ちはやふる 10首『ゆくもかへるもわかれては』

梅雨のど真ん中の6月。
全国高校かるた選手権大会東京都予選開幕!


名人戦もクイーン戦も袴着用だから慣れておいて損はないという大江の意見のもと、瑞沢高校かるた部の皆ははかまで大会に臨もうとしていた。
他に着ている高校はないのだが、肉まんくんも机くんも制服やジャージより似合っているからいいのだ。

「まるで、巡業か七五三…!」
えー……!?(´・ω・`)

そんな二人はともかくとして、太一は袴も似合っているイケメン。
彼がふと見かけたのは、千早がモデルとなっている呉服の大江のパンフレット。それが大会資料の隣に当たり前のように置かれていて……大江の商才、侮りがたし(´・ω・`)


初めての高校大会。
かるたバカがこんなにもたくさんいることに感動する千早は、早速新にメールをしようとする。

「お前、あの誕生日からしょっちゅう新にメールしてるけど返事くんのか?」
「ビックリするほどこない! ダメもとで送ってるの」
さいですか(´・ω・`)

でもどうして先日のメールは太一のもとにきたのかなと、千早は疑問を口にする。
千早のメールアドレスも、メモにだって手紙にだって書いたのだからその疑問はごもっとも。だが、太一にはその理由がわかっていた。

『なんとなく俺たち…どこかで千早のことを……』

そんなことを思っていたところで、背後からパシャリ。
袴の似合う美男美女がいるのだから撮りたくなる気持ちもわかるが、無許可でやるのはよくないだろう。
太一が彼らに軽く注意したのち、思考の続き。

『二人のものだと……思っている』
残念、ボクのものでーす(´・ω・`)ノ

歩きだした太一。彼が最近変だと感じていた千早に、背後から声が掛けられる。
振り返ってみると奴がいた。えーと……

「……あっ! ヒョロくんだ!」
あ、ああ!(´・ω・`)

「忘れてたけど思い出したよ久しぶりー!」
「何ですとー!?」

ヒョロの高校も出場しているのであればいいライバルになろうと思えたところだが、彼は新設かるた部と一緒にされては困ると言う。ヒョロの所属する北央学園はかるた伝統校で5年連続で全国大会に出場しているのだという。今年の登録8人の中にもA級が2人いるとのことで、それは確かに強敵と言えよう。
しかし、千早も意地になる。

「あたしのチームだってすごいもん! ヒョロくんなんか鼻息で飛ばせるもん!」
それヒョロすぎ(´・ω・`)

そうは言ったものの、千早は焦りを感じていた。
わかっていたことなのだが、近江神宮に行けるのはたった1校。そのどうしようもない思いを、大江に抱きついて吹き飛ばそうとする。
そんな千早に、ダメですよと大江は言う。

「女たるもの、雑巾がけしてる時も、お布団干してる時も美しくないといけません」
ふむ……(´・ω・`)

「もちろん戦う時も!」
うむ(´・ω・`)

千早は再び集中しなおし、大会に臨む。
本大会のレギュレーション。出場するのは12校で、予選リーグの後にトーナメント戦をおこない代表校を決定する。

『北央学園と同じリーグにならなくて良かった』
『とにかく、5人中3人勝てば勝ち抜けだ』
『あのキツイ合宿にも耐えたんだ。昨日だって寝ずに練習した。僕は上達してるはず』
『この中で一番和歌を愛してるのは……私!』
『勝ちたい……。勝って全国大会に行くんだ。……このチームで!』
皆それぞれの思いを抱きながら、初戦を迎える。


序歌が詠まれる最中。
瑞沢高校かるた部は皆袴を着用しているとあって、張り切りすぎじゃないかとひそひそ話をする者たちがいた。彼女たちは名人戦やらクイーン戦やらと話をしていたことを少なからずバカにするような態度をとっていたが、

天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ

その最初の1枚に反応する千早の速さに、少なからず驚きを感じていた。
飛んだ札を取りに行く際には着慣れぬ袴のせいで転んでしまい緊張していることが窺えるが、最低限の実力は発揮しているようだった。

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々のあじろ木

負けじと机くんも手を出すものの、それはお手付き。
まだ始まったばかりだからと落ち着くよう自分に言い聞かせようとするも、次の札には手が出せず。あんなに練習してきたというのに、全然思うように取れず、焦りを感じ始めていた……


瑞沢高校は初戦の栄光大附属高校に3-2の勝利。順調なスタートを切る。
しかし、それはあくまでチームとして順調なだけで、個人として完敗を喫した大江と机くんはどんよりとしたムードを醸し出していた。

栄光大附属はそもそも机くんが当たった相手が一番強かったとのことで、太一はフォローする。オーダーの運というものがあるらしく、初戦は千早が真ん中がいいとのことでそうしたオーダーについて、肉まんくんは強いところと当たる時はもっと考えないとダメじゃないかという話を始める。
チームで勝つためには3勝が必要。北央戦を考えるに、その最も適したオーダーはどういう組み合わせかを考えると、相手のA級2人を大江と机くんに当たるようにするというのがセオリーなのだろうが……ううむ(´・ω・`)

そういえば千早はどこにいるのだろうか。大江が話を振ると、あっちでメールを打ってたとのことだった。肉まんくんによるとその相手は新だろうとのことで、千早は今福井にいるその新のためにかるた部を作ったんじゃないかと肉まんくんは予想する。

「せ! 瀬を早み 岩にせかるる 滝川の!」

やたらと食ってばかりの肉まんくんは、千早がどうせ強い奴と戦いたいだけだということを予想するが……

「そろそろ行こう。2試合目だ」
さてどうだかね(´・ω・`)


続いての相手は秀龍館。
とにかく気合の入っているそこを相手に、机くんはやはり苦戦を強いられる。
一方、大江は初勝利をもぎ取る。机くんもとエールを送られるも……相手に気合負けをしてしまう。

肉体的な疲労だけではなく、彼の背には見えない重圧…精神的な疲労が重くのしかかる。
自分ひとりだけが取り残されてしまっている虚空。それはひどく苦しいもので……


試合後、大江は初勝利に喜び、千早もそれを祝福する。
一方男性陣はと言うと。肉まんくんは男に厳しかった秀龍館の気迫に自分も負けるかと思ったと話し、太一もそれに同意する。それは確かに事実で机くんをフォローする形にはなるのであろうが、結果は4-1。負けたのは机くんだけなのだ。


その次の試合は華咲学園。
それにも3-2で勝利し、瑞沢高校は予選Bリーグを1位で通過する。



昼食。
午前の内に初勝利を飾っていた大江は、初めて攻めることができた自分のかるたに手ごたえを感じていた。
チームとしても順調に予選突破。あとはトーナメントで2回勝てば優勝で全国出場とあって、肉まんくんらの表情も明るい。もちろん、トーナメントは1回負けたら敗退とあって太一は気を緩めたりはしていないが、それとは別に机くんの表情は浮かないものだった。

次の対戦相手には1人強い者がいるとのことで、それに机くんを当てるオーダーなどが話し合われる。そんな中、机くんは食事の手を止め……

「今日……もう帰っていいかな?」

もちろん帰っていいわけないのだが、自分がいなくても勝ち星は足りてるしと机くん。

「そ、そんなこと別に気にしなくても」
「たまたま一勝できたからって調子に乗るなよ!」

机くんは自分をコントロールしきれなくなる。
机くんは自分のことも大江のこともどうせ全国大会に出るための数合わせなのだと、改めてその思いをぶつける。

「全国大会出たいんだろ!? 全国大会で会いたい奴がいるんだろ!? そのことばっか考えてるじゃん!」

机くんの行動が正しいわけではないが、言っていることは否定しきれぬ……か。
去っていこうとする机くんに、太一は声をかける。

「一試合だけ休んでいい。でも決勝戦には出てもらう。部長命令だ」

一試合であっても欠けていいものかという考えを持っているであろう千早だが、あんな気持ちじゃかるたは取れないという太一の判断は賢明なものだろう。
それも、別に机くんが悪いという考えでその判断を下したわけではなかった。

「俺たちは、かるたをしている時はまだ、個人戦の気持ちでいる。チームに、なれてないんだよ」

チームになれてないし、慣れていない。
それはわかりきっていたこと……であるはずなのに、千早は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしていた。
こういったところからも、彼女がいかにメンバーのことを理解していないかが窺える。


とにかく、準決勝は4人で3勝しなければならない。

「駒野とまた、戦うために」

そんな大事な試合前、太一は千早に声をかける。

「千早。お前だけは絶対に負けるなよ」

その言葉は……間違いだった。
机くんのことに関しての責任。それが彼女に重圧をかける。



序歌が詠まれる。その際、対戦校の冨原西は掛け声で一致団結する。
集中が必要な競技。正直、競技者としてはあまり褒められた行為ではない(少なくとも自分のやっていた競技では禁止事項)のだが、アリであるのならばこれほど有効な煽り行為はないだろう。

有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし

札を抜いたりキープしたらば、やはり皆で声を出して必要以上にやかましい冨原西。一方、瑞沢高校はこれまで通りの静かなる品行方正かるた。太一と肉まんくんは札を取っていて結果は五分五分だというのに、雰囲気は既に相手に持っていかれてしまっている。
千早は集中力を高めようと躍起になるが……

『お前だけは、絶対に負けるなよ』

その言葉が重圧を後押ししてしまい、一瞬でも集中力の欠如を許してしまう。それがこの世界では命取りなのだ。

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

この札だけは譲れない。その思いはもはや瑞沢高校かるた部全体に浸透しており、太一も肉まんくんも大江も、その札を手に入れる。しかし……
千早だけが、その札を逃していた。

息遣いが荒くなり、音が遠くなるその様は貧血で倒れる寸前のようなもの。千早の今の状態はまさにそれに近しいものなのであろう。


北央学園の主将は自校の勝利を確信しているのであろう。瑞沢と冨原西、2校の対戦を観察していた。
冨原西は実力的に怖いところじゃないのに、相変わらず声が出ていると評価する。黙っていて強いチームはないのだからと……だがそれがどの程度まで許されぬものかは甚だ疑問なところだ。

それはそれとして、主将と同じく準決勝が抜け番であるヒョロは、タロットカードならぬヒョロットカードを使い決勝の対戦相手のオーダーを占おうとしていた。とてつもなくインチキくさいそのカードなのだが、それでいて8割くらい当たるのだとあって驚きなところだ(´・ω・`)
このままならば冨原西が相手になろう。ならばオーダーは気にするまでもないであろうが……

「俺、瑞沢が勝ちあがったら、あの髪の長い子と対戦したいな」
と、北央主将は言う。
ヒョロは、千早は感じがいいだけで大したことないと言うものの、

「綺麗な子を……いじめたい」
さすが須藤主将。Sが頭文字なだけありまさぁ(´・ω・`)



机くんのいる控室にて、準決勝の途中経過の噂が聞こえてくる。瑞沢は現在押されていて、決勝は冨原西になるであろうことが。
千早も全然これまでの勢いがないとのことで……机くんは強く拳を握りしめる。そして意を決して立ち上がる。

「綾瀬は負けない! 勝負はこれからだ!」

そう言い、机くんは部屋を出ていく。



動揺が見てとれる千早に、肉まんくんを挟んだ位置から太一が声をかける。
太一の方を向かずに頷く千早。その反応からもいつもの千早じゃないことが窺え……

『部長命令だなんて、偉そうなこと言っといて……しっかりすんのは俺の方だ…!』

忘れじの 行末までは かたければ けふをかぎりの 命ともがな

これで千早とその対戦相手とは6枚差がついてしまった。
自分が今までどうやって札を取っていたのか、それが思い出せないくらいまでに精神的に追い詰められていた千早だが――

バンッ!!

太一が払った札が、千早の目の前を通り過ぎるくらい豪快に舞う。

名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな

それに素早く反応した太一の豪快な一手。
札を拾い集めた太一がメンバーの方を振り返る。その表情は……実にイケメンであった(*´・ω・`*)
画像

大江の頭に手を置き、続いて千早、肉まんくんにも。そして元の位置に戻る。

「西田。まずお前が勝ってくれ」
ふむ……?(´・ω・`)

「それでみんなが楽になるから」
……うむ(`・ω・´)

「大江さんも粘ってるじゃん。今、一番調子いいよ。勝てるよ」
ほう(´・ω・`)

「千早」
「え?」
「……お前は、息をするだけで勝てる」
ふむ……(´・ω・`)

千早は深呼吸をし、対戦相手を見る。
今になって初めてこんな顔をしていたのかとわかる彼女は、肩で息をしてすごい汗をかいていた。こうやって改めて彼女一人を見てみると、それほど強い相手に見えない。

残りは千早が8枚で相手が2枚。だいぶギリギリのところまで来てしまっているが、落ち着いた千早は試合を見に来てくれた机くんの姿を確認することもできて……
音が戻る。

「かく――」
バンッ!

かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな 燃ゆる思ひを

それを千早はかつてのリズムを取り戻して奪取し、

「っしゃあ!!」

女たるもの、いついかなる時も美しくあるべき。
でもこれくらいはいいよね(´・ω・`)

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを

これで4枚差。お手付きのできない場面に関わらずゴリゴリに攻めていく千早。彼女を見て、北央主将の須藤は確信する。

『絶対、あの子もSだ』
さいですか(´・ω・`)

千早が2枚差まで迫ったところで、肉まんくんと太一の勝利が確定。瑞沢2勝。

忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで

これで大江は惜敗してしまい、冨原西も2勝。団体戦の勝負は千早の勝敗によって決することになった。
この時、既に1枚差にまで迫っている。
そしてそれがついに……

『ひっくり返った!』

あとは根性。
だから……

「頑張れ綾瀬ー!!」

勝負を決するラスト1枚。
それを、千早がしっかりと死守した。



瑞沢高校3勝、冨原西高校2勝で、瑞沢高校が決勝進出を決めた。
挨拶を終えると間もなく千早は寝倒れて、大江は机くんのもとへ駆けだす。
大江は机くんを逃がさず、帯を結びなおす。

「……気が付いてましたか?」
大江は唐突に訊いてくる。

「ここにいる人たちの足の甲。みんな皮膚が硬くなってタコになってる。畳の上で何年も正座をしてきた足です。 私たちがなかなか勝てないの、当然じゃないですか」

自分たちだけではない。皆並々ならぬ努力をしてきているのだ。
だから努力は必ずしも報われるというわけではない。でも努力をしなければ報われないから、人は努力を重ねるのだ。

「タコができるまで、頑張りましょうよ!」
うむ(´・ω・`)

でもその前に、机くんから大江に言っておかねばなるまい。

「さっきの……初勝利、おめでとう!」
祝い祝われ違和割れて(´・ω・`)

間もなく千早を連れた太一と肉まんくんもやってくるが、彼らも足の甲にタコができている者たちなのだ。

『仲間にするなら……畳の上で努力し続けられる奴がいい』

だから机くんは皆に謝り、もう一度一緒にと申し出る。
でもそんなこと言わなくたってわかってるさね。この5人で一つのチームなのだから。

「瑞沢ファイトー!」
豪快な寝言だこと(´・ω・`)

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