも無傷では済まない。どんな形であれ必ず傷を負う。それでも、やることは一つじゃないのか?』
幼い雄二にだってそんなことはわかっている。

「でも、あいつら上級生だし、3人もいるのに、俺が勝てるわけない!」
『誰のせいで起きたことだ?』
「だけど……」
『まあ、殴られるのは怖いよな』
「当たり前だろ!」
『ヒーローじゃなかったのか!』
「……!?」
『ヒーローなら怖じ気づいたりしない。自分が負けるとわかっていても、誰かを助けるために』
「うるさい! そんなの漫画やアニメの中だけだ!」
そんなことはないさね(´・ω・`)

『相手は、お前が今まで散々バカにしてきた奴らだろ?』
「だからそれは、勉強が」
『頭がいい奴は大変だな。必死に言い訳して、自分の逃げ道を探して』
「……じゃあ、バカの方がいいっていうのかよ」
ただのバカでは意味がない……が、成長した雄二の知ってる範囲で考えるならば、確かに言える。

『そうだな。何も考えずに飛び込んでいけるバカの方が、今のお前よりよっぽどカッコいいかもな』
「なんでだよ……。なんでこんなことになるんだよ…! どうして、俺が悩まなくちゃいけないんだよ!」

悩むことは別に悪いことではない。“人間は努力する限り迷うものだ”というように、悩むことはそれだけでも充分価値のあることなのだ。幼い雄二にしてみれば、まだそれに気付くことなどできもしないだろうが。

「俺は全然悪くない。悪いのはあいつらと、後先考えずに行動した翔子だろ! なのに……!」

成長した雄二は何も答えず、幼い自分自身を真っ直ぐに見つめる。

「何でなんだよぉっ!!」


……時はリアルに戻る。

「そうだ。翔子が助けを呼べばいいんだ」

彼女が助けを望むならば、先生にバレて転校することになっても、彼女自身の責任になる。それでいいのだと自分に言い聞かせ、雄二は様子を見守る。
翔子に助けてと言うように念を送り続け、それが彼女に伝わったのか、彼女はこう言う。

「嫌! 私……転校なんかしたくない!!」

雄二の考えは伝わったか。しかし、意図する答えとは180度異なる返答が返ってきた。
それを聞き、雄二は何でと…………翔子の言動ではなく、自分の行動を悔いる。
もう散々迷った。だからここから先は迷わない。

「お、ぉぉぉぉお前ら! 何やってんだよ!」

雄二は大きな一歩を踏み出す。

「ゆう……じ…」
「や、やっていいことと悪いことがあるんだぞ! お前ら最低だ!」

そう言い、雄二は自分の背後へとやってきた翔子に帰るぞと言う。しかし、相手もそう簡単には帰してくれない。

「翔子は帰してもいいだろ」
「でも…」
「いいから!」

雄二は袖を摘もうとする翔子から逃れる。

「私、先生呼んで」
「バカ! いいからお前は先に帰れ! ここにいられると邪魔なんだ!」

そう言う雄二の肩は小刻みに震えていた。それは怒りにという意味もあるだろうが、それだけではないだろう。

「うん、わかった。私、先に、帰る…ね」

彼が絞り出した勇気の価値に瞬時に気付いた翔子は、やはり賢かったのだと言えよう。この先に彼にどんな苦しいことが待ち受けているか予想をした上で、彼の行為を無駄にしない判断をいち早く下したのだ。翔子は教室を出て、振り向かずに走り去っていく。

『俺はこの日、自分がどれほど未熟かを思い知った。それが惨めで情けなくて、恥ずかしかった』

『私は、震える雄二の肩を見て、何の力にもなれない自分が悔しくて……』

『翔子が勘違いを抱く原因を作ってしまったことは…それは俺の責任であり、償わなければいけない過ちだから――』


「ううん。違うの雄二。それだけじゃない。私は――――」



ボロボロになって帰宅した雄二を、ママンの雪乃さんが笑顔で迎える。
それでも学校から電話があったため、さすがに雄二のことを心配している様子。何も無いと言う雄二だが、それは苦しいところだ。

「あいつらがムカつくから殴った」
「雄二。本当にそれだけ?」
「うるさいなぁ。ムカつくから殴ったんだ。他に理由なんてないんだよ!」
雄二は部屋に駆けていく。

「ムカつくから…、ね」

別の部屋から、翔子が現れる。

「おばさん…。 ごめんなさい。私を庇ったせいで、雄二が……」
「大丈夫。さっき翔子ちゃんが、本当のこと話してくれたものね」
「だけどこのままじゃ雄二が、悪者にされちゃう。霜月中学への推薦も……」
「いいのよ翔子ちゃん。おばさんはね。雄二が、ただお勉強ができるだけの子じゃなくて、誰かを守れる子になってくれたことが、とっても嬉しいの」
うむ(´・ω・`)
大切な人を守れてこそ、ヒーローと言えよう。
翔子の顔にも笑顔が戻ってくる。

「あのね、おばさん」
「なぁに、翔子ちゃん」
「私、大きくなったら……雄二のお嫁さんになる」
あらあらまあまあ(*´ω`*)

「きっと、幸せにするから」
「それは翔子ちゃんが、雄二に言ってもらうセリフよ」

指摘されてからそのことに気付き、翔子は顔を赤らめる。

「……間違えた」
「じゃあ、いつか雄二にそう言ってもらえるように、おばさんも応援するからね」
「本当?」
「本当よ。翔子ちゃんが、雄二のこと嫌いになっちゃわない限り……ね」
うむ(´・ω・`)

「大丈夫。 きっと――――いつまでも、好きだから――――」
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【第11問】
問 以下の問いに答えなさい。
得体の知れない集団が我がもの顔で振る舞っている様を何と呼ぶでしょう。

姫路瑞希の答え
『百鬼夜行』
教師のコメント
正解です。さすがですね、姫路さん。
その昔、妖怪や魑魅魍魎が群れをなして歩く事をそう呼んでいた頃から、転じて、このように呼びます。


須川亮の答え
『もてる奴は敵じゃーーっ!』
教師のコメント
あなた方の事です。


ですよねー(´・ω・`)


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