アマガミSS+ plus 01話“絢辻詞 前編『ユウワク』”

『ど、どどど、どうなっているんだこれは…!?』

変態紳士は戸惑っていた。

「ねえ、橘くん。気持ちいい?」
「は、はい! とっても!」

絢辻さんに背中を洗ってもらうというとっても幸せなシチュエーション。どうしてこんな素敵状況になることができたのだろうか。不思議なものだ。

「橘くんの背中って、意外と広いのね」
「そ、そう?」
「ええ。腕を伸ばさないと、ちゃんと洗えな…」

とことで体勢を変えようとした絢辻さんは、足を滑らせ転倒してしまう。
心配した変態紳士は振り返ろうとするが、

「見ないで! 今振り向いたら、一生許さないから!」
「は、はい!」

とは言ったものの、見ないと約束したわけではない。
変態紳士は目の前にある鏡に映る絢辻さんを凝視し……ハァハァ……(*´Д`)

「にぃに!」

よく見るとそこには絢辻さんではなく美也が映っていて――


――純一は目覚める。
もちろんそこはベッドの上で、美也が起こしてくれているところであった。
これまでのことは全て夢であった。目の前には遅刻しちゃうからと起こしてくれた美也がいて……。冷静に状況判断をおこなった変態紳士こと純一が美也に言うことは一つ。

「なんで起こしたんだよ美也ー!!」
感謝などしません(´・ω・`)

「もう二度と起こしてあげないんだから! 一生寝てるといいよバカにぃに!!」
変態は寝ても治りませんけどね(´・ω・`)



純一は今朝の夢のことを嘆きながら登校する。

「もうちょいで、絢辻さんの……」
「私がどうしたの? おはよう、橘くん」
あらおはよう(´・ω・`)

絢辻さんの方を振り向く純一は、視線が自然と身体の方に向いてしまい夢での姿を想像してしまう。
その面妖なる雰囲気に絢辻さんが気付かないわけもなく、

「なんかいやらしい顔してる」
「そ、そんなことないよ」
「ホントに?」
「ホント、ホント…」

ピンチな場面であったが、そこで絢辻さんの友人であるやよいが声をかけてきてくれて深い追及は逃れることに。

去年のクリスマス・イブにおこなわれた創設祭から早くも一ヶ月が経っていた。あれから純一と絢辻さんは付き合うことになったのだけれど……

『時々信じられなくなるよ。こんなに可愛くて聡明な人が、僕の彼女だなんて』
「? 何よ」

再び絢辻さんに見入っていると、やよいたちと別れた彼女が怪訝な表情で訊いてくる。

「ううん、何でも。絢辻さんと付き合えて、幸せだなって」

下心がなかったから正直に打ち明けられる。
その言葉にちょっぴり狼狽えた様子の絢辻さんはこれまた素敵だ(*´・ω・`*)

「そんなことより、昨日渡した問題集は、ちゃんとやったんでしょうね!?」
「ああいや実は、ついつい眠たくて…」

もうすぐ期末試験。来年には大学受験も控えているのだから、しっかりしなければ。
そのことはもちろん絢辻さんに指摘される。

『相変わらず、主導権は握られっぱなしです』



2-Aのホームルーム。
もうすぐ二年生最後の期末試験なのだが、その前に重要な学校行事が一つあると高橋先生は言う。

「皆さんも知っての通り、来期の生徒会長を決める、生徒会長選挙です。うちのクラスからは、絢辻さんが立候補することになりました。選挙だから投票してねーとは言えないけど、クラスメイトとして応援してあげてください」

とことで皆から拍手で激励され、絢辻さんがかるく挨拶をする。

「クラス委員や創設祭実行委員をやってきた経験から、みんなでわいわい盛り上がれるような生徒会にしたいと思っています。よろしくお願いします!」

改めて拍手。梅原達からは盛り上げる言葉も送られる。
クラスが温かな雰囲気になる中、絢辻さんは純一の方をちらりと見て微笑みかける。
純一は二度頷き、その視線に応える。

投票は一週間後。今日の昼休みには中庭の掲示板に全立候補者が発表され選挙期間が始まる。
誰がいいかよく見て聞いて、ちゃんと考えねばなるまい。



とことで昼休み。
掲示板の前にちょっとした人だかりができていた。
もちろんそこには純一もいた。梅原のおまけ付きで。

「絢辻さんのほかに誰が立候補するのか、気になんだろ」
「まあ、少しはね」

一方。

「あーあ。私も立候補すれば良かった」
「何言ってるの。もうすぐ卒業なのに」
森島先輩。
傍らに冷静なツッコミ役・響がいると安心します(´・ω・`)

「美也ちゃん…、私帰りたい……」
「ダメダメ。本番はこれからなんだよ、これから!」
中多さんと美也。あと七咲(´・ω・`)

「おお。貼りだされるみたいよ」
田中さんと来ていた薫がいち早く気付く。

とことで、立候補者4人が発表される。

花園聖治、絢辻司、中多紗江、黒沢典子。

純一はふと視線に気付きそちらの方に目を向ける。するとそこには立候補者の一人である黒沢と思しき少女がこちらを見ていて、純一の視線に気付いたらばちょいと顔を赤らめて視線を逸らす。
ふむ……(´・ω・`)

同じく立候補者の一人であるイケメン・はなぢ王子は女の子からエールを送られる。気持ち悪いタイプのイケメンだ(´・ω・`)

中多さんは一人だけ一年とあって、立候補したことの度胸を買われる。しかし実際はそんなことないため、自信をなくしかけてしまう。

「逃げちゃダメだってば。これは紗江ちゃんの引っ込み思案を治すための特訓なんだよ。みゃーも逢ちゃんも応援してるから、頑張って克服しよう!」
「うん。応援してる」
「…うん、わかった。頑張ってみる…」

二人に励まされ、中多さんは再び自信を取り戻す。
ハードモードな克服法ですけどね(´・ω・`)


会長への立候補者とともに、副会長案も発表される。
輝日東高校は当選した会長が指名するシステムとなっており、この副会長案も選挙結果を左右する要因になっているという。

「絢辻さんは、副会長に誰を選んだの?」
「ぅっふふーん。内緒」

副会長候補人事案が貼りだされ、どよめきが起こる。

黒沢典子 → 橘純一
中多紗江 → 橘美也
絢辻詞  → 橘純一
花園聖治 → 樹里路美雄

はるか好きーが同盟を組んだんですね、わかります(´・ω・`)
それはそれとして、注目すべきは絢辻さんの指名した相手“橘純一”。

「いっ!?」
「ほう、やっぱそうきたかぁ」
まあそうだろうね(´・ω・`)

「あ、絢辻さん、あれっていったい…?」
「橘くんには、創設祭実行委員の時にサポートしてもらってすごく助けられたし、私のやり方もわかってると思ったから。文句ないでしょ?」
ええ、ありません(*´・ω・`*)
純一はまだ戸惑っているようだったが……

「純一」

そこに薫がやってきて、掲示板をしっかり見るように言われる。
とことで、首をゴキッとされて無理矢理そちらの方に目を向けさせられると……

“黒沢典子 → 橘純一”

そう。絢辻さん以外の人物からも純一は副会長候補として指名されていたのであった。

「大胆ね彼女」
「え?」
「だってそうでしょ? こんなの公開告白みたいなもんじゃない」

なるほど、モテるって困るねぇ。
……だって絢辻さんからキツイ視線を受けたりするんだから。(ある意味ご褒美だけど)


校舎裏。

「ねえ。あれどういうこと?」

純一は絢辻さんに問い詰められることに。
でもこれだけは言っておこう。
絢辻さんは裏表のない素敵な人です!(`・ω・´)

「し、知らない。ホントに。だって僕、あの人と話したことすらない」

変態紳士は嘘を隠し通すことができない。
だから今回の言葉は真実だということがわかり、絢辻さんも一応は納得する。

「それに、どうせあたしが勝てばいいことだしね」
そういうこと(´・ω・`)

絢辻さんが掲示板の近くにいる黒沢に目を向ける。すると彼女はさきほど純一に見せた反応とは違い、自信ありげに不敵な笑みを浮かべる。
ふむ……(´・ω・`)



放課後。
純一は昼休みのことを思い出しつつ、外を眺めボーっとする。
そこをポカリと、絢辻さんが注意する。

「あなたが私と同じ大学へ行きたい、勉強教えてって言うから、こうして毎日教えてあげてるんでしょ?」
放課後の課外授業ってやつですね、ぐへへへ(*´ω`*)

「どうせ公開告白のことでも思い出してたんでしょ」
「ち、違う。違うよ」

変態紳士は嘘を隠し通すことができない。
絢辻さんの鋭い視線が突き刺さり……

「すみません。嘘つきました」
「ふん!」
絢辻さんご立腹。面目ない……(´・ω・`)

「でもさ。 なんでその……黒沢さんだっけ?は、僕のこと副会長に指名したんだろう。名前知ったのだって、今日が初めてくらいなのに」
「そんなの決まってるじゃない。あたしへの当てつけよ」
絢辻さんは言う。

「父親が市議会議員だか何だか知らないけど、妙にプライド高くてね。何かとあたしに突っかかってくるの。今回あなたを指名したのだって、あたしを動揺させて、やりこめようって魂胆なのよ」
「そうなんだ…(´・ω・`)」
「何? 本気の告白じゃなくてがっかりした?」
「そ、そんなことない! これは絶対! なんなら、今から黒沢さんに、副会長の話断ってこようか?」
「別にいいわよ。あたしが勝てばいいことだし」
絢辻さんもプライド高いものね(´・ω・`)

「それに今頃、選挙管理委員が投票前のアンケートをとってるから…、明日になれば、あたしとの差がどれくらいあるのか、あの人にもはっきりわかるでしょ?」
ゾクゾク……!(*´・ω・`*)
そんなことよりまず勉強やれ(´・ω・`)



下校。

「絢辻さんは、どうして生徒会長に立候補しようと思ったの?」
「そんなの決まってるじゃない。内申点が上がって、大学受験とか就職の時に有利になるからよ」
ふむ……(´・ω・`)



翌日。
絢辻さんの言うとおり、『第一回 生徒会長選挙 事前アンケート』の結果が掲示板に貼り出されることになった。
しかし、結果は予想したものと大きく違っていた。

黒沢典子 311
中多紗江  27
絢辻詞   72
花園聖治 108

72は千早だけで充分だというのに……じゃなくて(´・ω・`)

はなぢ王子よりも下だという屈辱的な3位。明らかにおかしかった。
絢辻さんの方が知名度も高いし、創設祭実行委員等で実際に結果も残してきたはずなのだから。

絢辻さんは黒沢の方に目を向ける。
黒沢は周りの友人たちに盛り上げられつつも、彼女たちには謙遜した態度を見せる。まだ選挙戦は始まったばかりなのだし……とそこで、絢辻さんの方に目をやり。

「勝負はこれからなんだから」
女の戦いは静かに熱い……!



瞑想。

「あ、絢辻さん。そんなに深刻になることないよ。投票日までには、まだ時間があるし。それまでに挽回すればいいんだからさ。 ……絢辻さん、聞いてる?」
「え? ああごめん。考え事をしていたから」
「…う、ううん」
「心配しなくて平気よ。まだ一回目のアンケートの結果が出ただけ。どうせ今回は、黒沢さんが父親の力を借りて、根回ししてただけでしょうね」
ふむ……(´・ω・`)

「たとえば、親経由で投票するように言ってたりとかね」

たかが生徒会長、されど生徒会長。
絢辻さんの言っていることが本当だとすれば、黒沢の意地もそれはそれで感心するものだ。

「でも大丈夫。そんなの、一時的なものにすぎないから」
「勝算あるんだ?」
「あたしを誰だと思ってるの?」
……うむ(´・ω・`)

そんなところで、選挙用のチラシを印刷してきてくれたやよいら支援者がやってくる。
こういった時の梅原は頼りになるもの。この笑顔に護られたいものだ……(*´・ω・`*)

「不利なスタートになってしまったけど、まだ負けたつもりはありません。みんなの力を貸してください。お願いします」
任せとけぃ!(`・ω・´)


とことで、ここから各自の選挙活動が始まる。
はなぢ王子がサインを書いたり、中多さんが水着で演説したり、輝日東高校の行く末が多少心配になるところだが気にしたら負けであろう。
もちろん絢辻さんは純粋に選挙活動を続け、純一はそんな絢辻さんのはためくスカートに興味がありつつも願望を抑えて必死にサポートする。
そしてあることを閃く。


真っ暗な写真部部室にて。

「選挙ポスター?」
「そう、選挙ポスター! この前、絢辻さんのスカートが風にめくれた時、閃いたんだ!」
「なんでそんな時に閃くのよ…」
変態紳士だから(´・ω・`)

「今は、立候補者発表の時に使った顔写真のままでしょ? じゃなくて、もっとインパクトがあってアピールできる選挙ポスターがあれば、当選確実間違いないよ!」
ふむ……(´・ω・`)

「でも花園くんのポスターには、落書きされてるわよ?」

ハナヂ王子と書かれたそれ。彼の昔の出来事に関連した呼び名なのだが、蔑称をつけられるくらいには賛否両論といったところなのであろう。それでも否定票がないぶん、彼は強くもあるのだ。多少のリスクを恐れるのではなく、もっと積極的に出た方が確かにいいのかもしれない。
それに何より、

「大丈夫。絢辻さんのにはそんなことされない!」
「絶対?」
「絶対! 選挙戦に勝つためだよ!」
「まあ、あなたがそこまで言うなら…」

では早速、撮影の準備に移ろうではないか。
グラビアフォーユー!の始まりだ(`・ω・´)
今月はスクールガール特集。生徒会長を目指す彼女をスタジオで撮っちゃおう!(*^ω^*)

まかせた!○
かわいく
かっこよく!
セクシーに!
笑って!
悲しげに!
キリッと!
目線変えて!
もういいよ!
座って!

……なんてノリも大げさではない変態紳士(´・ω・`)

「ちょっと体を斜めにしてみて」
「こう?」
「もう少し笑って」
ニヤリ(*´ω`*)

『あ、あれ? なんだか、お宝本の撮影みたいで楽しいぞ』
「で、今度は座ってみようか」
ふむふむ……(*´・ω・`*)

「うーん…少し膝を立ててみようか。体育座りみたいに」
『おお…!』
腿が見えて超セクシー(*´・ω・`*)

「こ、今度は脚を伸ばして…。す、少し体を反らせてみよう」
『お、お、おお……!』

「じゃ、じゃあ今度は交差するように。 もういっそ靴下脱いじゃおうか!」

そこで絢辻さんの表情に注目してみたらば、かなり不満げな様子。
画像
変態紳士、調子に乗りすぎましたね(´・ω・`)
バッドコミュニケーション……



『第二回 生徒会長選挙 事前アンケート』

黒沢典子 241
中多紗江  47
絢辻詞  220
花園聖治  10

絢辻さんが黒沢を猛追。射程圏内にとらえ、変態紳士はポスター効果であることに手ごたえをつかむ。

「そうかしら?」
と、絢辻さん。

「みんなのおかげよ」

ま、ポスター効果よりも皆のお蔭と考える方が綺麗であろう。
だが、実際のところはどうだったのか。純一自身もポスター効果だと本気で思っているわけではないだろうから、絢辻さんにどうやって追いあげたのか訊いてみる。

「っふふ。…聞きたい?」
「…あ。いえ、いいです…」

実際、はなぢ王子の集めていた女子の票が絢辻さんに流れたのが大きかったようだ。
はなぢ王子は校内でお宝本をぶちまけてしまい、女子が一斉に引いたのだという。そして彼はハナヂ王子からハナヂキングへ。
変態紳士に溢れるこの学校。はやくなんとかしないと……(´・ω・`)

「だからあなたもヘマしないでね。あたしの票に響くから」
実際ハナヂキングと同レベルだしね(´・ω・`)

猛追を受ける黒沢は爪を噛む……


このままでは逆転されてしまうかもしれない。危機感を抱く黒沢信者らは、黒沢にどうすべきか意見を求めるが、

「静かにして。今考えてるの」

なかなかうまくいかないよう。
そこで彼女らは、最後の手段を使うことを考える。


黒沢から話があるとのことで、純一は呼び出されることに。
一変態紳士としては嬉しきことであろうが、絢辻さんがいる純一としては気乗りしないところか。

校舎裏でついに黒沢が告白する。その噂は、黒沢信者によってうまいこと絢辻さんにまで伝わる。
黒沢なら略奪愛もできそうだというその噂を流し、絢辻さんを煽るとな……


純一は黒沢が待っているという校舎裏までやってくる。
当てつけであると絢辻さんに聞かされてはいた純一。絢辻さんがいる身だとはいえ、彼も一変態紳士なのだ。先のことと逆に表現すれば、一変態紳士である以上はこのシチュエーションに期待するなと言う方が無理な話。仄かな期待を抱きつつ、純一は黒沢が待っているという場所へ赴く。

「ありがとう。来てくれて」
「う、ううん…」

うぶな雰囲気。
純一が口を開こうとするがその前に、

「ごめんね!」
と、黒沢。
いきなり呼びだしたこと、また副会長に指名したことを謝罪する。
この先手は純一のようなお人好しには効果的なのだ。これで会話の主導権は黒沢の方に渡るのだから。

「最後のチャンスだと思ったの」

絢辻さんが、二人がいる校舎裏に近付いてくる……

「橘くんが、絢辻さんと付き合ってるって、見ていてわかったけど……。でも、どうしても諦めきれなくて…」

絢辻さんがいよいよ二人の見える場所にまでやってくる。
それを確認した黒沢信者の一人が合図を出し、それを受けた別の信者が茂みに潜むこれまた別の信者へと合図。そしてその子が鏡を使って黒沢に合図を送る。
作戦の準備が整った、というところか。

「ご、ごめん黒沢さん。僕、やっぱり……」

そんな純一の胸に、黒沢が飛び込んでくる。

「それ以上言わないで! いいの、わかってる…」
『む、胸が、意外に…!』
安定の変態紳士でいらっしゃる(´・ω・`)

「でも、この気持ちだけはわかってほしいの…」

と、黒沢は顔を近づけてくる。

その絶妙なタイミングで、絢辻さんは二人の姿を目撃してしまう。
純一の背後からであるためはっきりとは見えていないのだが、想像するにもはや言い逃れはできないようなレベルか……(´・ω・`)

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